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雑文エッセイ「こんなエッセイが読みたいです。」
Fランクから始めよう
■章■私が見た夢
私は白雪やすは。この夏高校生2年生になったばかりの女の子です。この投稿サイトは4年前に友達から教えて貰って以来のお気に入りです。なんと言っても作品数が多いのがいいですね。中には私の趣味とは相容れないものもありますけど、大丈夫!私も賢くなりました。今では0.1秒でページバックできます。
でもそんな作品は稀です。大抵はそこそこ面白く読ませてもらっています。時々、私の趣味じゃないテーマを扱っているのに読まされてしまう作品にも出会えます。これは凄くないですか?まるで苦手だったビーマンを克服した時のような高揚感がありました。私、大人の階段を登っちゃったんでしょうか?まぁ、他の作者さんのやつはやっぱり読めませんでしたけど・・。
実はそんな皆さんの作品創作熱に感染して私も3年前から執筆を始めました。でもある方のエッセイを読んで初心者が陥りやすい行動というものを勉強していたので、とっとと投稿したい気持ちをぐっと堪えて30話ほどストックを貯めてからの投稿です。
でもこれはある意味苦行でした。もう投稿したくて、したくて堪りませんでした。投稿すれば皆さんから感想なんぞを頂いて更なる高みへ私を連れて行って貰える気がしてなりませんてせしたから。
でも実際は投稿しなくて正解でした。20話目を書き終えてから読み返すと凄かったです。誤字脱字はそれ程ありませんでしたが、文章の繋がりや場面転換で変なところがボロボロ出てきます。
中には自分で書いておきながら意味が判らない文章もチラホラ。うーん、すごいぞ、3話目を書いていた頃の私。お前はもしかして小学生か!なんでいきなり僕口調が俺に変わるんだ?話と話の間なら書きあげて時間が経っちゃったからと言い訳できるけど、3話って確か一気に書き上げていたよね?トイレにも行っていなかったはず。もしかしてサブキャラと間違っちゃったのかなぁ。うん、投稿しなくて良かった。
良くエッセイで人様の作品を文章になっていないなんて批判をされる方がいるらしいけど、危うく餌食になるとこでした。ありがとう、○○○さん!あなたのアドバイスのお陰で恥をかかずに済みました。
いや~っ、直しましたよ。でも直した後にもう一度読み直したらまた見つけました。しかも直したところが変でした。直したところ自体は変じゃないんですけど前後の文章とかみ合っていません。うわ~ん、これってもしかして全面改稿ってやつですか?私、まだ投稿すらしていないのに・・。でも私は挫けませんでした。がんばったね、あの頃の私!ご褒美にプリンを食べていいよ。
さて、推敲に3週間かけた作品をもってやっと投稿です。私、執筆や投稿サイトの習性なんぞをエッセイで読みまくっていたので、その頃すでに一端の耳年増でした。投稿時間もちゃんと重なる時間をずらしましたし、30話もストックがあるから連続投稿なんていうバブリーなことも試しました。
でも結果は芳しくありません。私の予定では10話目辺りで日間に載って後はエレベーターでベスト10くらいまで駆け上がるはずだったんですけど、予定は願望。ただの儚い希望でしかありませんでした。
でも、凹んだりしませんよ?ちゃんとそれが普通だというエッセイも読んでいましたから。けれど投稿前のあの希望に溢れた根拠のない幸せな時間はもう味わえないんですね。うんっ、現実は厳しいぞっと。
いや~っ、がんばって改稿したんだけどなぁ。あれっ、投稿前だから改稿って言っちゃだめなのかしら。でもみなさんに読んで貰うのって本当に大変だと実感しました。私以外の投稿者、みんな死ねってちょっとだけ思いましたもん。いや、死ななくていいです。ただ私が投稿する日はお休みしてください。みなさん、働き過ぎは体に毒ですよ?人生長いんですからマラソンじゃなくてジョギングで行きましょう。その間に私は先に進みますけど。これくらいのハンデはいいですよね?えっ、ダメ?
まぁ、執筆自体はすごく面白いので投稿は続いています。今や私の作品の一番のファンは私です。だから内容に関してはみなさんが読みたいと思うようなものではないかもしれません。ですがみなさんに読んで貰うのを諦めた訳ではないですよ。これでも色々試行錯誤しているんです。でもそれをやったからといって皆さんが読んでくれるものでもないことは十分知っています。だから目標を切り替えました。今は作品の完結を目指して書き連ねています。いえ、とっとと終わらせる為に書いているんじゃないですよ?ただいつかは終わんなきゃならないんだなと思えるようになったんです。
実はすでに最終章は書き終えていたりします。後はこれをいつ投稿するかだけ。でも物語の整合性がありますから途中を省くわけにはいきません。これは我ながらアホな自分縛りをしちゃったかなと後悔半分、奮起半分です。ですが締め切りがある訳でもないですから気長に行くつもりです。
さて、そんな私の執筆遍歴をつらつらと書いてきましたが、このエッセイのメインはそこじゃありません。実は昨晩とても楽しい夢を見ました。もう、それはそれは楽しくて独り占めしては世間の皆さまに申し訳ないと思い、昨夜見た夢を誰かに教えたくてこのエッセイを書きました。でもちょっと疲れたので続きはまた明日にさせて下さい。それでは皆さん、おやすみなさい。
さて、エッセイなのに何故か続きます。物語と違って話したい事をつらつら書くからこうゆう事態になるのでしょうか?
私は一身上の都合で1年の終わりに学校を休学しました。でもこうしてまた復学しています。1年の時の同級生は既に卒業してしまいましたが新しい学友はみんな良い子ばかりです。今でも時々発作はおきますが、みんな騒いだりせずそれはもう救急隊員かと見まごう程適切な対応をしてくれます。まぁ、一番最初に発作を起こした時はびっくりして何も出来なかったって言ってましたけど。
ですから今は学校が大好きです。いや、言葉が変かな?学校という組織や建物が好きなんじゃないですよ?学生生活が好きなんです。級友と一緒にいる時間と空間が好きなんです。
私がまだ知らないことを教えてくれる先生、そしていらん事までわざわざ喋りまくる級友たち。
学校にこなかった頃の私は一日がとても長く感じていましたが、今はあっという間です。
神さま、なんか時間に細工しました?どう考えても一日が短いんですけど。あっ、でも数学の授業の時だけは長いな。不思議だ。もしかして私は時間の長さを変えられるチート能力保持者なんでしょうか?でも出来れば逆にしてほしいです。楽しい時間こそ長く出来なくては意味がありません。というか自分で制御できないんじゃあんまりありがたくないですね、チート能力。
まぁ、そんなこんなで楽しい学生生活を送れるようになった私ですが、だからと言って闘病生活が灰色だったわけでもありません。いえ、一時は真っ黒な時期もありましたけど何事も喉元過ぎればなんとやらで今ではいい思い出です。
・・、嘘です。思い出したくもありません。だからその話はなしです。そんな私も周りの人に支えられ、なんとかベッドの上で安静しているなら家に帰っていいよとお医者さまに言って貰えるくらいに回復しました。
ふふふっ、がんばりましたよ、私。あのくそニガイ薬もちゃんと飲み続けました。大っ嫌いな注射も呪いの呪文を心の中で唱えて耐えました。
さて、なんで私はがんばったのでしょう?それは小説の続きを書きたかったから。家に戻れればパソコンをいじれます。パソコンの中には私の作品があるんです。あまりの読まれなさに挫けつつも1年間投稿し続けた私の作品。途中で止まってしまった私の物語。でも大丈夫!私は戻ってきたよ、あなたの事を忘れたことはなかったの!
そして家に帰るとベッドには移動式のテーブルと私のパソコンがありました。テーブルはベッドの上で操作出来るようにと父が買ってくれたそうです。ベッドも電動式に変わっていました。高かっただろうに、娘に甘いな!お父さん。でも大好き!・・うん、私も現金なやつだ。物に釣られてしまった。
さて、1時間だけよと母に釘を刺されつつも震える指先でパソコンの電源を入れる私。ぶーんという作動音と共に画面に表示されるオペレーションシステムのアニメーション。
あれぇ~、こんなに長かったっけ?ガリガリいっているから壊れてはいないわよね?あっ、やっと出てきた。うんっ、そうだ、このパソコンってこんなだった。2年もご無沙汰だったから忘れてたよ。きゃ~っ、デスクトップの絵も懐かしい!これは当時私のお気に入りだったイラストレーターさんの絵だ。懐かしいなぁ、戻って来たんだ私。また、あの頃からまたやり直せるんだ。よしっ、リハビリがんばらなくては!
でも、今日の私の目的はあなたじゃないからまたね。そう、私は私の作品に会いに来たのよ。私はデスクトップ上にある私の作品フォルダをクリックする。あれっ?開かないぞ。ああっ、2回叩くんだったな。いやはや、こんな基本的な事も忘れるのか。長いな、2年って。
そしてやっとフォルダの中にある書きかけの私の作品を開く。忽ち画面いっぱいにあの時、書いたままの状態で私の作品が表示された。
ああっ、2年も更新していなかった私の作品!途中で止まってしまった物語の中の時間。でも待っていてくれたんだね。ただいま!また会えたね。また一緒に遊んでね。
そして私は自分の書いた物語を読み返す。勿論、自分で書いたものだからあらすじは覚えている。でももう2年もたってしまったのだ。続きを書くなら改めて最初から読むのが筋だろう。
そして私は自分の物語の中に飛び込む。早速主人公が声をかけて来た。うんっ、この人は常に人に気を使う。おかげでいつも厄介ごとに首を突っ込むのだ。次にヒロインが出てきた。この子はとても健康的で明るく何事にもアクティブ。私とは正反対だね。あの頃はただの憧れとして書いていたのかもしれないけど私も変わったの。もう、あなたに私の憧れを押し付けたりしないわ。
そして悪の元締め、大魔王。いやはや、お恥ずかしい。あの頃の私の周りに対する鬱憤が具現化しているね。そうか、あの頃の私はそんなに周りが嫌いだったのか。ううん、否定なんかしないよ。だって本当にそう思えたんだもんね。言葉なんか信じられなかった。励ましなんか耳障りなだけだった。私の望みはそんなことではなかったの。ただただみんなと同じカラダが欲しかった。
でも、大魔王・・。あなたが私に代わって叫んでくれたのね。私が泣いちゃうとみんなが困るから、表面を繕い嘘笑いで誤魔化す私の心の内をあなたが代弁してくれた。・・ありがとう、大魔王。でも、もう大丈夫。私は蘇ったんだ。もうあなたに理不尽なことを言わせたりしない。
でも正義は勝つ!残念だけどあなたには負けて貰います。
あれっ?中々私の見た夢の話に持っていけないな。う~んっ、よしっ!ここは出し惜しみしてもう一回続けよう。という訳で夢の話は次回に持越しです。えへっ、なんか引きが上手くなっちゃったな。よし、このテクニックは本編でも使おう!
作者より
私はエッセイを物語として読むことがあります。その方の人生感をもって、対象となる事柄を自分の声で綴って下さっているからです。花が咲いたよ、暖かくなったね、こんな事がありました。身の回りの変化をその方の感性で文章にしてくださっています。
勿論、主義主張を真っ向から取り上げている方も沢山いて、その方の憤りが文章から飛び出してきそうなこともままあります。そんな檄文を読むと自分も容易く感化され怒りを共有してしまいます。ただ私の場合はネット環境が身近にない為、次の日には頭が冷えちゃうんですけどね。
でも檄文って憧れます。言葉のみで他人を鼓舞する!並大抵のことではありません。絶対神さまが降臨しています。私も言ってみたいんだけども、どの言葉を使えば良いのかさえ分からない。でも檄文は激情の赴くままに文章にしているのです。
おおっ、これだよ!このことを言いたかったんだ!
