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宮廷(ゴミ)使用人、頑張ります!⑤なぜか女王の使用人?!
「………え」
そのハンナ女王の部屋は本当にひどいものだった。
王はハンナ妃をテキトーに女王にしたらしく、大切にはしていなかったからだろう。
(そりゃあ体調も悪くなるよな)
「ゴホッ、ゴホッ…」
女王の激しく咳き込む声。それがかなしくて、柚葉は目を閉じる。
「いま、お掃除を…」**「そんな必要ないわ!!!」
大きな声がした。声のした方を振り向くと…コーテリアがいた。
「私の大切な使用人がこんな醜いヤツに付いて、あー私、虚しい!」
「しかし、あなたのお母様の命令です」
それに、大切になんてしてないくせに。
のどに込み上げた言葉をギリギリで飲み込む。
「 __お母様が…?__わかったわ。あなたなんて大切じゃない汚れた紙ナプキンよ!」
「そうでございますか〰︎〰︎〰︎。かしこまりました★」
柚葉は見下したように言う。コーテリアは舌打ちして部屋を去った。
「すみません。窓をお開けしてよろしいでしょうか?」
ハンナ妃の寝ているベッドを見ると、顔がかすかに上下に動いた。
「かしこまりました」
窓を開けると、カビ臭い臭いが一瞬で消えた。外の匂いの後、病人のにおいが追ってくる。
(ったく。掃除くらいできないの?ここの元・使用人は…)
そう思いながら、柚葉は掃除をする。すると、かすれた声がした。
「すごく…ゴホッ、手慣れてるの…ゴホッ、ね…」
「はい。元・食料販売店看板娘ですから」
「そう、なの…」
「無理せず休んでください。掃除が終わったら体を拭きますので」
そして、体も拭く。
そのあとは食事だ。
「消化にいい食事を持ってきました〜…」
おかゆだ。鮭のほぐしたものと溶き卵、刻みネギを入れるだけの素朴なおかゆ。それをハンナ妃の口元に運ぶ。
全部、ハンナ妃は食べてくれた。
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**バタッ**
「つっかれったァァァァァァ!!!」
柚葉は、ベッドに転がる。掃除、シーツの洗濯、体拭き、女王の食事指導、食事の手伝い、衛生管理……
でも、この前の仕事より楽しい。
やりがいを感じるし月給もたかい。
でも、マリカ様はなぜ自分を女王の使用人にしたか。
別に他の人でいいではないか。
それに、防犯カメラを取り付けたのも、なぜ?
宮中では生死不明だったはずだ。
ナゾがまだありそうだ。
柚葉は心に残る謎を心に引っ付けたまま眠りに落ちた。
次回、女王についての描写あり!
お楽しみに★