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「マルガリータよっ!僕は今この場で君とのこんにゃくを破棄するっ!」
「お断りします、殿下。」
「えっ、なんで?ちょっ、承諾してくれないと困るんだけど?」
「そうでしょうね。ですが婚約の破棄・・、つまり婚約の解消は双方の合意の下でなくては成立しません。なのでいくら殿下が声高に宣言なされても私が合意しなければ私たちの婚約は解消できません。後、殿下。こんにゃくではなく、婚約です。以後、お間違えのないように。」
「あーっ、ごめん。緊張したせいか少し噛んだ。でもなんで合意してくれないの?あっ、もしかして僕の事を心配してくれたの?我がブランデー王国を実質的に牛耳っているテキーラ右大臣の娘である君とのこんにゃくを僕の方から一方的に解消したりしたら後々僕が酷い目にあうと心配してくれたの?いや~、やっぱりマルガリータは優しいねぇ。」
「殿下、こんにゃくではありません。婚約です。次に間違えたらもう指摘しませんからねっ!」
「怒られちった。うんっ、婚約、婚約、よしっ、大丈夫だっ!それじゃ、こんにゃく破棄の件、宜しくねっ!」
「・・、ですから殿下。私は殿下との婚約に関して解消する意思はないと伝えたはずです。」
「もうっ、マルガリータは強情だなぁ、そんなんじゃお嫁さんとしての貰い手がないぞぉ。行かず後家になっちゃうぞぉ。」
「そうお思いならば婚約の解消などと言う話を持ち出さないで下さい。」
「むーっ、それもそうかぁ。あーっ、ならマルガリータに相応しい男性を紹介するからそれで勘弁して。」
「殿下、今のは聞かなかった事にします。なのでこの話はお終いにしましょう。」
「いや~、そうゆう訳にもいかないんだよ。ほら、君も知っているだろう?最近僕にまとわりついているコニャック男爵の娘。あの子がウザイくらい積極的でさぁ。」
「お噂は耳にしています。まぁ、それに関しては、私という婚約者がいるとはっきりおっしゃらない殿下も悪いかと。」
「あれ?何か僕が悪いみたいに言われた気がする・・?」
「申し訳ありません、少々言葉が過ぎました。私もまだまだですね、思わず本音が出てしまいましたわ。でも本当なら罰として殿下の柔肌にローソクを垂らしてお仕置きすべきところですからこのくらいは良しとしましょう。」
「謝られたのに、なんか更に脅された気がする・・。」
「気のせいです、殿下。後、コニャック男爵の娘には私の方から『やんわり』と説明しておきますから明日からはもう会う事もないでしょう。」
「やんわりって強調するところが更に怖い。しかも今後会う事もないって、深読みすると恐ろしい想像が頭の中を駆け巡るんだけど?」
「まぁ、あの娘は概ね殿下が今ご想像されたような目にあわせます。」
「ますます怖い・・。因みに今後の参考までにどうするのか聞いてもいいかな?」
「身に覚えのない罪を着せて捕縛し、牢獄にて4日間絶食させた後に6日分の高カロリー料理を食べさせます。これを10回ほど繰り返せば簡単に体重が10kgは増えます。」
「おーっ、なんかアヒル料理にそんなのがあった気がする・・。」
「フォアグラですか?あれはアヒルじゃなくて鴨だった気が・・。いえ、別に娘を太らせてその贅肉を殿下にお出ししたりしませんよ・・多分。」
「多分って言ったっ!ぐわっ、怖くてもう肉料理が食べられなくなりそうだよっ!」
「後は娘の日記を宮廷のお喋りカラスたちの前に落としておという方法もあります。当然中には彼女たちへの悪口を追加で書き込んでおきます。」
「ぐはっ、彼女たちの陰口のターゲットにされちゃうなんて可哀想過ぎて想像したくないな。しかも内容は捏造ですか・・。」
