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目次
Prologue
ここは、とある町の図書館。
いたって普通の、何の変哲もない図書館。
でも、ここは昔も今も変わらず、僕の大切な場所で思い出そのものだ。
そんな場所で、今僕は司書として働いている。
「………そして、女の子はお母さんと一緒にお家へ帰りましたとさ」
おしまーい といって僕は本を閉じる。ぱた、という小気味いい音とともに本独特のインクの匂いが鼻をかすめた。
「おにーさんってやっぱり本読むの上手だね」
「そう?ありがとう」
目の前でちょこんと体育座りをして僕の読み聞かせを聞いていたのは、この図書館の常連の男の子。少なくとも毎週1回はここに来て、僕に読み聞かせをせがんでくる。そして僕がその日選んだ本を彼に読み聞かせるというのが日常だ。そんな日々をかれこれ1年ほど続けている。
今日はこれで3冊目。いつもなら彼はもう満足して帰るくらいの量なのだが、なぜか今日はまだ満足していないように見える。
「……どうした?」
「なんか今日はまだここにいたい」
「そっか」
「うん ………」
しばらく彼は黙った後、僕を見つめなおして口を開いた。
「……ねえ、なんかおにーさんがお話考えてよ。それで僕に聞かせて」
「え」
なんて無茶な。
元々、最初に僕にせがんできたときから少し強引な子だなぁとは思っていたし、容姿がなんとなく《《あいつ》》に似ている気がして何だかんだ断ることもできずに言うことを聞いていたが、ここまでの無茶ぶりは初めてかもしれない。
(……でも、まあいいか)
少し強引で真っすぐにこちらを見つめてくるのも、本当に《《あいつ》》そっくりだ。なんて思いながら、また断ることが出来ずに、僕も男の子を見つめ返して口を開く。
「じゃあ、僕が昔経験した不思議な出来事なんてどう?」
「なにそれ」
不思議そうにしながら少し目を輝かせる男の子。そんな彼を見て僕は少し微笑みながら話し始める。
「これは、僕が高校生の時の話なんだけど……」
1つ1つの記憶を思い返しながら、彼を見つめて話を紡ぐ。
それは、空から星が降ってきた日。アルタイルが消えた日。……《《あいつ》》と、出会った日。
これは、僕が星を見た日から、少しずつ変わっていく物語だ。
スクロールお疲れ様です。初めまして。
Stella(すてら)と申します。
もともと数年前に短編カフェを使っていたのですが、アカウントには入れなくなってしまったので
改めてアカウントを作って活動を開始させていただきます。
よかったら、また気ままに覗きに来てください。
ファンレターなどもお待ちしています