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1 入学式
入学式。
私は魔法高等学園の1年生として首席入学したメアシオ・クラウセリアだ。
長くなるが、この高等学園のテストの種類は主に3つ。
まず一つ目が魔法一科。二つ目が理論一科。三つ目が実技理論だ。
魔法一科の首席、理論一科の首席、実技一家の首席───その三名から選出され、一人が新入生代表として、他二名が校長から直々の表彰を受けることとなる。
大抵この学校では実技理論の首席が新入生代表となる場合が多いが、今年は───いや、私は魔法一科で新入生代表となった。
つまり簡単に言うと、私の魔法の中にすべての精密さが詰め込まれており、先生が理論も両立しているに違いない、と判断したためである。
ちなみに理論一科は白紙を5枚程度配られ、自分が知っていることをすべて書き出す、という試験内容だ。その分与えられる点数も決めやすく、主席となる場合もたびたびある。
まあ、それはいったん置いておこう。
私は全校生徒の集まる入学式会場の新入生代表席に座った。
こそこそと「あの方が新入生代表なのね……」「あいつが新入生代表かぁ……」というため息のような声が上がってきた。
さて、この学校には5クラスあり、一クラスは20人程だ。まさに王立の学園としてずいぶんなご身分だなとは思う。
これは成績順に定められている。
下から順番に言うと、GDクラス、TYクラス、MHクラス、MDクラス、SDクラスとなっている。
語呂合わせとしては、GDクラスはガチでできない、TYクラスはちょっとやばいかも、MHクラスはマジで普通、MDクラスはまあまあできる? そして、SDクラスはすげーできる!! でみんな覚えるらしい。
なんとも言えない覚え方だが、妙に頭に残る。
クラス掲示板を見ると、私はSDクラスの20番だった。前列からできない順だ。
とはいえ、SDクラスのやつらはレベルが格段なのだが。
20番だろうが1番だろうが、他クラスから見れば雲の上の存在らしい。
「……後ろの席か。金持ちの巣窟になんか紛れたくない……」
とはいえ、私も公爵なのだが。
そう呟いた瞬間、背後から声がした。
「メアシオ様、これから一年間よろしくお願いいたしますわ」
振り返ると、理論一科主席のリュミエラ・エルステッドが立っていた。
相変わらず完璧な姿勢で、微笑みも隙がない。
「よろしくって……私たち、小さい頃から知り合いじゃないですか?」
「まあ、少しの余談も必要ですのよ。……あら、そういえば。少しお耳をお貸しくださいます?」
「何でしょう?」
私がそういうと、リュミエラは耳元でこそッといった。
「わたくし、レオンハルト殿下よりも成績上ですの! メアシオ様のお隣ですわ!」
「リュミエラ嬢、聞こえていますよ」
ギクッとして振り返ると、後ろに実技理論主席のレオンハルト殿下が立っていた。
「あわわわわぁ……」
何も言えないリュミエラの代わりに「申し訳ございません」と頭を下げておいた。
「……まあ、事実ですが」
レオンハルト殿下は、ため息をひとつ落とした。
その表情は呆れているようで、しかしどこか楽しんでいるようにも見える。
「リュミエラ嬢。順位を誇るのは構わないですが、せめて本人のいないところでやってくださいね?」
「も、申し訳ございませんわぁ……っ」
リュミエラは背筋をさらに伸ばし、耳まで真っ赤にして縮こまった。
普段の完璧さが嘘のようだ。
このギャップがまた、彼女の人気の理由なのだろう。
殿下は私の方へ視線を向ける。
「メアシオ嬢も大変だな。隣席がこの調子では、落ち着いて授業も受けられないでしょう」
「……殿下も十分に賑やかだと思いますが」
「それは否定できませんね」
殿下は軽く笑った。
この人は、王族でありながら妙に気さくで、しかし底知れない。
実技理論主席という肩書きは伊達ではない。
「……さて、席に着きましょうか」
殿下が軽く咳払いをすると、周囲の視線が一斉にこちらへ向いた。
「メアシオ様、わたくしは完全無欠の主席を目指しますわ。殿下にも負けませんの」
リュミエラが胸を張る。
さっきまで縮こまっていたのが嘘のようだ。
「……その宣言、本人の前で言えるようになったのは成長ですね」
殿下が苦笑する。
「殿下、皮肉が過ぎますわ」
「事実ですよ」
二人のやり取りを聞きながら、私は席に腰を下ろした。
「というか! 次の期末の席替えでわたくし、絶対に一番後ろの端に行きますのよ!」
「私を抜かすってことですか?」
「……まあ、そうですわね……。そうやって変換すると少し……無理難題……ですわね……」