Secret GRADUATION 1〜出会い〜

1 私は和田優華里。 読書家だ。 初めての中学校登校にドキドキしながら、私は家を出た。 コンビニを通り過ぎ、家と家の間の道を歩き、前通っていた小学校を通り過ぎ、人の中を縫うようにして大通りを歩き、中学校前に着くと、桜の並木が目に入る。 数秒間桜の並木に目を奪われていると、後ろから肩を叩かれた。 「っ！？」 思わず警戒しながら振り向くと、後ろには、小学校からの無二の親友、今井鈴葉が立っていた。 「もう、そんなに驚かなくてもいいのにー。ほら、行こう！」 「うん！」 私にしては珍しく元気な返事をして、中学校校舎の中へ駆ける鈴葉の後を追う。 門を入ってすぐのところのコンクリートの広い場所に、クラス名簿表があった。 鈴葉と一度顔を見合わせて頷き合ってから、クラス名簿表の前へ。 目を閉じて一度深呼吸をしてから、1組の表に目を通す。 「1組のところには2人ともなかったよ」 「じゃ、私3組見てるから、ゆかりんは2組見てて！」 そう言われ、2組の方を順番に見ていく。 小学校時代にあった名前が大体だが、知らない名前もある。 前の方に鈴葉の名前を見つけ、下の方を見ると…… 「……あった！」 私は嬉しさのあまりに飛び跳ねそうになるのを堪え、鈴葉に弾んだ声で言う。 「私と鈴葉の名前、あったよ！」 「本当！？やったぁー！」 そう言って飛び跳ねる鈴葉にクスリと笑い、辺りを見回す。 小学校時代のクラスメイトもしばしばいるが、知らない人もいる。 その中で、1人の知らない男子が目に入った。 一人でいるが、澄んだ瞳にはどこか嘘のない色が混ざっていた。 私が数秒間見惚れていると、鈴葉が心配そうに顔を覗き込んできた。 「ゆかりん、大丈夫？ぼーっとして。ちょっと顔赤いよ？」 「あっ、ううん、全然大丈夫。ごめん」 慌ててかぶりを振ると、鈴葉は安心したような表情になり、他の友達の方へ向かった。 もう一度その男子を見ていると、こちらに気づいたのか、目が合ってしまった。