そんな文章を読んで共感しない訳がありません。ああっ、神さま、一度だけでいいんです。私にその機会と才能を与えてください。私の言葉で聴衆を湧かせたい!それが私の大それた夢なんです。
さて、私は一昨日、それはもう楽しい、嬉しい夢を見ました。あんまり嬉しくてこうしてみなさんに自慢すべくエッセイとして投稿しています。
その時、夢の中で私は投稿作品の最新話を投稿しようとしていました。webに接続しサイトの自分のページに飛びます。するといつもと違う感じがします。そう、画面に私の作品に感想が来ているよとお知らせがあったのです!ひゃ~っ、感想なんて貰うの久しぶりだぁ、というか3件目だよ。3年やっていて・・。まぁ、その内2年は音信不通だったから実質1年ちょっとだけど。
私は友達に小説を投稿している事を隠している。だから友達からの感想はない。つまり、これは自発的に私の作品を読んでくれた人からの感想である。もうパソコンの前で小躍りしちゃいました。
さて、アホな事をしていないで感想を読まねば。早く読まないと取り消されちゃうかもしれないからね。ポチっとボタンを押すとパソコンは感想用の画面に飛んでくれる。そこに書かれていたことは・・。いや~、何というかお褒めの言葉を頂いちゃいました。うんっ、褒められているんだよね?これって。
まずは2年ぶりの復帰、おめでとうと書かれていました。おおっ、もしかして私の作品のご贔屓さんだったのか!そんな読者がこの世にいたのか!まさに真実は小説より奇なりを地でいっています。
そしてこの方は、私が復帰後投稿した話がぐっと深みが増したとも言ってくれました。しかもみんなにも読んで貰いたいので近々レビューなんっうものまで書いて頂けるそうです。
ひゃ~っ、私の作品にレビューなど恐れ多いことです。恥を晒す事になったらどうしよう・・。いや、何を言ってるんだ私は。自分の作品を卑下するような事を言っちゃいかんぞっと。感想を送ってくれた方に失礼じゃないか。ここは鷹揚に構えて『レビュー?書いてくださってもよろしくてよ。』くらい言っておこう。いえ、嘘です。ありがとうございます。
でもこの方、どうやって私が復帰した事に気が付いたんだろう?私の作品は恥ずかしながらブクマはゼロですよ?と思ったらブクマ付いているじゃないですか!しかも4桁っ!
なんじゃこりゃ~っ!何、なに、なにっ!昨日見た時は付いてなかったよ?いや、昨日はすぐ投稿ページに飛んだから見ていなかったな。
きゃ~、一体いつからこんなだったんだぁ~!アホか?私はアホなのか!宝くじを買っておきながら当選番号発表日を忘れて机の引き出しにしまったままにしておいたってのかっ!
だが私を驚愕させることはまだ続く。きゃ~っ、ひょ、評価まで付いているぅ~。しかも200人もぉ。だ、駄目だ。これは夢だ。もしくはCIAの秘密工作だ。いや、某国のサイバーテロの標的にされたのかもしれない。
だけどパソコンの画面には確かに評価人数:200人と書いてある。私は少し冷静になって作品のアクセス解析ページを開いた。そこには投稿を再開してから何故かうなぎ上りに閲覧数が伸びているグラフが表示されている。初めこそ10人そこそこだったけど一週間もしないうちに千人を突破し、昨日なんて1万人だっ!何だっ!何が起こっている?もしかして私は死んじゃったのか?ここは転生先の異世界かっ!転生先でも小説書いている私って異世界転生モノとしてどうなの?もしかしてモブキャラなのかしら・・。
そして唖然として画面を見ている私の耳にぴろり~んという電子音が響く。これは運営からお知らせが届いたというチャイムだ。私は自分のページのトップ画面に戻る。そしてそこには『書籍化の打診が届いています。』の文字がっ!
書籍化っ!私の作品を?一体どこの出版社が?大丈夫なのか、その会社?あんまり本が売れなさ過ぎてヤケくそになったのか?書籍化だよ?本を作るんだよ?お金掛かるんだからね?売れなかったら損するんだよ?売れたって大した儲けじゃないんだよ?そもそもどうやって私の作品を知ったんだあっ!
夢ですら起こりえない事に私はテンパった。だが指は私の指示を待たずにマウスのボタンをクリックしている。そこには大手出版会社の名前と外国の超有名映画制作会社の名前がっ!
外国の超イケメン俳優を主役にして映像化したいって言って来ているぅ。しかもヒロインは私を指名しているのっ!
こっ、これは夢だ。現実じゃない。こんな事が私に起こるはずがないっ!
はい、結論から言いますと本当に夢でした。目覚まし時計の音が私を桃源郷から現実へ引き戻します。そしてベッドの上で私は定番の台詞を口にする。
「夢か・・。」
夢とはなんと儚く残酷なんでしょう。
でもここのトップランカーさんたちは運でクジを引き当てた訳じゃない。万人の人に納得して貰える作品を世に出したからそこにいるんです。だから私もがんばります。目標はみんなと違うかもしれないけど、あの丘の向こうを目指して歩き始めるの。
それではみなさん、おやすみなさい。よい夢が見れますように。
でも次はかっこいい男の子に告白される夢がいいなぁ。写真を枕の下に置いておけばみれるかしら?
-『私が見た夢』編 完-
■章■科学エッセイ 火を起こす
昔、人類がまだ火を自分で起こせなかった時、最初に木を擦り合わせて火を発火させたやつは英雄としてみんなから認められたであろう。でも彼はもしくは彼女はどうして木を擦ったのだ?木が燃える事は経験から知っていただろう。だが何故擦る?そしてその行為から火を手に入れられると何故思った?閃き?試行錯誤?たまたま?
実は木は擦っただけでは火が着かない。精々擦った面が炭化して赤く光るだけだ。木は結構燃焼発火点が高いのである。だから木屑や枯葉に火の粉を落として着火させる。綿なんかあれば最高だ。その時、新鮮な酸素を送り込むのを忘れてはいけない。物は酸素がなければ燃えないのだ。そして燃え上がった火を枯葉や枝を足して順次火を大きくしてゆく。丸太を燃やすのは最後だ。
この事を知ってさえいれば木を擦る努力も惜しまないだろう。だが誰がこの方法を見つけたのだ?
何といっても火は貴重だ。狩りに成功して肉が手に入っても、生肉と焼肉ではその美味さも食べやすさも段違いである。雑菌の消毒だって火はやってくれる。火は素晴らしい!是非とも手許に置いておきたい。だが動物を追って各地を転々と放浪したであろう当時の人たちは、火を持ち歩けなかった。10キロ、20キロは松明のように持ち歩けたかもしれない。運が良ければ1週間くらいは燃やし続けられたかも。だが1ケ月は無理だったろう。雨も降っただろうし、川だって渡ったはずだ。枯れ草を掻き分けながら進むようなところでは落ちた火の粉で火事になるかもしれない。
それでも彼ら、彼女らは努力したはずだ。火はそれ程魅力的だったから。でもいつかは消えてなくなる。その時の落胆といったらどれ程のものだったか想像もできない。火の当番はイジメられたかもしれない。ぼこぼこにされて最後は喰われたかも。いや、それはないか。この頃の集団は家族単位だっただろうからさすがに喰わんだろう。
火の着火方法さえ知っていればこんな苦労はしなくていいのに、方法自体は簡単なのに、知らないばかりに苦労をしている。
さて、最初の問いに戻ろう。誰がこの方法を見つけたのだ?いや、別に名前は知らなくていい。大体、この時代、言葉があったかすら不明だ。だからこの問いはどうやって気づいた?と言い換えたい。乾燥した強風の日、擦れ合う木々が発火したのを偶然見た?たまたまその木が脂分を多く含む木で着火しやすかった?確かにヒントにはなりそうだが、どちらかと言うと寓話になりそうだ。
-その時、二人の木の神が喧嘩をした。そこに風の神がやって来て二人を煽った。木の神たちは激しく争い、喧嘩をする二人に怒った火の神により燃やされてしまった-
うんっ、悪くないな。でも木と木が擦れた事を言っておいてくれないと正しく伝わらないかもしれない。下手したら火が欲しけりゃ喧嘩しろと後世に伝わりかねないな。
知識・・、一体どうやって閃いたのだろう。もしかしたらこの方法って結構最近編み出されたものなのだろうか?昔はもっと簡単な方法があった?簡単過ぎて忘れられたのだろうか?
今の所答えは出ない。でもいつか、誰かが調べた文章を読んで思わず声を上げるかもしれない。
「これだっ!」
その時、私は限りない満足感と少しの寂しさを感じるだろう。求めていた答えを知った喜びと自分で探しえなかった悔しさを。
■章■科学エッセイ 電気って偉大だなぁ
物を作るって憧れます。一旦、形になった物は運が良ければ数千年は残りますからね。例えを挙げるならピラミッド。石を積み上げただけと言うなかれ。あの石には人間の意志が込められているんです。おっと、うまい事を言ってしまった。石と意思ですって。日本語って面白いな。言葉だって残りますよ?有名なのは楔形文字。所謂、粘土板ですね。まぁ、あれは芸術じゃなくて経済報告書だったらしいですけど。
でも上に挙げた例はちょっと極端かな。乾燥地帯と違って湿潤な気候の日本では腐食進行を止められませんから、中々形として物が残りづらいらしいです。だから日本人は古いものより新しいものが好きなんでしょう。えっ、法隆寺を忘れてないかって?忘れてなんかいませんよぉ。でもあれも何度も改修されているんです。人の手が入っています。だから建立当時から使われていた材料はほんの僅かです。逆にそこまでして維持しないと朽ちてしまうものを維持しているのは大したことなのかもしれません。人の思いはお金に換算できません。熊本城だって、興味のない人にとっては無駄遣いに写るかも知れません。
さて、こうして形の残るものは人々の記憶にも残りますが、世の中には消耗品と呼ばれるものもあります。ちょっと意味が違うかも知れませんが食料なんかは良い例ではないでしょうか。災害時の食料として10年保管できるものなんかも開発されていますが、基本1年以上品質を維持できる食べ物は数種類だけです。それだってそこら辺に放置したらすぐに痛んでしまいます。だから食料の生産は歩みを止める事が出来ません。常に新しいものを植え、育て、収穫し、消費するのです。これは人間が生きて行く上で必要なことですから食料を消耗品と言うのはやっばり抵抗がありますね。
では別の例を挙げましょう。今、私はとっくに日の沈んだ冬の吹雪の中、パソコンのモニター画面を見ながらこのエッセイを書いています。天井には蛍光灯が輝き、ひざには電気毛布が掛けられ寒さから私を守ってくれています。台所の冷蔵庫はこれだけ寒いのにも関わらず中の物を一定の低温に保つ事に心血を注いでいることでしょう。
さて、この今私が置かれている快適?な環境を実現しているものはなんでしょう?電気毛布?そうですね、確かにこれがなかったらこんな文章を書いている場合ではありません。室内の温度は3度です。この温度なら水は凍りませんが人間は震え上がります。パソコンがなければ、そもそもこの文章すら打ち込めません。手書きがある?あなた、いつの時代の人ですか。私はここ数年、メモ以外で文字など手書きしたことないですよ。
はい、これらの素晴らしい文明の利器ですが、それらも電気の供給が止まれば物言わぬ役立たずです。そう、電気こそこれら文明の利器の根底を成す根源だったのですね。
おおっ、電気よ!お前はどこからやってくるのだ!私はお前が休んでいるところを見たことがないぞ!それ程までに私に尽くしてくれるのに私はお前がどこから来るのかも知らない!
