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音のまま演じ切れ #4
**第四話 わたしを見てよ**
友達ができた喜びを噛み締めながら、家に帰る。
(いやぁ……ほんとよかったっす。断られたら挫けるとこでした……)
思わず頬が緩んでいると、ふと気配を感じた。
振り向いたが、誰もいない。
「……気のせいっすかね」
そう思うことにして歩みを進めるが、段々不安になってきた。
なので、なんかの本で読んだ、尾行を撒く常套手段を試してみる。
と言っても、ゆっくり歩いたり早足で歩いたり、突然止まったりを不規則に繰り返すだけなのだけれど。
……離れない。
「しぶといっすね……」
という呟きを、ため息と共にそっと吐き出す。
どうすっかなぁ、と天を仰ぐ。すると、時計が目に入った。
「待って、アニメ始まっちゃう! もういいや、走って帰ろ__」
そう言った途端、キィーンという金属が高速で擦れる様な、嫌な音が鳴り響いた。
耳を塞ごうとした刹那、頭が揺らされる。
「………ぅ、っ」
圧がかかる。重い。視界が霞む。意識が朦朧としてくる。
終わりを悟ったその時、なぜか圧がパッと軽くなった。意識もハッキリしている。
「大丈夫ですか?! 広瀬さん!」
「は、はい……何とか」
高倉さんが助けに来てくれたらしい。そして、隣にいる女子__例の綾瀬さんが目に入った。
「えっ、何? オカルン、知り合い?」
「はい。転校生で、ジブンの隣の席です」
彼女はどうやら、おれのことを知らないらしい。まぁ当然か、今日転校してきたばっかりだし。
「ちょっと、『友達』とは言ってくれないんすか? 高倉さん?」
軽口を叩いてみると、意外と効いたらしく「えっ、あっ、それは……」と焦っている。結構面白い。
「いやぁ、あのオカルンに友達ができるとはな〜……ふつつかなオカルトオタクですが、仲良くしてやってね」
張本人の高倉さんはというと、「何でそうなるんですか……」と呆れている。
平和な会話に和んでいると、先程のキィーンという音が聞こえてくる。
……ゎたし……ぉ……見て……ょ……!!
声と共に、姿を現した。
「……み……て……ゎた、し……ぉ……」
その容姿は、地面についている髪に4メートルはゆうに超える長身、という不気味なものだった。
それを見た瞬間、《《呑まれた》》。
「__広瀬さんっ!?__」
「__ちょっ、嘘!__」
遠くで2人の声が聞こえる。
おれは、そっと意識を手放した。
えっ、モモの口調クソムズいんだが。
後、怪異って書くの大変っすね……。