「何いい子ぶっているんですか、殿下。政権内に出回る怪文書なんて殆どそんなもんじゃないですか。この前は殿下が宮殿のメイドにちょっかい出した末、断られて泣きべそかいていたとか言う文書が出回っていましたよ?」
「あーっ、あったねぇ。でも、あれって微妙にクザリときたんだけど・・。」
「まぁ、メイドと言っても文書に書かれていた相手は若い見習いの子ではなく古参のおばあちゃんでしたからね。」
「僕は単に彼女から彼女の孫娘の初恋話を聞いていただけなのに・・。」
「あの怪文書のおかげで、現在殿下はババ専であると宮廷のお喋りカラスたちから認定されています。」
「げーっ、まっ、いいけどね。」
「いいんかいっ!」
「別に彼女たちがお茶する時の暇潰しの種くらいどうって事ないさ。そもそも僕にはこんなに可愛い婚約者がいるからね。それを知っているやつらは単なるやっかみだと思うだろうし。」
「甘いです、殿下。殿下が私と婚約しているのは殿下のババ専という性癖を隠す為の欺瞞だとの噂もチラホラ聞こえています。所謂偽装婚約というやつです。」
「あらら、マジですか。いや~、噂って放っておくとどんどんエスカレートするんだねぇ。」
「そうですね、なのでそんな風評を払拭する為に人を使って、殿下は本当は熟女相手に赤ちゃんプレイが大好きという噂を敢えて流布させました。」
「何故にそれなの?普通に否定してくれればいいだけじゃんっ!」
「それじゃ面白みがなくて誰も興味を示しませんもの。殿下、王室の方々は人々の話題になってなんぼですわ。」
「王室のゴシップが庶民に人気なのはそうゆう理由があったのか・・。」
「民草の鬱憤晴らしの対象こそが王室の大事な努めです。でもあまりにも調子に乗った週刊誌の編集者は密かに消えて貰ってます。まっ、表向きは交通事故や規制対象薬物の過剰摂取辺りにしてあるらしいですけど。」
「なんでマルガリータの方が僕より王室の裏情報に精通しているの?」
「殿下、いきなりの下ネタはおやめ下さい。ボケを返しづらいです。」
「別にボケた訳ではないんだけど?と言うか今の僕の言葉のどこに下ネタがあったの?」
「無自覚にボケていたとは・・、もしかして殿下はボケの天才ですか?いやはやさすがです、殿下。是非ともその才能を民草に披露して下さい。さすれば殿下の人気も右肩下がり。労せずして私との婚約も自然消滅するでしよう。」
「いきなりの急展開。あっ、もしかして精通と射精を勘違いしたの?それを誤魔化す為になんか難しい事を言って話をそらした?」
「殿下・・、そこはスルーするのが紳士な殿方のマナーなのでは?」
「あっ、ごめん。でも下ネタ話は一部の女の子たちには結構ウケるんだよ?彼女たちってきゃっきゃ言いながらも、もっと言えって目で催促してくるんだもの。」
「殿下・・、私のいないところでなんつう話をしているんですかっ!しかも私以外の女とっ!」
「いや~、一応僕も宮廷のサロンなんかでは招いた側として会話が途切れないように色々話題を振るんだけど、何故か下ネタが一番ウケるんだよね。そう言えばこの手の話にはコニャック男爵の娘が一番食いついてきたな。やっぱり彼女くらいの年頃は男女のそっち方面に関する事へ興味を持つようになる時期なんだろうねぇ。」
「それはそれは。ところで殿下、なんで婚約と言う言葉は噛むのにコニャックという言葉は普通に言えるのですか?」
「えっ、僕まだこんにゃくっていってる?」
「いえ、ただ似てる言葉なのに片方は間違えないのがちょっと不思議だっただけです。」
「似ている言葉かぁ、となると混浴とか困惑とか魂魄とか今昔とか困却とかも似ているよね。」
