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受験勉強もしなきゃいけないのに、恋愛ばっかりしていたら大変なことになる。
皆さんは、受験か恋愛、どちらを優先したいですか?
※誤字脱字等ございましたら、お伝えください。
皆さんは、受験か恋愛、どちらを優先したいですか?
※誤字脱字等ございましたら、お伝えください。
叔母さんの家から帰ってきても、まだ、夢を見ているようだった。現実を受け止
めきれないという表現のほうが正しいのかもしれない。
高校2年生は早ければ受験勉強の準備を始めている人もいる。
私も、行きたい大学がかなりの高レベルだから、頑張らなきゃいけない。
そんな時期に、恋愛なんてできるか‼‼‼‼‼‼‼‼‼
私が通っているのは進学校だけど、東大合格者数は2人程度にとどまっている。
ほかにデータは京都大学が3人、名古屋大学が2人、一橋大学が1人など。
国立大学に進学する人は、ごく稀で、去年の卒業生は、3分の2以上が私立大学に進学した、と聞いた。
私の学年でも、すべての教科をバランスよくできている人は少ない。受験勉強は実力だけでなく策略も必要だから考えなければ合格をつかみにくいものだから、志望校というものは大事だ。
そういえば叔母さんはモテるようになるっと言っていたけど、勉強のことについては一切話していなかった。叔母さんにも予測不可能なのかは分からないけど、
今は自分のやるべきことに集中しよう。
占いとか、運命がどうであれ。
キーンコーンカーンコーン
授業が始まる。学校の授業の内容は大体、塾で予習してあるから分かるんだけど、私の通っている塾は、なんというか…………知識をバンバン詰め込んでいくような先生ばっかりだから、単純すぎてつまらない。塾も、お母さんに通えって言われたから通っただけだ。
だからせめて、高校だけは、自分の好きなところに通いたいと思っていた。
お母さんが勧めていたのは国立の高校だったけど、私は合格しないように仕向けた。(過去問を読んだけど、あまり興味のある学校ではなかったから、マークシートは、ほぼ空欄にして提出した。)
お母さんにはバレないように、秘密にしているけど。
「桜田さん、ここに書いてある問題、分かりますか?」
えっと、黒板に書いてある問題、世界史だ。これは意外と得意な分野だった。答えを言うと周りから、えっ、と声が上がる。普通の問題のはずだけど、何でだろう。間違えちゃったかな。
「正解ですよ」
良かった。隣の席の武藤君が、話しかけてくる。
「オマエ、さっきの問題、東大の入試で出たやつだぞ」
あれ?そうなんだ。今、社会を教えている先生は、ジョークを出してくれる面白い先生。色々役に立つことがあって、分かりやすい。
「なんで、東大の入試で出たのだって分かるの?」
「オマエ、それも気づいてなかったのかよ。この先生は、授業の本題をほったらかしにして、色々難しい問題やら、ヘンな雑学を教えてくるんだよ」
それが楽しいんじゃないのかな?難しい問題もやりがいあるし。
「もしかして、広川先生って嫌われてるの?」
広川先生、社会の担当だ。まあ、そこそこベテランの顔をしてるんだけど、
噂によれば、まだ新人らしい。
「桜田は、大人の話に鈍感だよな。まだ、受験勉強もしてない高校生に入試問題をひたすら教えまくって、得意げな顔をしてる先生だよ。もう少し簡単な問題を出してくれねぇかな」
簡単な問題と言ったって、小学生の問題を出せ!と言いたいのだろうか。
「じゃあ、江藤君は、どんな問題を出してほしいの?」
「そりゃあ、習ったことが復習できる問題だよ。小学生の頃も、中学生の頃も、習ったことは復習できるようになってただろ」
江藤君は、結構クラスで目立つほうだけど、何にも分かっていない。自分が問題を解けない悔しさを晴らすために、簡単な問題を解きたいのだろう。
そんなんは負け惜しみでしかない。
「江藤君はさ、難しい問題や豆知識を余計なものだと思っている?私はそう思わないよ。この世の中に役に立たないものなんて私は知らない。賢い人は身の回りの何気ないことでも、探し出して生かそうとしている。それに気づけないなら、ただの負け惜しみなんだよ。」
言いすぎたかもしれない。広川先生がさっき東大の入試問題を出したのは、狙いがあったのだろう。東大の入試問題は大体教科書に載っていることしか出されない。
だけど、なぜそうしたのか、どうしてそうしなければならないのか、という
深いところまで訊いてくる。つまり、単に暗記するだけだなく、深いところまで、掘り下げなければ、歴史は理解できないのだ。
問題を問題としてとらえていては、もう、ダメなのだ。
「桜田、オマエは本当に…………」
江藤君は何かを言っていたけど、私はそれを無視して先生の話を聞いていた。
あんたの相手をする気は1ミリもない、と言うように。
放課後は騒がしい。運動部は特に応援の声が聞こえている。今日も私は、1人で帰る。帰宅部の人は少ない。私は、できるだけひとりでいたい。だから、校門を出てから、すぐに電車には乗らずに、駅のテレワークスペースで勉強している。
ちょっと前までは、図書館で勉強していたけれど、最近は、駅のほうがすいているので、そっちのほうがいいのかな、とも思えてきた。思っていたよりお値打ちだったし。そのかわりに、電車賃が安いほうの普通列車を使っている。