いや、調べれば良いんですけどね。でも私って自前のネット環境を持っていないので調べられません。コマーシャルなんかで詳細はwebでと言われるとムカつきます。
多分どこかにある火力発電所の発電用タービンでぐりぐりされた発電機から送られてくるんでしょうけど、よくよく考えたら凄いことです。今、この国で電気を使っている人たち全てに送っているんですから。その量たるや想像もつきません。よく、人工衛星の画像で日本、特に首都圏は不夜城だと言われる写真を見ますが凄いもんです。都会は星が見えないといいますが見える訳ないよ。自分自身が輝いているんだから。
でも私はパソコンを弄るので電気の安定供給にはちょっと煩いです。こいつってちょっとした停電でも機能を止めリセットしくさりますからね。所謂、瞬間停電、または電圧低下です。長編を書いていてこれに遭遇するとへこみます。お前はなんでそんなにきれいさっぱりと忘れる事が出来るんだっ!俺だって数百文字くらいは覚えているぞっ!・・いや、失った文章は1万字くらいはあったんですけどね。うんっ、皆さんも慢心せずこまめな保存を心がけた方がいいですよ。ハードディスクも万全ではありません。雷なんかのリーク電流の攻撃なんぞ受けたら一瞬で回路がパーですから。ディスクには情報が残っていてもそれを取り出す電子回路が焼ければ取り出せません。取り出す業者の方はいるらしいですけどお金が掛かります。テキストデータなんて、全部まとめてもたかが数メガバイドですからUSBメモリーにでもバクアップしておくのが賢い文字書きと言えます。
話題が反れました。電気の話でしたね。電気ってちょっと前までは発電所で作るものだったはずです。発電所にはその元となる動力の種類によって『水力』と『火力』と『原子力』がありました。『地熱』もあるのは知っていましたが発電量は微々たるものだったと記憶しております。これらの発電所は名前こそ違えど結局発電用の機械を駆動して電気を作っているとのこと。つまり、実際に電気を作っているのは発電機であって、水や火や核燃料が直接電気を生み出している訳ではありません。だから発電機を回せるものならその動力はなんでもいいんです。人間だっていいんですよ?えっ、そんな事出来ない?いやいや、あなただって自転車のライトを点けるでしょう?えっ、LEDのバッテリー式?はぁ、さいですか、時代は変わったなぁ。
まぁ、確かに人間が回したんでは効率が悪いですね。でも、いざとなったら出来るということくらいは覚えていてください。小説のネタとしても使えるかもしれませんよ。
さて、そんな便利な電気ですが、ひとつだけ不便なことがあります。それは電気は貯められないという事。つまり、作り続けなければあっという間に電圧低下を起こしパソコンが飛びます。そして全国津々浦々に安定供給するには消費される電力以上の発電量を確保しなくてはいけません。これができないと悪夢の地域停電を招きます。
発熱系の電化製品は電圧が下がっても発熱量が減るだけですが電子制御されているやつの許容範囲は結構狭いです。この国は何故か北と南で電気の周波数が違うんですが、一般家庭の電圧は100ボルトに規定されています。
新幹線は数万ボルトでモーターを駆動させますがあれは鉄道会社が独自に供給していますから別物です。一般家庭の家電は精々95ボルトくらいが下の限界なんじゃないでしょうか。上は120くらいかな。多いのは遮(さえぎ)ればいいので結構上限は高いです。
でも無い物を増やす事は出来ませんから電圧が下がればあっという間に機能停止。個人としたらそれくらいですが供給側は数万、数十万の電気消費機器が相手です。当然、そんな低電圧状態で電気を送ることなど出来ません。いや、できるんですよ?でもその事による不具合、主に火災ですが。それを考慮すると怖くて送れません。だから送電を停止します。
そして一旦停止させるとあちこちの安全装置が俄然がんばり始めます。それらをひとつひとつ戻していくので発電量が原因の停電は復旧に時間がかかるのです。人力ですから。マンパワーです。ボタンひとつで解決できるのは物語の中だけです。
ここまで書けば私が何を言いたいかはわかりましたよね?そう、電気って作るだけで無駄をダダもれさせているんです。安定供給の名の下に余剰発電を行わざる得ない。勿論、需要を見据えながら調整はしてますよ?でも完璧にはできない。いいとこ93パーセントくらいでしょうね。皆さんも夏の猛暑の時にニュースで聞くでしょう?需要が供給量の95パーセントを超えたので節電してくださいという政府告知を。本当に電力会社の方々は毎日綱渡りな日々を送られています。でもそれで商売しているんだから仕方ないよね。
だけど、そんな電力会社の方々を更に悩ませる事象が起こりました。そう、再生エネルギーです。有名処では太陽光と風力。
こいつらって実はすげ~怠け者です。太陽が出ていないと発電しません。風がないとただの飾りです。おかげで電力会社は発電所を減らせません。そんな事をしたら曇った日は電気が来なくなっちゃうから。
晴れた風のある日は発電してくれるのだから止められるだろう?燃料は消費しないんだからいいじゃん!
はい、確かに燃料は消費しません。でも先に言った通り、電気は生もの。常にスタンバっていないといけません。人件費は減らないのです。しかも再生エネルギーの発電拠点は数万箇所に増えますから調整も大変です。はっきり言ってやってみろと言われても絶対嫌です。でも電力会社の方々はやります。黙々とやり続けます。だって、責任があるから。電気の安定供給という目的がありますから。
再生エネルギーは爆発しないけど現時点では大停電を引き起こす不安定エネルギーです。ですからみなさんもがんばって電気を貯める方法を考えましょう。えっ、嫌だ?う~んっ、考えることを放棄した人間って産業ロボットとどこが違うんでしょうねぇ。
■章■科学エッセイ 原子を想像する
みなさん、原子って見たことあります?そう、科学者がその存在を疑わない物質を構成する小さな存在。最近ではそのまた下にある素粒子なんっうものまで考え出していますが、今回のテーマは原子です。
ここで俺は見たことないなぁ、興味もないしというあなた。残念ながらそれは嘘になります。興味がないのは本当でしょうが、実はあなたは原子を見ているのです。はい、先にも言いましたが物質を構成するものが原子ですから、物質であるパソコンやスマホを見ているあなたは言い換えれば原子を見ているのです。
なんか、詐欺師が使っていそうな論理展開ですが嘘ではありません。でも原子の事を少しは知っている方は憮然としていることでしょう。
「そうゆうトンチみたいな物言いは止めてくれない?」
はい、止めましょう。では一個体の原子の話をしましょう。実は小さ過ぎて肉眼で見えない原子ですが科学の発想と技術があれば見ることができるのです。実際、画像に映し出されたものが科学雑誌に載っています。でもそれは何だか想像していたものとは違いました。私は原子核のまわりをぶんぶん回っている電子も見れると思っていたのですが現実は甘くない。なんかまあるいぼこぼこが整然とならんでいるだけの写真にがっかりさせられたものです。
では何故私はがっかりしたのでしょう?それは現実が期待していたものとかけ離れていたからです。私は学生の時分から原子を科学モデルというもので説明されてきました。そう、あの原子核の周りを電子がぐるぐる回っているというやつですね。これに似たのには太陽系の惑星運動があります。太陽系を構成する質量の97パーセントを締める太陽が中央にどんと腰をすえて、その周りを惑星が回る。ねっ、似ているでしょう。
でも実際は違った。写真には小さな太陽系の群れなんか写っていなかった。もしかしたら原子ひとつひとつに惑星があってそこに暮らす生き物たちがいるかもしれないという幻想も崩れてしまった。いや、幾らなんでも発想が突飛すぎますか?でも私が学生の頃はSF全盛時代でしたからね。子供の頃には『ミクロの決死隊』なんつう映画を見てびっくりしていましたから。
SFと科学って切り離せません。ある事象を説明するのに一番簡単なのが科学ですから。それが例えエセ科学でもです。国会議員もよく言っていたでしょう?
「それは科学的に立証できるのですか?」
「これは科学的に証明されているのです!」
みなさん、素人が科学を口にした場合、それは殆どエセ科学です。突き詰めてゆくと矛盾が生じます。肩書きを鵜呑みにしないで自分で判断する事を心掛けましょう。
さて、原子です。その前に『物を見る』ってどうゆう事なんでしょう?
「光が物に当たって反射したものを目が捕らえた現象さ。」
おおっ、ご説明ありがとうございます。多分、完璧です。つまり光を反射しない物体、もしくは通り過ぎてしまうようなものは私たちは見る事ができません。例としてはブラックホール。光さえ捕まえて離さない究極の存在。もしくは空気ですか。まぁ、空気は一応反射しているんですけど色々な波長が混ざり合っているので結果として透明らしいです。後、反射量も関係しているのかも知れません。量が少なくて目の光センサーが反応しないのでしょう。
そう、センサー。これこそが物を見る為の僕らの装置。光を受け取りその情報を脳に伝える感覚器官です。そしてレンズ。これは光を屈折させて一箇所に集中させることができるものです。先程も言いましたが光の量が少ないと目のセンサーは反応しません。だからレンズで光を集めるのです。こうする事によって見えなかった物が認識できるようになります。幽霊を見れる人は多分心に大きなレンズを持っています。羨ましいような、そうでもないような・・。
物質にぶつかって反射した光が目の光センサーに届けば、私たちは見る事ができます。でも光の量が少ないとセンサーが反応しません。原子は小さいのでひとつひとつが反射する光の量は微々たる物です。レンズで拡大したとしても元々量が少ないのでひとつひとつは見えません。
なんと言う事でしょう。その存在を疑う余地もない原子なのに私は見る事ができない!見ているはずなのに見えない!フラストレーションが溜まります。まるでぼかしの入ったAVを初めて見た青年期のようです。思いっきり薄目になります。でも見えない。
だから私は想像します。手元にある情報からこうなっているはずだ、いや、もしかしたらこうかもしれない。いやいや、結構、こうだったりして・・。想像には果てがありません。やがて想像は飛躍し小さな原子太陽系を夢想します。もしかしたらこの宇宙も巨大な物質のいち原子群なのかもしれない・・。
夢は広がりやがてひとつの物語となり形になる。それが世に出るかどうかは定かではありませんが夢は欲望を具現化したもの、夢がなければ科学はここまで発展しなかったでしょう。
知りたいという気持ちは人間の根底を構成しているものなのかも知れません。所謂、好奇心というやつですね。俺は別に・・、と思ったあなた。残念ながらそれは嘘だ。あなただって女の子のスカートの中がどうなっているか見たくて、知りたくて毎晩モンモンとしているはずです。えっ、ネットでもう見たって?それも、なんだかなぁ~。
作者より
う~んっ、数値はうろ覚えです。間違っているはずです。気になる方はwebで確認してください。掠っているとは思うんですが・・。
文系のサイトにおいて科学系は傍流でしょうが、少し齧ってみるのも物語りに信憑性を持たせられますよ。例えそれがエセ科学だとしてもね。
-『科学エッセイ』編 完-
■章■小説を読んでもらう 誰に?
私は今小説を書いています。いえ、別に小説家ではありません。ただなんとなく私でも書けるかなと思いたって書き始めました。きっかけはある素人投稿サイトの作品を読んだことです。はっきり言いますと全然ダメダメ作品でした。こんなのなら私の方が上手に書けるわと書き始めたのです。云わば反面教師ですね。だからあの作品は私にとってはターニングボイント、道を示してくれたマイルストーンです。でも、今読んでもダメダメなことに変わりはないんですけど。
でも、いざ書いてみるとこれが結構難しい。あるワンシーンくらいならさらさらと書けるのです。でもそれに肉付けしようとすると途端に筆が止まります。そのシーン自体は私の頭の中で完成しているので自分が読む分には違和感もないのですが、知り合いに読んで貰ったらダメ出しのオンパレードでした。
彼女曰く。
「この人、誰?」
「別れたいの?縁りを戻したいの?」
「そもそも、どれくらいの付き合いだったのよ。」
はい、私の中の漠然とした設定を事細かに聞いてきます。中には私が想定していなかったことまで聞いてくるものですからムカつきました。その事を今度は別の友人に愚痴ります。
彼曰く。
「それはね、君の作品が良すぎたのさ。だから文章に表されていなかった事まで知りたくなったんだ。」
はい、彼は私が癇癪を起こさないように言葉を選んでいます。でも単純な私はころっと騙される。そうか、私は全てを知っているけど、彼女は私が書いた文章からしか情報を得られないんだもんね。興味を持って貰えたならその動機や背景を知りたくなるのも当然よね。つまり、私と彼女ではこの物語に埋め込まれている情報の量に差があったのだ。まさか、こんな身近で情報格差を実感するとは思いませんでした。ん~っ、これって使い方あってます?
私が書いた文章は云わば映画のクライマックスだけを抜き出したものでした。確かに感動もんの場面かも知れませんが、そこに行き着くまでの過程を知らない人にはただの修羅場にしか思えなかったのでしょう。なら、そこも書けよと言われそうですがこれがまた難しい。なまじクライマックスシーンに思いいれがあるものだから、そこへ行くまでの過程がドロドロだったり、薄っぺらだったりと自分の中で釣り合いが取れないのです。今度は自分で自分の文章に突っ込みを入れられます。
「なんでそんな事で怒り出すの?」
「あんた、本当にその場限りねぇ。」
「お前、それって世間じゃ二股っていうんだよ!」
ぐすんっ、しかも出来上がった過程部分ってどこかで見たようなエピソードがてんこ盛りです。多分、韓流ドラマです。もしかしたら昼ドラかも知れません。なんだ、私って自分でオリジナルを書いたつもりでいたけど結局パクっていたのか・・。でもここで挫けては私をこの世界に導いてくれたあのダメダメ作品に申し訳がたたない。いや笑われてしまう。それだけは嫌だ。
私は出来上がった小説をまた彼女に読んで貰う。うんっ、別にマゾじゃないわよ?私のまわりで一番はっきり言ってくれるのが彼女だからです。
彼女曰く。
「グラム千円の肉を卓上コンロで焼いたみたい。」
「表紙だけはかわいいエロ雑誌ね。」
「モナリザの絵に幼稚園児が落書きしてるわ。」
くっ、そこまで言うか!でも最後のモナリザは褒めてくれてるんだろうか?
