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Tens:soleil 第3話
ガンバ ルヨ
最古の遺跡
しばらく走っていると明らかに整備された地下へ続くトンネルが見えた。
そのトンネルの横に白衣を着た女性が立っていた。
「あっ!エウレカ博士〜」
白衣の女性にアリアは大声で呼びかけた。
「アリアちゃ〜ん!ごめんねーまた呼び出して。」
「あれ?そっちの男の子だれ?」
「あ!顔に黄色い紋様があるなぁ。もしかして神託受者!?」
白衣の女性は俺に駆け寄ってきた。
「ちがうよ博士〜。こいつは神の子だよ。」
ニコがすかさず訂正した。
「へぇ〜そうなんだ。あっ自己紹介忘れてたね。私はアルキメデス発明工房のエウレカ。エウレカ博士って呼んでね。」
「君は何て言う名前なの?」
「俺はカガリだ。」
「へぇ。いい名前だね。」
「あの。盛り上がっているところ申し訳ないのですがエウレカ博士、さっきまで何をしていたんですか?」
エウレカ博士は少し慌てながらポケットから小さな機械を取り出した。
「これでこの遺跡の地図作ってたんだ。」
「この遺跡は最も最初にできた都市の遺跡だからね。古すぎてだれも調査しようとしないの。」
「500年くらい前に先遣隊が行ったって言う記録があったんだけど、記録によると遺跡へ向かったあと誰一人として帰ってこなかったんだって。」
「だから地図も成果も今の所なにもないのよね。」
「だからこそアポロンが心配なの。」
最古の遺跡か…
「ん?なんでエウレカ博士は中に入っていないのに地図が作れるんだ?」
「そうでしたね。説明するのを忘れていましたね。これはエウレカ博士の発明品『地下調査ミニロボット君』です。」
アリアが説明をしてくれた。
「まぁとりあえず地図はある程度完成したからさ。さっさと中入ってアポロンをさがそうよ。」
エウレカ博士はそう急かした。
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トンネルの中は暗く明かりは一つだけ先遣隊が置いたと見られるランタンと俺が持っているライト1つだけだった。
トンネルの上からは水が滴り落ちていて、その下には小さな水たまりができていた。
「あれは…ゲート?」
ニコがそう言うとすかさずエウレカ博士が
「そうそう。あれが遺跡への入り口だよ。」
ゲートを通ると石に包まれた道があった。
石の床には黒いシミと骨らしきものがあった。
「あの…もしかしてそこのシミって…」
アリアは少し震えたこえでエウレカ博士に言った。
「そうなんじゃない?まぁ地図には載ってなかったからわかんないけど。」
なかなかに雰囲気のある遺跡だな…最古と言うだけあるな。
しばらく歩くと石でできた門が出現した。
横には石でできた守り人のような像があった。
「これは…普通に開けられるやつですかね…?」
アリアはまだ少し声が震えていた。
「とりあえず開けよ〜よ。」
ニコがそう言いながら門に手をかけようとした瞬間
ギギギ…
「ココカラサキハ…トオサヌ…」
「やっべ」
ニコが手を離した時にはもう遅かった。
「キエ…ロ。」
ドォォン!
石の像は大きな音を立てながら乗っていた台を壊しながらこちらに迫ってきた。
「ヤバいヤバい!」
ニコがそう叫んだ時
「あ!これあったんだった」
「え?なんですかぁ?はぁはぁ」
全員全力で走っていたからかアリアの喋り方も違っていた。
「電磁波檻、展開!」
バチィ!
「ゲホッ!はぁ…」
目を開けると、石の像は電気でできた檻に閉じ込められていた。
「はぁ〜よかった〜。危うく死んじゃうとこだったよ〜。」
「そういえばエウレカ博士。この電気の檻はなんなんだ?」
「これ?これはね私の発明品の『ポケット電磁波檻』。いっつも持ち歩いててよかった〜」
どうやらまた発明品らしい。ほんとなんでも作ってるなこの人。
ギィィ…
石の像が動かない事を確認して後ろの門をうごかした。
「はぁ。それにしてもアポロンさんはこの石の像のことどうやって対処したんですかね?」
しばらく遺跡の最深部を目指して歩いていると
「あ!地下調査ロボット君がこんなとこに!しかも壊れてるし。」
エウレカ博士は叫んだ。
地図はここまでしか続いておらずここから先は地図なしでの調査となる。
ここまで来たら何故か遺跡の中は明るくなった。
「もうライトいらないんじゃないの?もう明るいしさ。」
ニコは俺に言った。
「確かにな。じゃあエウレカ博士に渡しておくか。」
俺はエウレカ博士にライトを渡した。
ゴォォォ…
「ん?何の音だ?」
「確かに。さっき風を切るような音がしたような…」
次の瞬間俺の目の前にはさっきの石の像の拳があった。
「あぶない!」
ドォォン!
「嘘でしょ!?壁にめり込んでる…」
「しかも前にも後ろにもいるし…挟み撃ちじゃないですか!」
「さっきの檻を抜け出したの?そんなはずないのに…」
メキメキ…
遺跡の天井から音がした。
「嘘でしょ…上からも?」
ドォォン!
「え?アポロン!?」
次の瞬間エウレカの前にはサングラスをかけた男が立っていた。
「大丈夫だよみんな。俺がなんとかするから。」
「エウレカ。そこの壁にめり込んでる男の子はなんなの?」
「あの子はカガリっていって、アリアたちによると神の子らしいの。」
アポロンは少し驚いたが
「へぇそうなんだ。まぁ、あとで聞こうか。」
「それよりもこいつらを片付けないといけないみたいだね。」
アポロンは改造が施されたハンマーを肩にかけた。
「それじゃぁ、さっさと終わらせて調査に戻ろうか。」
用語解説
魔法
フレアに存在する不思議な力の総称。
他の一部の国では「呪術」や「妖術」など様々な名前で呼ばれている。