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異変調査隊 第1話 レストラン
「レストランの異変調査ぁ?」>
依頼書を読んでいた私は、思わずそんな言葉が口をついて出てしまった。
<「【エリス】ユヅキどした?」
此奴はエリス。私を入れて、調査隊の2番目の古参だ。
家出をしてヤケになって入ったらしいけど、調査隊に大分貢献してくれている。
私の方が先輩だが、大分親しいので呼び捨てだ。
「ちょっとな。依頼がレストランの異変調査だからな。」>
<「【エリス】戦うのだったら大変だね〜」
呑気だなぁ、ホントに此奴は。人が困っていたら大変だし、
「とりあえず出発しようか。」>
<「は~い!」
武器を持って、はい完了。隊服って丈夫でいいね。
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依頼先は大きなホテルのレストラン。
ウェブの写真では、照明を着飾った華やかな姿だったのに、現実ではコンクリートの壁にツタが伸び、窓はところどころヒビが入っている。
でも、廃墟と行ったところで大して変わりない。
「エリス、入るぞ」>
<「【エリス】は~い!」
安全のために、エリスより先に入る。先に死なれては困るから。
閉まらなくなった自動ドアの間から、一歩足を踏み入れる。
すると、締め付けられるような、押しつぶされるような、そんな苦しい圧が私を襲った。
きっと、これは妖気だ。…となると、相当な怪異型か。
「エリス、今回のはかなり強そうだ。気をつけてついてこい!」>
<「【エリス】りょーかい!」
エリスは、自動ドアの割れた破片をブーツで踏みながら駆けてきた。
レストランは、たしか2階だな。
私とエリスは、目の前にある階段を駆け上った。
レストランに近づくほどに、圧はひどくなっていく。
エルフのエリスは、そんな圧感じないようだ。ただ、嫌な雰囲気だとは感じているようだ。
レストランまでやっと上り詰めると、真ん中に鬼の形の異変。戦うしかあるまい。
「ほっ!」>
まずはトライデントで一突き…だが、鬼の異変は鋼の上でトライデントを突き返した。すさまじい力だった。
私が怯んだところで、エリスが矢を放つ。運よく鬼の目に当たり、鬼は唸りながら、右目を押さえた。
今だ。
私は飛び上がって、鬼の柔らかい頭を突き刺した。大ダメージだったようで、鬼は血が噴き出す頭を押さえながら、おもいっきり私を振り払った。
受け身を取れずに、私は厨房の方へと吹き飛んだ。そして、厨房の時計のある壁に打ち付けられた。
全身が痛くて起き上がれなかった。私は思わず遠くを見た。エリスはまだ戦っている。私も戦わなければならないのに。
<「【??】…たす…けて」
どこかからか、そんな声が聞こえてきた。声の方を見ると、若いコックがフライパンを握りしめたまま倒れている。
私では助けられないな。私は動けないし、此奴は死にかけだ。
あっちから、鬼の攻撃の衝撃波が飛んでくる。
死ぬなコレ…。と思っていると、若いコックはこちらをまだ見つめている。
衝撃波が打ち付けられた壁を破壊したとき、いつの間にか私は、若いコックを背負いながら高く飛んで避けていた。
え?
そう思う暇はなく、次々に来る衝撃波を避け、安全なものの影にコックを運んだ。
すぐに鬼の方に飛び上がり、もう一度、鬼の頭を突き刺した。
すると、鬼はうめき声を上げながら、どろどろな黒い液体となったあと、跡形もなく消えた。
その鬼の消えるのを、最後まで見ずに、私は若いコックの元に、ひとっ飛びし、若いコックを運んでエリスの元へ駆けた。
「エリス、此奴を頼む。ちょっと運ぶ体力はないんだ。」>
そう言っても、さっきから黒目を小さくして、ポカンと少し口を開けたままだ。
「ん?エリス?」>
<「…血!血!血?!ヤバいって!!」
「ん?血?」>
その時、視界に大きな赤い雫が映った。運んでいたコックに、さっきの赤い雫が落ちていた。…大粒のchlだ。
「え?は?はぁぁぁ!?」>
なんかふらっと来て、視界は天井に埋めつくされた。上を見たんじゃない。床に倒れたんだ。
多分ね、これグロテスクなchiを見たからこうなった。
若いコック…どうしよ。そんな事を考えているうちに、視界で瞼の黒いカーテンが閉まった
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エリスが可愛いゆるキャラ人間になって、罵声しか言わなくなった。
そんな夢を見て、がばっと起き上がった。なんて夢だ…。
起き上がれば、いつもの見慣れた調査隊基地。
エリスが運んでくれたのか…。
<「【??】あ、エリスさーん!隊長起きましたっス。」
なんでお前がここいんの?
さっきのコックが、前の弱々しい者ではなく、ヤンチャ元気満々な若者みたいな感じに変わっていた。
「え?あ、え〜?」>
<「【エリス】あ、おはよユヅキ。いっつもグロみたらこれだもんね〜」
この前も検いけ試したらこうなりました。
<「【??】グロ苦手とか、隊長って可愛いところもあるんっすね〜」
「ん?」>
可愛い…よりも此奴が気になる。
「お前、なんで此処いるの?」>
<「【??】なんでって、隊長起きたら、この隊に入れてもらおうと思って。」
いや入り浸るなや。先に名前聞かないとな
「ってか、お前誰だ?」>
<「【明方 光】明方 光っす。光って読んでくださいっす」
「うん、分かった。私はユヅキだ。」>
<「【光】で、ユヅキ隊長!俺を隊に入れてくれませんか?貢献がしたいんですよ!!」
<「【エリス】入れてあげよ〜よ!」
うっ!なんというキラキラ目も上目遣い…。眩しいぞお前ら。
「わかったよ。ヘマはすんなよ」>
<「【光】よっしゃーー!!あざっす!」
こう言うしかなかったんだよ…。
エリスがなぜ怪我してないかって?エルフだから鬼(某アニメ)なみに再生早いんだよ。
あと基本的に不死身だからね。