結局、私は自分だけが判ることを、書き連ねていたみたいだ。だから読んだ人がどう感じるかなんて考えていなかった。きれいな所だけを切り取って、ほらきれいでしょう?と自慢する。その後ろで散らかっている汚い部分はシーツを被せて目隠しだ。
だから実際に書いてみたらあのダメダメ作品と同じになってしまったのだろう。あの作品の作者も自分だけが判る世界を書いたのだろう。だから私にはダメダメに見えたのだ。
この前私を慰めてくれた彼はそれでもいいじゃないかと言う。自己表現なんだからやり方は人それぞれだと言ってくれた。確かにそうだと思う。でも私は書くだけじゃ嫌だ。みんなに読んで貰いたいのだ。でも今の私には読んで貰える作品を書けない。どうしよう?そこでまたまた彼女の登場だ。
「あなた、もしかして自分を天才だと思っているの?」
いや、そんな事は・・。
「初めて書いたんでしょう?それって普通なんじゃない。」
はい、そうですね。でも、初めて書いた小説で一発当てた人もいるって聞いてるし・・。
「あなた、努力って嫌いだもんね。料理もレシピ通りに作らないし。」
いや、そこはなんというか、創意工夫を隠し味に・・。
「でも、ストレッチは続けているわね。それだけは褒めてあげるわ。」
ううっ、だって私って太りやすいからさぁ。昔の私には戻りたくないのよ。
「継続すれば結果はついてくるんでしょう?なら、続けるのね。来年になったらまた読ませてよ。」
らっ、来年なのかいっ!今は4月だぞっ!せめて夏くらいと言えんのか、お前はっ!
でも、そんな彼女の励まし?で私は新たな小説を書き出す。よしっ、今度は彼に読ませる事を念頭に書こう。内容は私の思いではあるが、読ませる対象を思い浮かべることにより深みがでるはずだ。それを読んだ彼は感動の涙を流しながら私の元に駆け寄ってくるだろう。
人はそれをラブレターという。
■章■小説を読んでもらう どうやって?
私は本を読むのが好きだ。本はいいよ~っ、何といってもコストパフォーマンスがいい。漫画だと1巻1時間掛からないで読んでしまうけど本はそうはいかない。下手したら1週間くらいかかる時もあったわ。・・まぁ、あれは間に友だちの結婚式とかあったから時間が取れなかったんだけど・・。くっ、次はあなたの番ねだと!勝ったつもりか○○○っ!・・いやあなたの勝ちです、お幸せに。
しかし、私は幸せには成れないかも知れない。だって、男より楽しい事を見つけちゃったんですもの!
それは自ら小説を書くことです。今までは作家さんが書かれた物語の世界を渡り歩いていましたが、たま~に気に食わないエンディングなんかに遭遇しました。いやいや、それは駄目だろう主人公よ。お前は鬼畜かっ!とか、あんた、そこで身を引くの?何で?どうして?とかいう突っ込みを本相手にやってました。でも、なら自分で書くかという発想はありませんでした。この投稿サイトを知るまでは・・。
うっほーっ!なんだここはっ!小説ってこんなに誰でも書けるものなの?もしかして法律違反なんじゃないの?こんなパラダイスが存在していいのかっ!
うんっ、ちょっと盛ってあります。さすがにここまで興奮していません。でもハマりました。読んで、読んで、読み耽りました。そしてお決まりの思考発露です。
ああっ、私も書いてみたいっ!あのエンディングを私の思うがままに描きたい。
思い立ったら吉日です。私は私の作品を書き始めました。でも投稿はしません。この時は書くこと自体が楽しかったもんですから。私は私の為だけに物語を書きました。そして念願のエンディングです。
ふふふっ、そうよ、やっぱり物語のエンディングはこうじゃなくちゃね。よしっ、もう一度最初から読み直そう。
はい、お恥ずかしいばかりです。思いっきり誤字脱字まくりでした。しかも読み返す毎に新たな間違いが発見されます。すごいな私、もしかしてわざとか?
でも物語の内容自体は満足ゆくものでした。だって、自分が読みたいと思っていたストーリーなんですもん。当然です。
でそうなると誰かに読んで貰いたくなるのは人間のサガでしょう。・・そうですよね?私、間違っていませんよね?
そして私はアカウントを取り、投稿サイトに作品をアップしました。
くくくっ、暇を持て余した愚民どもよ!私の作品を読んで喜びのあまり発狂するが良いっ!
今から思えば随分な思い上がりです。でもあの時はこんな感じでした。作品の質に関しても自信がありました。これほど泣けて笑える作品はついぞ読んだ事がないと自負していました。
でも、現実は厳しい・・、全然読んで貰えません。感想ゼロ、ブックマゼロ、評価ゼロの日々が続きました。ゼロ、ゼロ、ゼロ・・。何で?どうして?何故?
私は投稿サイトの読者を呪います。
あんたら何を読んでいるんだっ!まずは私の作品を読めっ!呪うぞ、ゴルらぁ!
はい、ネタを明かしますと当時の私はPV、UVの存在を知りませんでした。感想、評価、ブックマ数が読んでくれた人の数だと思い込んでいました。
でも、私が呪いの魔方陣を書いていた時、創作の神さまがそっと教えてくれたのです。
-汝、アクセス解析ページを見よ。されば救われん。-
はい、嘘です。ちゃんと自分で調べて見つけました。そしたらあなた、ちゃんと数字が出ているじゃないですかっ!
おおっ、UVが333人!PVに至っては600かっ!
はい、因みにこの数字って12話目を投稿した時期のやつです。しかも総合値。一日のアクセス数ではありません。決して333人の方に読まれた訳ではありません。今は分かっていますが多分、実際に読んでくれた人は20人くらい・・。
でも当時、私は他の人気作家さんたちの数字を知りませんでしたから凹みませんでした。いえ、逆にこの数字で狂気乱舞です。333に~んっ!すっご~いっ!私の高校時代の全校生徒数と同じだぁ~っ!
はい、知らないって、時には幸せなことなんですね・・。でも今は違います。私はもう知ってしまいました、この数字は実数ではないことを。
でもめげません、この投稿サイトは現在一日に千件近い投稿があります。つまり千件の中から私の作品を指名してくださった方がいらっしゃるのです。これってある意味わらの中から針を拾って頂いたようなものです。とても嬉しいことです。
時間帯によって読んで貰えるチャンスが変わるという事も学びました。予約投稿は便利だけど数の海に埋没しやすいという事も知りました。タイトルが読者さんへの一番初めのご挨拶だという事も分かりました。ツイッターや作家さん間の交流などのアクティブな活動が読んで貰える機会を増やす手立てだと言うことも学びました。
でも、今の私にはどれも敷居が高いです。読んでは貰いたいけどそれはあくまで読まれる方の判断に委ねたいのです。だって、物語って好き嫌いがありますから。仮に作家さん間の交流で読んでねと言われても私はホラーが苦手です。絶対、読みません。タイトルだって結構思い入れがあります。このタイトルに変えたら絶対アクセス増えるよと言われても、迷うでしょうが多分変えないでしょう。
だから私は読んで貰いたい欲求をぎゅっと押さえ込んで今日も待ちます。私のタイトル、私のあらすじで読んでみようかなと思ってくれた読者の方の訪問を。
相変わらず私の作品はゼロ、ゼロ、ゼロのスリーゼロ状態ですが、PVとUVは少しづつ増えています。投稿した日は必ずPVが付きます。私の読者さんは寡黙な方が多すぎます。
くっ、恥ずかしがり屋さんたちめ!感想?書いてくださってもよろしくてよ。
うわ~っ、言っちゃった。でもひとりくらい書いてくれてもいいんじゃないだろうか?あっ、でも私も書いた事ないな。これは失礼。
■章■小説を読んでもらう 何故?
私は小説をとある投稿サイトに投稿した。内容に自信はある。読んでさえ貰えれば絶対満足して貰えるはずだ。
でも誰も読んでくれない・・。何故なんだろう?何がいけないんだろう?あの作品はあんなに読まれているのに、何故私の作品は読んでくれないんだろう。
私は答えの出ない迷宮に迷い込む。でもひとりで悩んでもまともな答えなど見つかるはずがない。そこで私は友達に相談した。
彼女曰く。
「選んで貰える訳ないじゃん。あなたの作品よりおいしそうなお皿が次から次へと来るんだから、どうせ食べるならそっちを選ぶわ。」
彼女は回転寿司を例に出して説明してくれる。くっ、私の作品はクロマグロじゃないと暗に言っているようなものだぞ!
「えーっと、どうしたらいいと思う?」
「値段を下げる。量を増やす。オマケをつける。魚種を偽る。」
彼女はやっぱり回転寿司で例える。でも魚種を偽っては駄目だろう。残念ながら私の舌はそこまで肥えていないぞ。この前、あなたが進めてくれた皿を「おいしいわね、このサバ。」と言ったら冷たい目で「それ、ハマチ。」と言ったじゃない。くっ、切り身でわかるかっ!いや、魚体を見せられても分からないけどね。
「値段は無料なので下げられません。」
「なら分量を増やすのね。書き続けていればチャンスは消えないわ。」
あーっ、そうね、そんな作品も沢山あるなぁ。うんっ、みんながんばっている。
「オマケは何を付けたらいいか分かりません。」
「ラノベ小説のオマケと言ったら絵でしょう?あなた絵、描ける?」
「へのへのもへじなら・・。」
「人様の絵を無断で使用しちゃ駄目よ。」
「はい・・。」
くっ、人様にお見せできるような絵が描けたら漫画を描くわいっ!
「あの・・、後は・・。」
「魚種?そうねぇ、小説における魚種ってジャンルでしょう?またはタイトル。」
「1話目でばれて怒られそうです。」
「なら、それ用の別作品を書きなさい。そこにこっちも読んでくれたら嬉しいな、うふっ。とか書いておけば何人かは釣れるでしょう。」
こいつ、実は詐欺のプロか?それは思いつかなかったぜ!
「人気のあるテーマは知識がなくて書けません・・。」
「はぁ~・・、そもそも、あなたは何で読んで貰いたいの?」
ため息混じりに彼女が問題の核心を突いてくる。
「えっ、あれっ?そう言えばなんでだろう?」
私は彼女の言葉に答えられなかった。私の書いた小説を読んで貰う。それってどうゆうことなのだろう?私は別に書籍化なんて狙っていない。だから読者に媚びたような内容は書いていない。あれ?これって読む方からしたら全然興味が湧かないわよね?あれっ、それじゃ、読んで貰えないのも当然ってこと?
「結局あなたは自分の子供を自慢したい奥さんたちと一緒なのよ。ウチのたっくんたらもう英語が喋れるのよとか、この子ってパパ似だから将来はモテモテに違いないわってね。」
あーっ、なんか的確すぎてその例えはいやだ。そうか、私は自慢したかったんだ。でも、誰も読んでくれないから自慢する場がなくてつまらなかったんだな。なんだ、結局作品じゃなくて私を見て貰いたかっただけだったのか。
「ところであなた、私には小説を書いていた事言わなかったわね、何で?」
「え~っ、だって恥ずかしいじゃん。」
作者より
エッセイの体を成していません。次からは気をつけます。
でも何故?ですかぁ。それは人それぞれでしょうねぇ。読んで貰う事によって人気を得て書籍化という名誉と金銭を得たいと思う人もいれば、ただ単に感想を聞きたいなぁという方もいるでしょう。えっへん、俺はこんなにも書けるんだぜと自慢したいだけの方もいるでしょうし、ただひたすら自分の内面を書き出したいだけの方もいるはずです。
だから物語を書いて読んで貰う理由を考えるのは野暮かも知れません。というか面と向かって聞かれたら恥ずかしくて答えられません。だから私に何故?とは聞かないでくださいね。
-『小説を読んでもらう』編 完-
■章■作者の方を夢想する 学生
僕はこの春念願の高校生になった。えっ、大抵は成れるだろうって?うん、そうなのかも知れないけど僕はその大抵の枠に入っていなかったらしいんだ。まぁ、有体に言って成績が良くなかった。但し、全てではない。教科ごとにばらつきが有り過ぎたのだ。
僕は国語と社会科は好きだったが数学と理科には全く興味をもてなかった。英語はどうしてもスペルを覚えられない。50も音のある日本語を覚えられて26文字しかないアルファベットを何故覚えられないんだと先生は言ったが、先生は間違っている。
文字の数は確かに少ないが組み合わせでは膨大な数になるんだ。そして読み方に関して沢山の例外が英文にはある。はっきり言って覚える気にならない。僕はこの国で生きてゆく。だから英語は使いません。世の中にはアルファベットが氾濫しているけどふり仮名さえ振ってくれれば事足りるさ。
そんな極端な成績だから高校へは先生の推薦で進学できました。もしかしたらこの子は天才かもしれないから面倒を見てくれと通常ではあり得ない内申書を書いたらしいです。
もっとも、僕が入学した学校は私立だからお金さえ払えば取り合えず入学出来たみたいだけどね。
そんな僕の趣味は小説を書くことです。いや、ちょっと前までは読むことだったんだけど、別にプロの人じゃなくても小説を書いていいと言うことを知ってしまったのだ。そう、この投稿サイトで!