そのあと、家に帰って慌ただしくいろいろなことをやった後、すぐに塾に出かけて、夜遅くまで勉強したあと、寝るという生活を繰り返している。
なんとも勉強ざんまいだ。
江藤君には言っていなかったけど、いつも、私は東大の入試問題を解いている。
東大は結構おもしろい。時刻表の入試問題はちょっと発狂しそうだったけど。
結構勉強になって楽しかった。
テレワークのスペースは駅の中にあるのに、駅の中にあるとは信じられないくらい静かだった。だけど、長居はできない。明日は、勉強スペースのあるカフェにしよっかな。そう考えるだけで、楽しくなってきた。
今日の勉強はいつも以上に早く進み、集中して取り組むことができた。
あっ、いけない。もうすぐ、電車に乗らなければ間に合わない。勉強していた場所が、駅の構内で本当に良かったと思う。ホントに私はうっかりだ。
今日もまた、教科書をテレワークスペースに忘れそうになる。
急いで電車のホームへ向かう。さっき電車が出発したみたいだ。まだ、駅員さんが、「駆け込み乗車はおやめください」とアナウンスしている。
正直、駆け込み乗車をしていない私たちに言われても困るんですけど。
あっという間に電車が来た。私たちは、駆け込み乗車なんてせずに乗る。
今日は晴れていたからよかった。帰る時間は部活終わりの人と同じくらいだけど、私と同じ方面の電車に乗る人はいない。
小学校が一緒だった桧倉玲名も私立中学に行った関係で引っ越している。
なんか、私の好きじゃない人たちが離れていって、そして、またやってくる。
別に気にならないはずだけど、愛おしくも、切なくも思えてくる。
身内でも、恨んだり、嫌いになったり、だけど、感謝の気持ちが強かったりする。人の気持ちをそう簡単に理解する人はいない。
やっぱりいつでも、勉強はしたくなる。教科書を開いた。
翌日、私は気分が悪くて、ベットから起き上がることができなかった。
「どうしたの?麻理花。学校に行かなきゃいけないわよ。」
小学生でもないんだから、そんなことは言わないでほしいよ。まったく。だけど、起き上がれな頭痛が酷い。なんか、そんなことを考えているとお腹までいたくなってきた。
「ちょっとお母さん、たいおnけ△#□*」
うまく声が出ない。なんか、喉も痛い気がする。よく聞こえないガラガラ声だったけど、お母さんは大体の意味が分かったのか、体温計を持ってきてくれた。
ピピピッと音が鳴った。ええっと結果は…………
38.9度。
かなりの高熱だった。ウエッウエッと気持ち悪そうにしていたら、お母さんが、透明な筒?(私にはそう見えた。)を持ってきた。
「新型コロナウイルス・抗原検査キット」
このご時世だから念のため買っておいたのよ、と母がのんきに言う。ちょっとおかあさっ まあそんなことは良しとして、検査しなきゃ。結果は、15分後に出る。
それまで寝てるか。私は寝つきが悪いから、寝れないかもしれないけど。
抗原検査はPCRよりも精度は劣るらしいけど、こんなに早く結果が出るなんて知らなかった。お母さんに鼻をグリグリされる。痛い!痛い!だけど、騒ぐほうがもっと痛い!
で、結果「陽性」保健所に電話したところ病院へ行くことを勧められた。車で行ったほうがいい、とも。
私は、結果、軽症だったものの、自宅待機10日間しなければならなくなった。
お父さんとお母さんにも迷惑がかかる。どうしよう。中間テストもカブってるのに。
「麻理花、学校に電話したわよ。幸い、農耕接触者はいなかったから安心しなさい。中間テストも、特別で受けてもらえるわよ。お父さんも、テレワークで仕事できるみたいだから。ほかの人のことは気にせず、まずはゆっくり病気を治しなさい」
久々に母の愛というものを感じた。ご飯は、部屋の前まで届けてくれるらしい。
このご時世だから、罹りたくないのはやまやまだったんだけど。
解熱剤も飲めるらしいから今日はゆっくり寝るか。
翌日、体温を測ったけど結局、
38.0度
ちょっと下がったかな、くらい。解熱剤も飲んだけど、あんまり効果なかったのかな。それでも、あともう少しすれば下がるんじゃないかな。
そう思っていた私が、間違いだった。
10日が経過しても、私の症状は一向に回復せず、さらに入院を迫られることになってしまった。
だけど、入院してから、だいぶ症状は軽くなった気がする。スマホが鳴った。
最近は、寝てばっかりで、あんまり見ていなかったけど。
だいたいは、学校のグループRainの連絡だった。だけど、私の心友、杉野由衣
ちゃんは
「最近会えなくて寂しいです。あともう少しですね。頑張ってください!」
とメッセージを送ってきてくれた.
泣いた。久しぶりに泣いた。病院のベッドの上で、泣き明かした。だけど、だれも反応せずに、私をひとりにしてくれた。そのあとも、ずっと泣き続けた。
翌日、症状が軽快した。あと待機期間は、72時間。とても長かった。2週間学校に行っていないから、ちょっと心配だけど、回復できたことがうれしい。
とりあえず、学校に行ける日を待つのみだ。
2日後。
久しぶりに制服を着た。だけど、昨日までずっと着ていたような感じがする。
今日は、早く学校に行きたくなった。
「いってきます!」
大声で叫んだあと、外に向かって駆けだした――――。
― Continues ―
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