公開中
Tens:soleil 第5話
ガンバ ルヨ
眠っていたソレイユ
「たしかリリアンたちは、森の下でマジックの練習してたっけ。」
ハーディスは星霜の館から出て、山を下り始めた。
マジックと言うのは魔法を使わずに不思議なことをおこす娯楽らしい。
「マジックですか。私、1回やってみたんですけど結構難しくて。」
「まぁ確かにね。私は魔法覚えた方がいいと思うんだけどね。2人は好きらしいよ。」
などと話していると、兎の耳が生えた少年と黒髪で後ろに大きなリボンをつけた少女が見えた。
「あ、ハーディス様!こんな所までどうしたんですか?」
少女の方がこちらに声をかけてきた。
「あれ?アリアさんにニコさんじゃないですか。そちらの方は初めましてですか?」
「ああ。初めまして。俺はカガリだ。」
「初めまして。私の名前はリリアンと申します。」
「そしてこっちの兎の獣人はハクトです。」
リリアンは少年の方を見ながらこちらに紹介した。
「よっ。僕はハクト。マジシャンやってるよ。」
ハクトは気さくに挨拶した。
「早速、本題に入らせていただきます。」
アリアは説明を始めた。
「この近くに最古の遺跡があるのですが、そこに迷った魂が多くあるんです。」
「そしてさらに、もう少しでその遺跡の最新部にある人型のミイラが大きくなって、遺跡から出るかもしれません。魂が複数体同じ体を共有すると。強大な力となり人々を襲いかねないので、なり今危ない状況なんです。」
「だからハーディス様とその部屋の人たちに協力を要請したいんです。」
リリアンとハクトは話を聞き終えたときほぼ同時に頷いた。
「なるほど。まぁハーディス様が協力すると言う時点で私たちが動かないという選択肢はありません。」
「だからまぁ、僕たちも協力するよ。しかも話によると結構時間なさそうだし。」
「ありがとうございます。」
アリアは礼を言った。
「とりあえずさ、今から向かう?」
ニコがリリアンに言うと、
「今から行きましょう。ハーディス様。」
ハーディスは少し驚き、ため息をついたが、
「わかったよ今から行くよ。じゃぁニコでいっか。案内よろしく。」
「かしこまり〜」
ニコの案内でまた遺跡へ行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お、来たみたいだね。」
今度はアポロンが最新部まで案内してくれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これが最新部に続く門か。結構大っきいね。」
ハーディスは上を見上げながら関心していた。
「というかハーディス様。ここまで迷った魂ありましたか?」
リリアンはハーディスに聞いた。
「いや全く。でもずっと下から…多分この部屋から、うるさい呻き声が聞こえてる。」
「悪魔が迷った魂の案内をしたがらないのは単純だよ。うるさいから。ただそれだけ。」
悪魔はうるさいことが嫌いなのか…。
俺は少し悪魔がうるさいことが嫌いな理由を考えてみたが、すぐにやめた。
人間誰しもうるさいのは嫌いだな。
「じゃぁ…開けるよ。」
エウレカ博士はドアに手をかけた。
ギィィ…。
バン!
ドアを開けた時裏返った声が大量に聞こえてきた。
「アアアアアアアアアアアアア!」
「「ウウウウウウウウウウ!」」
「うるっさ!」
ニコは叫んだが、あまり聞こえなかった。
それほどまでにここの魂は多いのだ。
「「「オマエタチ…ダレダァ!!」」」
魂たちは叫んだ。
「ううぅ…鼓膜が…こんなにうるさいなら耳栓でも持ってくればよかった…。」
エウレカ博士は耳を塞ぎながら言った。
すると突然、ハーディスは持っていた三叉槍を床に勢いよく叩きつけた。
ガン!
「静粛に。うるさい魂たち。これで二度目だよ。」
魂はすぐに静かになった。
「そこで今すぐに肉体を捨てて。言うことを聞かないと、ここであなた達の魂を消去する。」
俺は気になってアリアに話しかけた。
「え?魂って消すことができるのか?」
アリアは答えてくれた。
「ええ。悪魔は魂を喰らう権利を神様から与えらています。フレアの自然の摂理に従わない魂を。」
なるほど…ハーディスは今、最初から案内するつもりなんてかったのか。
恐らくハーディスは昔、この遺跡の魂を見つけて冥界に案内しようとしたけど、こいつらは言うことを聞かなかったのか。
「「「ウル…ウルサァァァイ!!!」」」
魂は結局最期まハーディスの忠告を聞かなかった。
「へぇ…じゃあさよなら。もう二度と悪魔の手を煩わせないようにするために、消すね。」
魂たちはハーディスに襲いかかったが、一瞬でハーディスの三叉槍に切り裂かれた。
「リリアン、今回は後処理必要ないから。」
「分かってますよ。消すのだって、これで3度目ですからね。」
「アポロンたち、着いてきて。奥にまだ部屋があるよ。」
ハーディスは奥にあったドアを指差した。
「本当だな。それじゃあみんなで行こうか。」
ギィィ…
部屋の中には小さな神台しかなかった。
「ええ…ここ来るまで迷路みただったのに…」
ニコは残念がっていた。
「まぁ遺跡の調査ってこんなもんだよ。」
アポロンがそう言い、みんなが帰ろうとしたその時、
パァ!
アリアが持っていた寝息のする石が光を放った。
「ええ?カガリ君の近くに落ちてた石が…」
「アリア、なんだそれ?」
アリアが持っていた石を俺が掴むと、
バキ!
「えっ?」
石は突然割れ、それと同時にあくびが聞こえた。
「ふぁぁ…。おはよう、カガリ。」
目を開けると俺の目の前に白いモフモフの妖精が浮いていた。
「だ…誰だ?お前。」
「え?ソレイユだよ!ソレイユ!」
専門用語解説
継承者
星霜の館で12の神の権能を引き継いだ人間。
継ぐと同時に名前もその神様の名前に変わる。
イーストスやアポロンなどもその1人。