小説を読むのは楽しかったけと書くのは数倍楽しいです。特に既存作品の二次は最高です!あの可愛らしいヒロインが僕が言って欲しい台詞を、僕が望む行為を僕のためだけにやってくれるのです!
○○君、大好き!○○君、怖いから一緒に寝ていい?○○君ならいいよ。
うおおおおっ!僕も君が大好きだっ!勿論だとも!一体何をしていいんだぁっ!
そんな僕とヒロインの蜜月は続きます。二次嫁?非リア充?内向きベクトル?それっておいしいんですか?
僕だってちゃんと充実した学生生活を送っていますよ?クラスメイトとは挨拶はするし、グループ分けだってちゃんと最後に余った集団に入れて貰ってます。馬鹿なやつらの馬鹿話にだってちゃんと混ざれます。頷いていればいいだけだから簡単です。
あの子可愛いなぁ?いやいや、僕のヒロインの方が数倍可愛いね。
このAV女優おっぱいでけぇ~?いやいや、僕の性奴隷の方がでかいよ。
あいつ、生意気だ。今度締めようぜ?お前たちだけでやれよ、僕を巻き込むな。
本当に現実は我侭なやつらばかりだ。自分の事しか考えていない。
その点、僕は違う。何たって物語の創造主だからね。ちゃんとみんなの事を考えているのさ。でなければ物語が破綻してしまうからね。さぁ、今日も続きを書こう!あっ、なんかこのヒロインも飽きたな。今度はこのアニメのキャラを登場させるか。こっちのキャラもぎゃふんと言わせて僕の虜にしてやる!
そうっ、小説の中では僕は神だ!神だからなんだって出来るんだ。僕にリアルは必要ない。この世界さえあれば幸せなんだ!
ぎゃ~っ!親にネットを解約されたぁ!くそっ!ぶっ殺してやる!
■章■作者の方を夢想する 主婦
私は主婦暦○年の初々しい若妻。私の献身的な気配りで家庭内は円満だ。でもこの頃子供たちも反抗期に入っちゃって相手をしてくれない。本当にあの歳頃の男の子ってだめねぇ。何が気に入らないのかしら。いつもツンツンしちゃって誰彼構わず当り散らすんですもの。
そんな家庭内に問題が、いやこれは問題と言うほどの事じゃないわ。どの家庭でも経験する一過性のものだもの・・。そんな私のリフレッシュ方法は小説を書くこと。この世界では私は十代の乙女に戻れるの!糞生意気な子供たちの事を忘れ、甘酸っぱい青春時代へ羽ばたけるの!
だから私の書く小説は甘々である。ヒロインは絶対可愛いし、相手役は絶対イケメンだ。これ以外の設定で書く気はない!一応、流れに起伏をつける為に悪役も出すけどイケメンに勝てる訳がない。いや、そもそも勝っちゃ駄目でしょう。
でも私は天邪鬼だから焦らしちゃうの、イケメンが色々な方法で言い寄るアプローチを楽しむの。でも勘違いしないでね、私が愛しているのはあなただけよ。ただ私は業の深い女だから常にあなたの愛を感じていたいの!
さぁ、今日はどんな台詞で私を楽しませてくれるのかしら。あらっ、別の女に声を掛けて私の気を引くつもり?まっ、しょうがないわね。そんな子供みたいな駆け引きじゃ私は落とせないわよ。
私はこの世界の女王。ほら、あの女はトラックに引かれてどっかに行っちゃったわ。しょげているの?ふふふっ、いいわ、私が慰めてあげる。でも今回は特別よ、次はもっと凝った演出をしてね。
彼は私の胸に顔を埋めて泣く。そんな彼の髪を撫でながら私は囁く。
「大丈夫よ、あれは一時の気の迷い。あなたには私がいるわ。さぁ、全てを忘れさせてあげる。こっちにいらっしゃい。」
私は彼を寝室に招きいれる。そして若い情熱を体一杯に受け止めるのだ。そして野獣と化した彼は私をなぶり続ける。その荒々しい行為に私も我を忘れて応えるのだ。今この瞬間、世界には私たちしか存在しない。これぞ愛!私が求めて止まない桃源郷なの!
そんな私の幸せな時間を突然現実に引き戻す声が玄関で響き渡る。
「かあちゃんっ、腹減ったぁ!何か食うもんない?」
作者より
いや、すいません・・、怒らないで下さい。決してあなたの生活を覗き見た訳ではありません。仮に一部合致する箇所があったとしてもたまたまです。偶然です。
これとは別に日常系を書かれている方も想像したんですけど日々の生活に満足されているようなので止めました。かと言って生活に追われて疲れている方は書くのも辛いですし、ぶっちゃけ読みたくないです。
という事で現実にはあり得ないであろう奥様を創り上げました。この家庭の年間収入は絶対2千万を超えています。車は絶対独国の高級車です。邸宅は多分成城にど~んと構えています。成城ですからね、成増じゃありません。
お昼は毎日近くのレストランでご近所さんたちとランチです。1食5千円です。エステだって1万円コースじゃありません。最上級ランクのはずです。
そんな恵まれた環境の奥様ですが、何故か心の中を隙間風が吹いています。そう、人間とはどんなに良い生活を送っていても慣れてしまうとそれが当たり前になってしまい感謝の気持ちが薄れるんですね。
そこで小説です。小説は自分の内面を映し出す鏡となります。簡単に1ランク上の生活を擬似体験できます。火遊びするより全然健全です。ホストに入れ込むよりずっとマシです。
だから皆さんも小説を書きましょう。小説の中ではあなたは貴婦人です。絶世の美女です。ファーストレディです!世界があなたに傅(かしず)きます。
そんなあなたの夢を分けて下さい。ご投稿をお待ちしております。
■章■作者の方を夢想する ニート
俺はニートだ。文句あるかっ!俺は間違っていない、間違っているのは世間の方だ!
働けだとっ!働いたさっ!だが俺を排除したのはそっちだろう!無理難題を押し付けて、挙句の果てに自分のミスを俺に擦り付けやがってっ!
俺はお前の手下じゃねぇんだよっ!ざけんなっ!ちょっといい大学を出たからってなんなんだ?お前なんか部下さえまともに扱えないコミュ障野郎じゃないかっ!
上にばかりへつらいやがって、それでも男かよっ!部下の失敗をフォローするのが上司の務めだろう!いい加減にしやがれっ!こんな会社、辞めてやる!
これで判っただろう、俺は悪くない。俺がこんな風になったのは全て世間の責任だ。この世界は間違っている。変えなくてはならない。だが、腐った政治家には任せられない。俺たちにはチカラがある。ネットを通して民意を誘導し絶対世の中を変えてやる。
税金は金持ちからしか取らない。勿論、消費税は廃止だ。犯罪者は人権を剥奪して労働奴隷として自分が犯した罪を購(あがな)わせる。
大学は全て廃止だ。あんなものがあるから格差が生じるんだ。その代わり金を支給してやりたい事をやらせる。才能を開花させるんだ。見聞を広げる為、旅をしてもいい。何かの研究に没頭してもいい。誰も挑戦しなかった事に立ち向かうんだ。
歴史は学校教育から外すっ!俺たちは過去を振り返らない、常に前だけ見て突き進むんだ!過去の落とし前はその時に清算しておけよっ!こんなんじゃ、100年経っても引きずっているぞ!
数はチカラだ!俺たちが結集すれば政権なんか簡単に奪えるんだ!その時になって反論したって遅いからな!少数意見を尊重しろだと?お前たちがそれを言うのかっ!お前たちがいつ少数意見に耳を傾けたと言うんだ!
俺たちは間違っていない、今お前たちがやっている事を俺たちのベクトルでやるだけだ。その時、俺たちの前に立ち塞がったら潰してやる!だが勘違いするなよ、それはお前たちが先に始めたんだ!自分の行いによって滅んでゆくがいい!
明日のこの世界を導くのは俺たちだ!歳寄りはとっとと席を譲りな!
作者より
突っ込み不要です。でもこれくらいじゃないと今の時代、新しいものは考え付かないかも知れません。まぁ、人に迷惑をかけるようなアイデアは受け入れて貰えないでしょうけど。
財源?いや、だからそんなことを悩んじゃ駄目なんですよ。お金の事は国に任せればいいんです。補助金をど~んとばら撒いてくれますから。書類をちょちょいのちょいするだけで億の単位でがっぽがぽです。
さすがは最先端のコンピュータを開発しちゃう方です。頭いいですね。その点、土建屋は泥臭過ぎます。自分の家の草むしりくらい自分でやれよ。一体どんだけ広い庭を持っているんだ?
はい、世間ではニートという言葉にいい印象はないでしょうが、昔の武士の次男坊、三男坊も同じようなものです。決して新しい立場ではないんです。だから冷や飯食いなどと言わないであげてください。開拓の先頭に立って新天地を目指すのは常に彼らです。将来、彼らは異世界に理想郷を築き上げます。今、鼻で笑ったあなた。来年、青ざめても知らないですよ。
でも私は本当にこんなエッセイを読みたいのか?
-『作者の方を夢想する』編 完-
■章■恋に恋して愛を語ろう 女の子の場合
私は最近好きな人が出来ました。その人は学校の先輩です。部活動で知り合いました。でもまともに喋ったことはありません。だって先輩ですから。
でも、いいんです。部活に行きさえすれば会えるのですから。部活の時間中は一緒にいられるのです。先輩を見ていられるのです。今だってほら、絵の具を拭った手で顔を触るから絵の具がついちゃいましたよ。これはチャンスではないでしょうか?そっとハンカチを渡すべきでは?それをきっかけに話をすることができるのでは?
でも私にはそんな勇気はありません。結局、隣の人が先輩をからかいます。先輩は鏡を見ながら綺麗なウエスで拭い取っています。あっ、髪の毛も弄ってます。ちゃんと髪型も気にしているんですね。でも先輩、前ばかり気にしては駄目です。後ろの毛が少し跳ねていますよ?ええ、ほんの少しですけど。多分、私以外の人は気付きません。でも私には分かります。だって、いつも見ているから。
先輩は自分の絵を他の人に見せて感想を聞いています。結構みなさん、歯に着せぬ批評をされています。先輩は少しムッとしますが次の瞬間は笑っています。でも私には声を掛けてくれません。私に感想を言わせてくれるのなら絶賛するのに!もう先輩が勘弁してくれって言うほど褒め上げるのに!世界で一番あなた(の絵)が好きっ!って言えるのに!
ちょっと白々しすぎますか?でもそんな機会は訪れません。先輩にとっては私はただの後輩です。もしかしたら名前も覚えてくれてないかも・・。
先輩、それでも私はここに居ますよ。あなたをいつも見ています。私の秘密日記にはあなたへの思いが綴られています。今、2冊目です。私の宝物は部の新入生歓迎会で撮った集合写真です。先輩は私の後ろで私の肩に手を置いてくれました。今でも思い出すだけでご飯2杯はいけます。でも出来ればもっと大きな写真が欲しいです。スマホは持っていますがどうしても撮れません。緊張で手が震えてせっかくの美しいお顔がぶれぶれです。でもいいんです、こうしてまぶたを閉じればいつでも先輩を思い出せます。耳を澄ませば先輩の笑い声が聞こえてきます。
でもそれだけです・・。恋とはなんと我侭なのでしょう。ひとつ、宝物を手に入れるともっと別の宝物が欲しくなります。そこに満足という感情はありません。常に新しい何かを求めてしまいます。今日は先輩が3回も笑った。今日はなんだかしんみりしている。今日はいつにも増して真剣だ・・等々。
この思いが先輩に届く日はあるのでしょうか。いえ、ないと思います。私は口に出す勇気も持ち合わせていない。私なんかに思いを伝えられても先輩が迷惑するだけです。
でも・・、でも、でもっ!
思い続ける事ぐらいは許されますよね?これは私のわがまま。でも偽りない私の思いです。
そして私は今日も部室へ向かいます。絵はそんなに得意じゃないけど先輩の好きなことなんですもの、私もがんばって好きになります。そしていつか私の絵を見て声を掛けてもらうのが目標です。
そんな私の思いが天に通じたのでしょう。なんと私の絵が賞を取りました!しかも先輩と一緒です!我が高では私と先輩だけです!
これは転機です!絶対先輩が声を掛けてくれます。ああっ、私はどうすればいいのでしょう!先輩は褒めてくださるでしょうか!がんばったなと労(ねぎら)ってくれるでしょうか?
私は、私の名前が乗った雑誌を手に先輩に報告すべく部室へ向かいます。
この雑誌は先輩の下にも届けられているはずです。でも、先輩は私の作品に気付いてくれたでしょうか、気に入ってくれたでしょうか?
