コポポポポ・・・ 試験管の中の液体が、気体を発生させ、泡音を鳴らした。 その後、赤紫色だった液体が、鮮やかな蛍光色の水色に変わった。 「よし、今のところ成功・・・かな」 薄灰色の髪の研究員は、ふぅ、とため息をついた。そこに、 「ハルーーー！！！！！」 ドゴォン！ 「長尾ぉぉぉぉぉ！？！？！？！？」 研究室のドアを蹴破って、研究員・甲斐田の同期、長尾がやって来た。それに続いて、２人の保護者のような存在、弦月もやって来た。 「ほら景君、晴君忙しいから、あっちで２人で遊ぼ？」 「やだーーー！ハルと遊ぶーー！！」 「やかましい！っていうか長尾！お前最年長だろうが！弦月に迷惑かけない！」 甲斐田が叱るが、長尾が永遠に駄々をこねるので、甲斐田は仕方なく切りのいい所で研究を明日に回した。 --- 数分後、 「あれ？とやさん、あそこにいるのって甲斐田くん達じゃないすか？」 ｜桜魔皇国《おうまこうこく》に遊びに来ていた剣持と伏見は、長尾と弦月に引きずられる甲斐田を見て、歩みを止めた。 「あ、ほんとだ。そういや、確かVΔLZって・・・」 「はい、確か付き合ってるとか」 「だったよね～。本当に仲いいんだ・・・」 「俺らと同じッスね！」 「へぁ！？」 動揺を隠せない剣持を見て、伏見はふへへ、といたずらっ子のように笑った。 --- 「甲斐田ァ～♪」 ３人で暮らしているそこそこ大きい家に着くと、長尾は甲斐田をソファーに座らせ、自分も横に座った。後から来た弦月も、反対側に座る。 「景君と晴君は何したい？」 「ゲーム！配信！」 長尾がそう言うと、甲斐田も「じゃあそれでいいよ」と承諾した。 「こんまぶし～！」 いつもの挨拶をし、オフコラボスタート。ゲームをして、飲酒雑談して、それからもいろいろとしたかったのだが、 「んにゃぁ～～♪」 「だから飲みすぎだって・・・」 「景君酔ってるね～、泥酔ｗ」 そんな長尾にコメントは 『長尾大丈夫？』 『配信切る？』 『酔った長尾可愛いな！？』 と、様々な反応をした。 「あ～・・・配信切ったほうがいいか～」 「そだね。ほら、な～が～お～！締めの挨拶はしよ？」 「んわぁ～、えーとぉ・・・おつまぶしぃ～♡」 「えと、また次回だ～」 「ごきげんづき～」 そうして、３人は配信を切った。 --- 「長尾～」 「景君～」 ２人は呼びかけるが、長尾はずっとふにゃふにゃ状態だった。 「ん～ハルゥ～、げんどぅき～運んでぇ～？」 そう聞きながら、長尾は甲斐田の首に手を回した。 「は？え、ちょっ、重っ・・・」 「重くない～！甲斐田が弱いの～！」 長尾と甲斐田がギャーギャー騒いでるのを見て、弦月は少し嫉妬した。 --- 何とか長尾をベッドに運ぶも、長尾のウザ絡みは止まらなかった。 「んふ～♪甲斐田ぁ♡」 「ぎゃっ！長ぉ・・・！引っ張るなってぇ！」 長尾は毎日のように仕事で戦っているので、研究員という体を動かさない仕事をしている甲斐田をいともたやすく引っ張り、ベッドに寝転がせた。 「こ～ら！景君、そんなことしちゃ危ないでしょ！」 「はぁい♡」 返事こそしているものの、全く反省はしていなかった。 ガブッ 「い”っっっっ！？」 長尾は、甲斐田の首筋にかぶりついた。 「なっ、長尾っ、やぁ！」 甲斐田は必死に抵抗するが、長尾が上に乗り、固定しているので、ほぼ無意味だ。 「んふふ、甲斐田、可愛い・・・」 「げっ、弦月ぃ！この｜酔っ払い《長尾》止めてぇ////」 「え、巻き込まれたくない・・・無理」 甲斐田は助けを求めたが、助けてくれるものはいなかった。 スルッ 「ひゃ！？！？」 長尾が甲斐田の体をまさぐる。そのまま衣服を脱がそうとしてくる。 「うわぁぁぁぁぁん！！やだやだやだぁぁ！！まだ処〇は失いたくないってぇぇ！！」 「下なの確定なんだ・・・」 弦月が静かにツっこんだ後、流石にヤバい、と思い、甲斐田を助けた。 「うえええええん怖かったぁぁ」 「はいはい、景君ー？晴君に謝ろー？」 「ごめんぬ～^^」 「次やったら『デラックス甲斐田スペシャル』打つからな・・・」 甲斐田は長尾をキッと睨んだが、既に長尾は寝ていた。 「よし、とりあえずもう寝よっか」 「むう・・・弦月～、長尾の横やだ～」 「分かったから。じゃあ僕は真ん中で寝るね？」 「ｳﾝ･･･(´；ω；`)」 そうして３人眠りに落ちた。翌日、甲斐田がオリバーに告げ口し、長尾が殴られることになった。