「殿下・・、そんな辞書で調べなきゃ判らないような事例をさらりと言い並べないで下さい。もしかしてネタとして仕込んできたのですか?」
「はははっ、言葉遊びは楽しいからね。国語の辞書は僕のバイブルだよ。あっ、バイブじゃなくてバイブルだからねっ!」
「それもネタなんですか?」
「うんっ、そう。もっとあるけどマルガリータは興味がないみたいだから教えてあげない。でもサロンの女の子たちには馬鹿ウケするんだ、これが。」
「殿下はキャバクラで女の子相手に下ネタばかり話すオヤジですかっ!」
「いや、それは僕の父様の方。実はこの手のネタは全部父様から教えて貰ったんだ。」
「まさかの問題発言・・。一国の国王ともあろうお方が下ネタオヤジだったとは・・。」
「でも、母様も父様と二人っきりの時はこの手のネタで笑ってくれるらしいよ。だから父様は母様の為に色々勉強したって言ってた。」
「それはそれは、夫婦仲のよろしい事で。」
「うんっ、だからマルガリータも笑ってね。君の笑顔は僕を幸せにするんだから。」
「話をうまくまとめようとしても駄目です。そもそも殿下、今回の件は殿下の方から婚約の解消を提案してきたのです。そんな真剣なやり取りの最中に私のお尻を撫でながら話をするのは如何なものかと思うのですが?」
「それはね、マルガリータ。そこにマルガリータのお尻があるからだよっ!」
「お前はヒマラヤ登頂中に遭難した登山家かっ!」
「てへっ、怒られちった。でも登山の道を究めるのは難しい。何故ならこんなに魅力的なお尻を征服したとしても、その先にはまだおっぱいと言うふたつの頂がそびえているのだからっ!」
ぱこんっ!
「痛っ、あれ気に障った?一応褒めたつもりなんだけど?」
「どうせ私の胸はコニャック男爵の娘には到底適いません。いいんですよ、殿下が本当に征服したいのならばコニャック男爵の娘の豊満な胸に挑戦なさっても。」
「うわ~、マルガリータの機嫌が悪くなったよ。でもそんなに気になるの?僕はマルガリータの胸ならそこが例え凪いだ湖の湖面のように真平らでも大好きなんだけど?」
ぱこんっ!
「例えが酷過ぎますっ、殿下。そこまで平らではありませんっ!まぁ、人前に出る時はパットを入れてますけど・・。」
「うんっ、だからこの事は僕とマルガリータ、ふたりだけのだけの秘密だよ。」
「うーっ、なんかうまく丸め込まれたような・・。」
「それじゃマルガリータにも僕の秘密を見せちゃうぞっ!どうだっ!マルガリータ以外は誰も見た事がない、これが僕の真の姿だっ!」
びーんっ!
「殿下・・、正直に申しますけどそんなに自慢する程のモノではないと思います・・。」
「えっ、そうなの?と言うか君ってもしかして他の男のこんな状態を見た事があるのかいっ!うーっ、ショックだ・・。」
「直接ではないですけど、昨今ではエロサイトでその手のものは幾らでも閲覧できますから。」
「なんとっ!ちっ、父様に言って直ぐに全てのエロサイトを破棄させてやるっ!」
「殿下、それはおやめ下さい。下手に手を出すと暴動が起こりますよ?なんと言っても世の男たちにとってエロサイトを見る事は唯一の娯楽なのですから。」
「そうなの?でも僕は見た事ないけど?」
「殿下はいいんです。そもそも見たければ私を見なさいっ!バーチャルなど所詮はまやかし。リアルこそが真実ですっ!」
「わーい、それじゃこのふたつの山の頂きにあるボタンをぽちっとな。あれ?おかしいな、音声が再生されないぞ?本来なら、いや~んとか聞こえるはずなのに?」
「ふふふっ、それは殿下の努力次第です。ではお手並み拝見ですわ。」
「よーし、がんばっちゃうぞぉ!」
-お後がよろしいようで。-