いえ、ここで弱気になっては駄目です。我が高では私と先輩だけなんですよ?絶対見てくれています。
でも・・、通知自体は手紙で自宅に届いたし、先輩と一緒の受賞と判ったのだって一緒に届けられた雑誌を見て知ったのだし・・。しかも先輩は金賞、私は入賞。掲載ページも違っていたし・・。
大体、先輩は私の名前を知っているのだろうか?高校の名前も出ているから先輩と同じ学校の生徒だとは思ってくれただろうけど、誰だっけ?なんて首を傾げられたらへこみます。
ああっ、考えれば考えるほどネガティブになってしまう。駄目よ、さゆり。思いは現実化しやすいの。だからポジティブに考えなきゃ!そう、これは私と先輩が出会うプロローグなのよ!この事をきっかけに親密になるの!
そして私は部室の扉を開ける。そこには私と同じ雑誌を手にする先輩がいた。
その雑誌には私の作品と名前が載っている。
作品名 想い・・ 白百合女学園 1年 七瀬さゆりと・・。
■章■恋に恋して愛を語ろう 男の子の場合
いつからだろう、僕が彼女の姿を目で追うようになったのは・・。
彼女はいつも輝いていた。誰彼隔たりなく話しかけ、一緒に笑い、一緒に悩んでくれる。それでもぐずぐず不貞腐れているやつにはきつい一発を投じ自分自身の矮小な姿を見つめ直させてくれるのだ。
そんなだから彼女は人気者だ。彼女の周りは常に人が集まる。僕はその輪の中に入れない。いつも外から見つめるだけだ。
それでも日に日に彼女への思いはつのる。
この思いを伝えたい衝動が全身を駆け巡る。幾万の言葉の中から選りすぐった素敵な言葉を彼女に贈りたい!僕の全身全霊を込めた思いで彼女の心を揺り動かし感動を与えたいのだ!
でも僕は自分の気持ちに鍵をかける・・。だって僕は彼女が好きだから。
もしも僕などに思いを告げられたら彼女はどう思うだろう?
迷惑ではないだろうか?・・きっと迷惑だろう。
気分を害さないだろうか?・・絶対に嫌な気持ちにさせるはずだ。
僕を慮(おもんばか)って自分の気持ちを偽り優しい言葉を掛けてくれるだろうか?・・嫌だ・・、そんな事はさせたくない。
だから僕は彼女にこの思いを伝えられない。彼女が嫌がるであろう事を出来るわけがない。僕は彼女が好きなのだ。好きで好きで堪らない。でもだからこそ伝えられない。
僕は自分の中にあるもうひとつの欲望と対峙する。僕は彼女とエッチな事がしたいだけなんじゃないか?本当は女の子なら誰でもいいんじゃないか?彼女が人気者だから僕の彼女だとみんなに自慢したいだけなんじゃないか?自分に自信がないから彼女を使って虚勢を張りたいだけなんじゃないのか?
昨日、男子が彼女に告白して断られたという噂を聞いた。僕はほっと胸を撫で下ろす。よかった、まだ彼女は誰のものでもない。僕のものでもないけれど取り敢えず可能性という自分を偽る言葉は口に出来る。
でもそこには彼女の気持ちを推し量る気持ちはない。全ては自分中心の身勝手な思いだ。僕は彼女が幸せになって欲しいと思う。でもその奥底には僕が幸せにしたいという気持ちがあるのだ。だけど僕は自分の実力を知っている。僕では彼女を幸せに出来ない。
何故なら、幸せにするための努力をしようとしないから。僕はただここにいて彼女が振り返ってくれるのを待っているだけだ。自分を磨き、アピールする事もなくただ待っているだけ・・。
多分僕は卑怯者なのだろう。彼女の為と言いつつ本当は自分が傷つくのが嫌なのだ。嫌われるくらいなら最初から近付かない。今のままで彼女を好きな自分に酔っていたいのだ。
でも、でも・・、でもっ!
今日、僕は決心した。今から僕は生まれ変わる。彼女に相応しい男になってみせる。そう、僕は歩き始めようとしている。彼女に一歩近付こうと決意したのだ!
来年!そう、卒業式の時までには胸を張って思いを告げられる自分になってみせる!時間はある!どうやればいいのかなど分からないけどとにかくやってやる!
彼女が困る?多分そうだろう。だが今の僕が告白するよりは万倍ましな男になって伝えたいのだ!
僕は君が好きだ!好きなんだ!大好きだっ!
■章■恋に恋して愛を語ろう 大人の場合
どこで私は道を誤ったのだろう?なぜ私は今ここにいるのだろう?
あの人と会うたびに私は自問する。私もあの人もそれぞれ家庭を持っている。これは許されざる行為だ。何度もこれで終わりにしようと決意し、その思いを伝えるためにあの人に会う。
でもその度に私は流される。あの人の温もりを手放したくなくなる。全てを投げ出してあの人の下に駆け出したくなる。あの人といる時だけは私は女になれる。母ではなく、妻でもなくひとりの女になれるのだ。
私はあの人を困らせたくてわざと無理な事を言う。
「奥さんとはいつ別れてくれるの?」
「私は半年経たないとあなたの子供を産めないのよ?」
「今月はまだ生理がきていないの・・。」
あの人にとって私との逢瀬は遊びだ。言葉では私を愛していると言ってくれるけど本心ではない。それは判っている。だって私だって同じだから・・。
最後の最後には私もあの人も今の家庭を取るはずだ。あの人を愛している気持ちに偽りはないけど、それは私だけの問題だ。愛など所詮泡沫(うたかた)である。今の生活と天秤に掛ければ容易く空を舞い切り捨てられる。
私は酔っているのだ。危険な刹那的状況に身を置き悲恋のヒロインを演じているだけに過ぎない。
頭では判っている。だけど止められない。止めなければ何れ破局を迎えるのに私の心はそれすら望んでいるのかもしれない。
そう、私は演じているのだ。現実の生活で満たされない心を偽りの愛で埋める為、不幸せなヒロインに身を重ね、その状況に酔いしれている。
でも夢はいつかは覚めるもの。だから今を楽しもう。現実を忘れ自分の思うままに欲望に忠実に生きるのだ。
-『恋に恋して愛を語ろう』編 完-
■章■お金のはなし お金ってなに?
金が欲しいっ!猛烈に欲しいっ!もしも俺が望むだけの額を貰えるならこの世界と交換してもいいっ!
はい、この世界は君の物じゃないから交換対象にはなりません。
さて、彼は何故、お金を欲したのでしょう?お金ですよ?あれって価値を知らない人から見たらただの紙切れですよ?トイレットペーパーじゃ駄目なんですか?
はい、トイレットペーパーじゃ駄目なんです。だって価値が違うから。お金のいいところは色んな物と交換できるとこなんです。本来なら物々交換が一番確実なんですが昔と違って今は物の種類が膨大です。また、物の価値もさまざまですから物々交換なんかやってられません。そこでお金の登場です。創作設定で言うならば『等価交換』の仲介役ですね。
先程も言いましたがお金自体にはさして価値がありません。お金に価値を持たせているのは『人々』です。はい、ここ重要ですから覚えて置くように。もひとつ注意しておくと『人』でなく『人々』つまり複数形ということです。
無人島でひとりぼっちがお金を持っていても意味がありません。貴金属も然りです。いや、きらきら光れば魚を呼び寄せるくらいの役には立つかもしれませんけど。
つまりお金とは人々の信用によって成り立っているのです。だから人々がお金に対して疑念を持ったら一気に価値がなくなります。これはインフレなんかより凄まじいですよ。なんたって、昨日1万円で10冊買えたラノベが今日は1冊しか買えなくなるんですから。この意味が分からない人は、えーっ、高くなっちゃった!としか感じないかもしれませんがそれは違います。モノの値段が上がったんじゃなくてお金の価値が下がったんです。
モノの値段が上がるインフラは供給が落ち着けば元に戻ります。でもお金の価値の下落は信用、つまり人々の気持ちの問題ですから簡単には疑念が去りません。現在の日本の消費動向がいい例です。
みなさん、ある程度の貯金はあるのですが使おうとしません。なぜか?疑っているからです。自分の身を自分で守ろうとしているからです。それを一部の批評家が現象だけを捉えて批判しています。彼らの言葉を鵜呑みにしてはいけません。彼らは討論をしたいだけです。何故ならそれでお金を稼いでいるから。
そう、彼らは情報を金に変える術を心得ています。価値があろうがなかろうが今は情報が金に化けます。フェイクニュースはいい例です。
やがて人々は物事をお金で換算し始めます。何故?分かり易いからです。
この度の災害の被害金額は○○億円です。
この人道支援には○○億円が必要です。
成りすまし詐欺の被害額が○○億円に達しました。
ねっ、分かり易いでしょう?橋が壊れたとか家が何件流されたなどの詳細を聞くよりよっぽど全体を把握しやすいのです。何人のお年寄りが騙されたかではなくその金額の方に興味がいくのです。
この世はお金で回っています。回っていると人々は信じています。元々は物々交換をやり易くする為に生み出された『モノ』に振り回されています。
もう一度、無人島の例を思い出してください。お金は『ひとびと』がいるから価値があるのです。つまり信用です。信用をなくすことは言い換えれば『お金』を無くすことです。
お金は大変便利な『モノ』ですがいざという時にあなたを助けてくれるのは人と人の間にしか存在できない『信頼』です。その事をもう一度見つめ直してください。
■章■お金のはなし なんで価値が変わるんだろう?
お金の価値。それは同じ金額でどれだけの物と交換できるかでしょう。明治時代は千円で家を建てられたそうです。今は1千万くらいですか?土地代は別として。
その差、凡そ1万倍。百年でこの差ですから22世紀になったら100億円ですね。多分その頃の国家予算は100京円です。京っていう単位判ります?兆の1万倍です。決して、京都だけで使える振興券の名前ではありません。
さて、何故、同じような物の値段がこうも変わるのでしょう?
「昔の家はエアコンが付いてなかったんじゃない?」
いや、今だってエアコンは別会計だと思うけど。
「大きさも違うんだよ、多分昔の家は平屋の値段だ。」
ほほうっ、可能性はあります。
「手間賃が違うのさ。昔の人の賃金は安かったんだ。」
おおっ、確かに!昔の生活は質素でしたからね。
「それを言うなら材料費だって全然違うでしょう?」
あーっ、昔の家は断熱材や耐震補強なんかしてなかっただろうからねぇ。
はい、みなさん中々鋭いところを突いてきます。では何故手間賃や材料費が値上がりしたのでしょう?
「あーっ、技能が高度化したからじゃないの?」
匠の技は今も昔も素晴らしいですよ?
「日本で手に入らない材料を輸入しているからだよ。」
あーっ、今は石油製品が大量に使われていますね。
「中間搾取よ!間に何件も仲買人が入るから高くなるんだわ!」
うわっ、本当ぽくて反論できない!
はい、種明かしをします。実は私の問い掛けは数字のマジックを使っています。お金の数字の比率だけを皆さんに見せて考え方を誘導しました。上の例では支出の金額だけを問いかけ収入の話を敢えてしていません。
仮に物の値段が1万倍になろうとも収入も1万倍ならモノの価値は変わっていないことになるのです。それどころか同じ出費比率でより付加価値の付いた物を手に入れられるのです。ですから実際は値下がりしていると言ってもいいのかも知れません。
では何故そんな数字のマジックに惑わされるのではょう?
答えは全てが平等に変化していないからです。しかも変化のスピードにも緩急があるので思い違いを起こしやすくなっています。
物の値段って供給側が決めています。だから昔1箱200円だったタバコも今は400円です。これって別に材料費や手間賃が高くなった訳じゃありません。供給側が勝手に値上げしたのです。そこに消費者側との供給バランスはありません。
しかし、体力のない産業では消費者に買い控えをされたら忽ち倒れてしまいます。タバコはお上が取り仕切っているので潰れないだけです。
もう一度言いますけど物の値段って供給側が決めています。決して消費者側がこの値段にしろとは言っていません。言ってはいませんが購入判断で供給側にプレッシャーを掛けます。高い、つまりその商品に対する対価と値段が折り合わないと思えば買ってくれません。供給過剰になった場合も同じような事が起こります。これは支払いを『お金』ではなく物々交換で行なうと考えれば判り易いでしょう。
結局お金の価値の変動とは物の価値の変動です。そしてその価値を決めているのは人々なんです。人の価値観なんて時代によって変わります。今は異世界ファンタジーがこの投稿サイトを圧倒していますが来年からは金融物が流行り始めます。ビットコインなどの仮想通貨のを使ったノウハウ物が徐々に読まれだしFXなどの金融先物での成り上がり物語がランキングを占めるようになるでしょう。
何故か?それは人間の欲を刺激するからです。今はまだ3大欲望の性欲と食欲と生存欲といった基本的なもので満足していますが、読者はやがてもっと強い刺激を求め始めます。
それは物欲です。そして物欲をもっとも簡単に満たすのが『お金』なのです。チート能力と俺Tueeeは最強なのでしょうが『お金』には上限がありません。何たっていくらでもゼロを追加できますから。これは数学の常識です。お金の数え方に数学を使っている以上この数字のインフレを止める術はありません。
実態経済?そんなの当の昔に数字に飲み込まれています。昔はお金を印刷する必要がありましたが今ではキーボードを打つだけでいくらでも通帳のゼロを増やせるのです。今、地球上に数字として存在しているお金の総数は実経済を10回買えるくらいの金余り状態です。金利というお金がお金を生み出すシステムによりどんどんお金が増えています。
でももう一度立ち止まって考えて見ましょう。お金は所詮物々交換の代用品です。仮に通帳にゼロが8桁書かれていてもその通帳を発行している組織が消えてなくなったら・・。あなたの手元には何が残りますか?
