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プロローグ
俺はずっと、仕事ばかりしていた。主人の命令に応じ、ただひたすらに職務を全うしていた。別にそれだけで、俺は満足していた。
仕事といっても、それは人間界のものではない。我々‘死神’の蔓延る、こっち側の世界のものだ。
死神。それは、死を司ると言われている存在。
そんな俺は、我が主人の命を承り、職務を行う。人の命を刈り取ったり、未練がましい魂の回収だったり。そういう事ばかりしていた。不満があるわけじゃない。慣れもあるが、俺はこの生活でも十分満足している。
そして俺は今日、新たに命を受ける。
命を受けた者は、人間界に降りる許可を得る。その後、職務を果たし、こっちに戻る。内容はそれぞれだが、基本それに応じ報酬を得る。
ちなみに、業務外では降りることは禁じられている。
俺は命を受けているため、人間界に降りる。
だが、俺は知らない。これが俺にとっての分岐点であることを。