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鬼滅の刃 if
ジブラルタル
尽きるのは、鬼か、人か。
私は貴族だった。一人の兄を持ち、恵まれた環境で日々を過ごしていた。これからも、そんな日々が続くのだろうと、漠然と考えていた。…奴が生まれなければ。
「男の子…ですよね。」3人目の兄弟が産まれた。名前は、ない。死産を宣告されて産まれた男だからだ。私の家には、奇妙な風習がある。
昔から、死して産まれた者の魂を弔うために、その赤ん坊を喰う。今回、奴が死して産まれたがため、その役に抜擢されたのは、私と兄だった。死臭が漂う赤ん坊を、口を開けてかじったこと、今も忘れない。
あの時は、己が野生の動物になったような気がしていた。
そして兄と私のせいで腹が少しえぐれた弟は、火葬の場において、初めての産声をあげた。それが、私と兄の破滅の元凶であり、御家断絶の理由にもなった。
生まれてきたこと。それが、3人目の弟、鬼舞辻無惨の最初の罪であった。
書いてて楽しかった