作者より
エセ情報です。信じちゃ駄目ですからね!大体銀行の通帳は8桁も書く場所が・・、あれ?もしかしてあるの?なんで?あっ、宝くじが当たった時のためだな。よしっ、宝くじを買いに行こう!
■章■お金のはなし 理想のお金
理想のお金。それは神さまが管理する電子マネー。人間じゃ駄目です。神さまが管理してくれないと『信用』できません。えっ、神さまなんていない?
いえっ、神さまはいます!私の実験データがそれを証明しています!
はい、もう誰もこの元ネタを覚えていないでしょう。でも大丈夫、私は覚えています。不正の糾弾の御旗の元、こぞって個人をイジメまくったイジメ大国日本の縮図です。
不正許すまじ!まぁ、確かにそうなんですけどね。やり過ぎじゃないんですか。まるでどこかの国の隣国大っ嫌い感情と似ているような気がします。論ずるべきはそこじゃないような気がするのは私だけですか?
はい、話を戻しましょう。一番初めに提示した例の如く理想のお金はありますが実用化は無理です。だってお金って人間が産み出したものですから。神さまの管轄外です。人間が管理する以上、疑念は払拭できません。でも更に便利には出来ると思うんですよね。その方向性は人間の欲次第です。
必要は発明の母といいますが、必要ないものまで産み出すのが人間です。でもそこには淘汰のチカラが作用します。必要ないものは何れ消え去ります。すぐに無くなる物もあれば無くすのに100年かかる物もあるでしょう。でもみんなが必要ないと思いさえすれば自然と消えてゆくはずです。その為には想いが必要です。
今回はお金の話ですが今一番思わなくてはならないのは兵器のことでしょう。核兵器はもちろんの事、銃や爆弾だって人を殺すのです。勿論それらの引き金を引くのは人間です。そしてお金も人間が使うのです。お金でも人は殺せます。それは動機です。お金の為に人を殺す人がいます。でも本来お金はそんな事に使うものではないと思います。
理想のお金・・。皆さんもたまには考えてみても良いのでは?もしかしたら小説のネタに使えるかもしれませんよ。
-『お金のはなし』編 完-
■章■友達とトモダチ 僕は本当に友達なのかな?
僕らは本当に友達なのかな?
確かにいつも一緒にいるけど、僕は彼らの友達なんだろうか?僕は本当に彼らを友達だと思っているんだろうか?
この前、僕は彼らからの誘いを断って別のグループと遊んでしまった。理由は簡単、新しいゲームがやりたかったからだ。でもその次の日から、なんだか彼らがよそよそしくなった。・・なったような気がする。
これは裏切りなのだろうか?それとも僕の思い過ごしなんだろうか?彼らはちょっとムカついただけなんだろうか?
でも何故そんな風にとるのだろう?僕が離れていくと思ったのか?僕ってそんなに人気者だったか?そもそも僕は何故彼らといるんだろう?
考え出すと色々な事が頭に浮かび上がり、今まで気にも留めていなかった彼らの一挙手一投足が気になりだす。
僕は変わってしまったのだろうか?それとも彼らが変わってしまったのか?でも、何故変わるんだ?僕は今まで通りが良いのに・・。彼らと楽しく過ごしたいのに・・。
あんなゲームなんかするんじゃなかった。なんで彼らは僕なんかを誘ったんだ!誘われなければ行ったりしなかったのに!ああっ、あの日に戻れさえすればやり直せるのに!
こんな些細なことで僕らの信頼は壊れてしまうものなのか!僕はそんなに悪いことをしたというのか!
僕は彼らが分からなくなった。あの時までは何でも話し合えていたのにどうしてこんな事になってしまったのだろう・・。
そして、一旦狂った僕らの歯車は今も元に戻る気配がない。もしかしたら僕が1歩踏み込めばいいだけなのかもしれない。彼らもそれを待っているのかもしれない。でも僕は躊躇する。そんな勇気は僕にはない。僕は傷つきたくない。彼らを傷つけたくもない。
どうしたら元に戻れるのだろう?何故、先生はその方法を教えてくれないのだろう?何故マニュアルや攻略本がないんだろう?教えてさえ貰えれば僕は完璧にやれるのに・・。
今の僕には彼らの気持ちが判らない。もしかしたら彼らも僕の気持ちを汲み取ることが出来ないのかも知れない。ああっ、僕は変わらないのに!あの頃と同じなのに!何故?なぜこんなことになったんだ!
僕の叫びは彼らに聞こえない。だから今日もお互いの出方を探りあう。そしてまた疑心暗鬼な一日を過ごすのだろう。
1歩踏み出せれば・・、でもその1歩はとてつもなく重い・・。
■章■友達とトモダチ 友達ってなんだろう
友達ってなんだろう。うん、真剣に考えると中々しっくりくる答えが出ない問い掛けだ。というよりこんな事を真剣に考えるやつは、まずいないはずだ。
でも考えてみよう。一口に友達と言っても色々ある。代表的なのは『遊び友達』かな。学生ならば『級友』だって友だちと言ってもおかしくない。親しいか、そうでないかの違いはあるだろうけど同じ教室で何年間かを一緒に過ごすのだから友達と言ってもおかしくないはずだ。まぁ、これには別の言い方もあって『知り合い』とか『仲間』とかの括りに入るかも知れない。
塾で一緒に勉強するやつらは友達だろうか?いや、彼らのしっくりくる名称は『ライバル』かも知れない。漢字で書くと『宿敵』。でも漢字の感じはちょっときついな。別に親の仇じゃないからね。でも『勉強友達』って名称は違う気がする。というか勉強友達ってなによ?意味わかんねぇ~、だよね。
後は『親友』って言葉もあるな。これは『友達』より親密さを覚えるはずだ。つまり、友達の上位だ。これは中々言いずらいよね。俺はあいつを親友だと思っているけどあいつはどうなんだろう?なんて考え出したら凹みかねん。
チャライ言い方では『マブダチ』なんて言う事もあるね。まぁ、これは漫画の世界だけかな。思いはともかく現実に使う事はないだろう。
さて、上に挙げた例は全て相手が必要である。それも見たり話したりする機会がある相手だ。つまりざっくり言っちゃうと『知り合い』である。
そこで聞いてみたい。この国には君と同い年の人間が100万人前後いるはずだ。上下1年のズレも含めると300万人である。その中で君が知っている人間は何人だ?あっ、テレビでしか見たことのないアイドルも数に入れていいよ。女の子アイドルグループなんて凄い人数がいるからね。一気にカウントが跳ね上がるでしょう?
でも君はその数を見て愕然とするはずだ。万はおろか千の数にも達していないでしょう?この国にいるはずの300万前後の仲間たちの内、僕らはその程度の人しかしらないのだ。まぁ、ネット上の知り合いも含めればもう少しかさ上げできるかも知れないけど、それでも万はいかないだろう。
そう、僕らは今を一緒に生きている全ての仲間と友達になることは出来ない。いや、知り合いになることすら不可能だ。確かにアイドルにでもなれば自分を知ってくれる人の数は跳ね上がる。しかし、相手は自分を知っていても君はその人を知ることはない。
そこで最初の問い掛けに戻る。
友達ってなんだろう。
僕の答えをここに上げる。それは出会いだ。出会えない人とは友達にはなれない。だけど出会いは直接でなくてもいい。ネットで知り合って相手の顔も知らなくても友達にはなれる。勿論、相手が悪意を持って接近してきていないという前提のもとでだが。
そして出会いとは時間の流れに関係する。僕らは一遍に全ての人と出会うことは出来ない。その時々に、あらゆるシチェーションのもとで出会うのだ。学生時代はこの出会いが学校という形で用意されている。だから楽なんだ。しかし、そこで出会いが必ずあるとは言えない。君の友達は別の学校にいるかも知れないのだ。だが出会うまではそんな事は分からない。
だから本当の君の『友達』は君が探さなくちゃならないんだ。勿論相手も君を探してくれるだろう。でも君が今のままでは見つけて貰えないかも知れない。君も相手の輝きを見過ごすかもしれない。
だから自分を磨いてくれ。例え君が藁の中に落とされたとしても輝いていれば見つけて貰える。輝く方法は幾らでもある。道はひとつじゃない。そして2人が出会った時、努力は報われるはずだ。そして君は言うだろう。
『こんにちは、僕の親友。』と。
■章■友達とトモダチ どこかにいる君へ
こんにちは、僕です。今日はどこかにいるはずの僕の友達たる君へ手紙を書きます。
まずは君は僕のことを知らないだろうから、最初に僕の事を書くね。僕はこの町に生まれてこの町に住んでいます。はっきり言ってこの町は田舎です。そのせいか人もいなくて僕のクラスは生徒が25人しかいません。その中で男子は3つのグループに分かれていて僕は小学校からの腐れ縁で1つのグループに入っています。まぁ、グループといっても別に喧嘩する訳でもなくてただ遊ぶ時が自然と分かれているだけなんだけど。
でも僕は何だかこれは違うんじゃないかと思っています。僕は○○君や○○君とも遊びたいと思うんだけどグループの他の子たちが嫌がります。たまに彼らと盛り上がって話をしたりすると後で文句を言ってきます。
たまに隠れて嫌がらせをされる時もあります。何でだろうね、同じ仲間なのに。僕は彼らを仲間だと思っているけど彼らは違うのかな?彼らにとって僕はただの人数あわせなんだろうか?
僕は彼らを心の中では『仲間』と呼びます。表向きは『友達』と言うけど心の中では何故か言えない。僕にとって『友達』って言葉はそれくらい大切なものなんです。
僕は怖い。こんな僕の心内を彼らに知られるのがとても怖いです。もしも知られたら彼らは僕を仲間から外すでしょう。もしかしたら苛められるかもしれない。彼らにはそうゆう傾向がある。実際にひとり対象にされた。僕は嫌だったけど断れば次の対象が僕になりそうでみんなと一緒になって彼を攻撃した。辛かったけど仕方なかったんだ。唯一の救いは彼が別のグループに入れたことだ。その事によってグループは彼を攻撃することが出来なくなった。
僕は弱いのかも知れない。こんな事に何の意味があるのだと仲間たちに言う事ができない。言えば彼らは僕を標的にする。理不尽と思いつつも僕は沈黙するしかなかった。
だからどこかにいる君に聞きたい。僕は君の友達になれるのだろうか?君はこんな僕を心から友達と呼んでくれるだろうか?上辺だけ友達と言いつつ心の中では仲間としか言わない僕を君は蔑むのではないだろうか。
そんな事にならないよう僕は成長したい。だけど行動を起こせば今の状況が壊れるのは目に見えている。僕は答えのない迷宮に迷い込んだのだろうか?こんな情けない僕を君は笑うだろうか?
ああっ、早く君に会いたいっ!君に会えさえすればこんな事に悩まなくてもいいのにっ!
それでは、どこかにいるはずの僕の友達たる君へ。いつか手紙ではなく面と向かって話せる日が来ることを願って筆を置きます。
-『友達とトモダチ』編 完-
■章■未来を想像する 来年
未来を想像するのは結構難しい。何故なら今無い物をそこに見出そうとするから。何でだろう?未来が今と変わらなくたって別に構わないはずなのに。何故、新しい物、新しい環境、新しい考えがあるはずだと思ってしまうのか。
しかも時間の差によって妥協が生まれていたりする。100年後は凄いことになっているはずだけど、来年は今と変わらないと思ってしまう。100年後だって来年の来年以降の積み重ねのはずなのに。
100年は来年の積み重ねだ。だから今から99年後の未来の来年でもある。これを巻き戻して行くと結局今年と来年の関係まで戻ってしまう。今年と来年は変わらない。なら99年後と100年後だって同じはずだ。
でも来年と100年後は違うと考えてしまう。
多分それは未来の尺度だ。100年後は未来という想像の世界だけど来年は現実なのだ。本当は来年だって未来なのにそこには現実だけがあって未来はない。
勿論これは人により考えが変わる。年齢によっても違うだろう。12歳に取っての来年は人生の9%近い時間を占める。記憶がある範囲で計算すればもっと数字が上がるだろう。小さな子に取っては1年とはそれ程長いものなのだ。
だけどこの比率は歳を重ねるほど下がる。50歳に取っては1年なんてたったの2%である。50歳はたった2%の未来に如何ほどの期待を掛けられると言うのだろうか?今年は去年の繰り返し。そして来年は今年の繰り返しと思ってしまうのを誰が責められるというのだ?
