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私の彼
一目見たとき、私は確信した。
この人だ、そう思った。
綺麗な目、黒くてさらさらな髪、太陽みたいにかがやく笑顔。
私の好みにぴったりだった。
その日の放課後、私は彼に話しかけた。
「あの、一緒に帰りませんか?」
彼は私の想像とは裏腹に「いいよ」と言った。
帰っている時はテストのこととか他愛のない話をした。
それから何日か経ち、彼とは席が近いのもあってよく話す関係になった。
彼とは今まで関わってきた人の中で一番続いた。
彼が私の好み過ぎたから、もう少し関わっていたかった。
半年がたった頃、私は彼を家へ招いた。
彼は一瞬戸惑っていたけれど、家へ来てくれた。
彼を家へ招き入れた後、私は彼にお茶を注いだ。
それも私が好きな烏龍茶を。
彼はおいしいと言ってくれた。
彼は漫画が好きだと言っていた。
だからおすすめの漫画を彼に貸した。
彼はおもしろいと言ってくれた。
そのあとは一緒にゲームをした。
時はあっという間に過ぎ、外も暗くなってきた。
部屋にはお母さんが作っているであろう豚汁のにおいが漂ってきた。
「じゃあ俺、そろそろ帰るね!」
彼はそう言った。
私はもう少し彼といたかった。
彼に恋愛的感情を抱いていた。
私は彼に話しかけた。
「…ねぇ、」
「ん?」
彼がふり返った時、私は手に隠し持っていたナイフを彼のお腹に刺した。
彼は驚いていたし苦しんでいた。
今までとは違う快感だった。
だって彼だもの。
私のだーいすきな彼だもの。
私だけの彼。
誰にも渡さない。
触れさせない。
私だけのモノ。
「ねぇ、ずっと一緒にいてくれるよね?」