勿論外的要因で環境が激変することもある。災害だったり病気だったり事故だっていつ会うかなんて誰にもわからない。でもその件に関しては年齢はあまり関係ないか・・。
未来を予想するってのは難しい。過去は既に決定したことだけど未来は万通りの選択肢が存在するからね。株価が右肩上がりだからと言って何時までもそれが続くことはないのは既に大人の人なら経験しているはずだ。太陽だって何時までも光り輝くことはない。まっ、もっともこれは時間の尺度が大き過ぎて人間には実感出来ないことだけど。
そんなあやふやな未来でも予想せずにはいられない。というかその予想は殆ど願望だ。
でも願わずにはいられない。来年もこの幸せが続きますようにと。もしくは来年こそは幸せになれますようにと。そして何人かはその幸せを掴むために自ら歩き出すのでしょう。
今年は去年の続きで来年は今年の続きでしかないけど、それってつまり積み重ねだからね。その方たちの夢が叶う事を祈って今回はしめたいと思います。
■章■未来を想像する 10年後
10年後の世界・・。それは身に降りかかる現実だ。はっきり言ってこれは年齢によってかなり違いが出ると思う。若い子達に取っては希望に満ちた未来でしかないないだろうし、中年のおっさんたちには夢も希望もない世界かも知れない。
今年は10年前の10年後だ。さて、10年前の想像とどれくらい違うかな?えっ、ぴったり?少なくとも自分の周りは?ほうっ、それはすごいですね。まぁ、それが良い未来だったのか後ろ向きの未来だったのかは置いとくとして、10年後ってほぼ確認できる未来です。
10歳の時に埋めて成人式の時に開けるタイムカプセルは絶対赤面ものでしょう。70歳に書いた未来の自分に宛てた手紙だって殆どの人は読めるはずです。70歳でも10年後を待てる世界って考えようによってはすごい時代ですね。
さて、そうは言っても10年後はやっぱり遠いいです。だから今回は10年前を振り返りましょう。10歳の子は10年前、まだ生まれていませんでした。20歳の人ははな垂れ小僧だったでしょう。30歳の人は弾けた青春を送っていたはずです。40歳の人は・・、今とあんまり変わらないか?50歳も同じかなぁ。60歳、70歳の方は・・、やっぱり変わらないか?
うんっ、歳を取ると変化が乏しくなるかも知れません。いや、人によってはドラマチックな転換点が会ったかも知れませんけどその人にしか判りませんものね。
では誰にでも判る世間の流れを見てみましょう。因みに今年は2018年です。10年前は2008年。おおっと、10年遡っても21世紀ですかっ!う~んっ、後80年も経てば22世紀が目の前になるんですね。まぁ、大抵の人は体験出来ないでしょうけど。
2008年、それはこの投稿サイトが始まってから4年目。今はネットですぐに調べられるけど、昔だったら図書館で新聞を漁るくらいしか当時を知る方法がありません。いやはや、いい時代になりました。でもそれを維持するのに膨大なエネルギーと労力を使っているはずなんだけどね。
まっ、覚えているならそれにこした事はないけれど、覚えていないでしょう?特に社会人の方は。計算して学生時代だった方々なら思い出せるかも知れないけど、30過ぎの人にはちょっとつらいはず。
「あーっ、会社に入ってから3年目か?何があったけかなぁ。」
「あれ?確か、転職して彼女と別れたのってその頃だったか?」
「えーと、10年前って33だから・・、何してたかな?」
はい、自分の事ですらあやふやですね。ましてや、世間で起こった事件なんて霞の向こうのはずです。いえ、忘れてはいないと思うんですよ。ほらあれがあったじゃないと言われれば思い出すはずです。
でも10年って時間はそんなもんなんですね。10年後、私たちは『今』を殆ど忘れています。でも、思い出せますから。だって生きているんですもの。大切なのはその時における『今』ですからね。
だから10年後を想像する時は楽しい事だけ思い描てい下さい。よっ、未来の大作家っ!代表作は何ですか!
えっ、『俺くろ』?それってどうなの?
■章■未来を想像する 100年後
100年後の世界!それは夢のパラダイス!核なんか使わなくたって無尽蔵なエネルギーが使い放題っ!労働なんかロボットに肩代わりさせて人間はただ楽しむことだけを追求する極楽である!
食べ物の心配もなく、住む所の心配もなく、勿論争いなんか過去の遺物だ!大統領や最高指導者なんて必要ないよ!だって全てが満たされているんだから!
争いだって無くなっている。だって利害なんて起こらないから。みんなが満足している世界。それが100年後ですっ!
ああっ、でもそうなったら勇者は必要なくなってしまう・・。やっぱり魔王だけは残しておこうかな。いや、いっその事、年代わりで交代するか?うんっ、これぞ共存共栄だねっ!
だからと言って夢がなくなる訳じゃないよ。先に進めばまた壁が立ちはだかるはずなんだ。先人たちはその壁を時間をかけて乗り越えてきた。だから僕もがんばっちゃうぜっ!あっ、でも数学はやっぱり難しいな。・・いや、やってやるっ!まずは四則計算からおさらいだっ!
100年後には僕はいない。でも僕に続く若者はいるだろう。僕は先人たちの作った道を歩いてきた。だけど僕の前には道はない。だから道を作ろう!僕に続く者たちの為に先人たちに負けない道を作って見せるさっ!
夢、夢、夢っ!夢は常に明るくなくちゃ駄目だよ。暗い将来の展望なんて何もしようとしないやつの言い訳さっ!僕たちは夢に向かって走るんだ。挫折?障害?ふんっ、どんと来いさっ!レベルアップのないゲームなんか糞くらえだっ!チートも裏技も必要ないっ!僕たちは自分の力で夢を掴んでみせるのさっ!その為の努力だし競争なんだっ!
僕らは競争する。負けちゃうやつもいるだろう。だけどそいつだってひと泣きしたら立ち上がるさ。この世界は自由なんだ。諦めなければゲームへの参加は無料だからねっ!
さぁ、やってやるぜっ!魔石なんか目じゃないくらいのお宝を発見してやるっ!
-『未来を想像する』編 完-
■章■我思う故に我なり 僕らの、私たちの夢の国
物語とは夢を綴ったものだと言う人がいます。ファンタジーなんか現実逃避だと言う人もいます。アニメなんかくだらないと言う人もいます。
確かにその人にはそうなんでしょう。でも僕らは、私たちは、読みたいんです。人生の儚さや葛藤や挫折を読むにはまだ早いと思うのです。だって経験が浅いのですから。
物語は僕らを別の世界に連れて行ってくれます。そこには僕らが望む世界と、なりたい生き方が書かれています。現実世界では実現できないことが物語の中なら体験できます。
確かに僕たちは我侭です。勉強もせずに自分が望む世界で気ままな体験を夢想します。そして現実で躓いたら人のせいだと口にする事もあります。やることもやらずに結果が出せると思っているのかと叱られます。そして僕らは益々物語に逃避します。だってそこには安らぎがあるから。ここなら誰にも迷惑を掛けずに僕らの夢を叶えられるから。
そんな僕らの欲望を汚いと言う人もいるでしょう。でも・・、でも僕らは一番になりたいんだ!脇役ではない主役になりたいんです!
僕の人生では僕が主人公だと言う人がいます。でも、それじゃ駄目なんだ!僕が主人公だとしたら誰かが脇役を演じることになる!みんながそれぞれ主役を主張したら必ず争いになってしまう。
だからと言って脇役に甘んじる人生なんて面白いのですか?僕はその役に甘んじなくてはならないのですか?何のために?僕は社会と言う機械の歯車でしかないのですか?
勿論それが全体を安定させる事だというのなら僕は歯車にもなりましょう!それこそ僕らが憧れる勇者の生き方かもしれないから!己が身を盾にして守りたい者を守る勇者の思いがそこにあるというのならっ!
でも、そんな社会の歯車になったひと時でさえ、僕が主人公になって望む生き方を夢想することは罪なのでしょうか?
物語の中の僕は正しい人の為に戦います。そう、そこには必ず悪が存在します。大抵は僕らに取っての悪であり、僕らはみんなの側に立っています。絶対的な悪ではなく、僕らから見た場合の悪。
そんな悪はまやかしだと言う人がいます。判っています。僕らは常に自国の利益を優先する現実の強国の側に自分たちを立たせます。決して攻撃される側には立ちません。如何に魔王が強大だろうと最後には勝ちます。それが僕らの願いだから。
でも、現実にそれを持ち出すことはありません。現実において僕の声は小さいです。力いっぱい叫んでも隣の人にすら聞こえないかも知れない。人を動かす大変さは知っています。物語のようにはいきません。
でも、進む道を間違えないよう、真っ直ぐ前を向いて歩くつもりです。多分、それは歩きづらい道でしょう。でも大丈夫です。僕には物語がありますから。僕にはお手本があるのです。僕は物語の中の主人公たちのように、例え泣いても歯を喰いしばって進みます。だってそれが勇者の道だと彼らに教えて貰ったから。
■章■僕らは、私たちは、こんな物語が読みたいです!
主人公はやっぱりかっこ良くなきゃ駄目だと思います。これは別にイケメンとかじゃなくて生き方として。クズの反省やり直しモノも別に否定しませんが、クズって本当に堪えなきゃならない時に逃げ出すから信用できないですもんね。
悪貨は良貨を駆逐する。戦場ではいいやつから死んでゆく。現実では全くその通りでしょう。でも物語の中でまで現実の暗部を読みたいとは思いません。ご都合主義と言われようが、かっこいい主人公が颯爽と難題を解決してくれるのはすごく嬉しいです。
しかも、チカラによるその場凌ぎじゃなくて納得できる方法で事を収めてくれたら感動モノです。そんな生き方に心が震えない人はいないでしょう。
常に僕らの方を見てくれている英雄!正しい道を指し示してくれる賢者!ひたすら励まし続けてくれる聖女!
憧れはやがて僕らの背中を押すはずです。僕も、私もあんな人間になりたいと!
つまらない、判らないと匙を投げた勉強だってその必要性が理解できれば興味を持てると思います。何故、数学なんて考えが生まれてこれまで使い続けてこられたのか?何故、歴史など記録され、且つ忘れられずに来たのか?ルールは何故必要なのか?
学校の勉強ではその元となった事までは教えてくれません。だってそんな時間はありませんから。僕らは小学校から大学までの16年間で覚えなきゃならない事が多すぎます。しかもランクが上になる度に下のランクの応用が必要になる。下のランクで躓いた者はそこから上には行けないのです。
そんな基本的な事さえ大抵の人は教えてくれません。まぁ、僕らも知ろうとしないんですけどね。でも物語の中では僕らに代わって主人公がその大切さを学んでくれます。物事を成す為に必要な事を、目標を達成する為に克服しなければならない試練を、後悔しない為に歯を食いしばって学んでくれます。僕らはそれを主人公に共鳴して体験します。
もっとも、ここいら辺をはしょっちゃったやつも沢山あるんですけどね。でも、だからこそ、僕らは、私たちは読みたいんです!だから探すんです!そんな僕らの、私たちのこれからの生き方に道を示してくれるような物語を!
そんな僕らの願いに対して大人の人たちは難しい本を差し出します。確かにその物語は僕らのこれからの人生に手本となる事が書かれているのでしょう。でも、残念ですが僕らには読みこなせません。中には読めるやつもいるだろうけど僕には無理だ。
そんな僕らを笑う人もいるでしょう。確かにそれは僕らに問題があるのかも知れない。だけど、僕らは諦めていません。今の僕らだからこそ感じられる感性で心を揺さぶられる物語があると信じているんです。大人の人には理解できない僕ら、私たちだけが判るそんな物語が必ずあると信じます。
だから今日も僕らは探します。面白いだけじゃない、魂に呼びかけるような共鳴できる物語を求めてこの広大なネットの海を検索します。そして藁の中の金の針をいつか必ず見つけてみせます。
その出会いの瞬間こそが僕らが、私たちが求めて止まない人生の道を示すバイブルとの出会いだと思うから。
雑文エッセイ「こんなエッセイが読みたいです。」-完-