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第13話[何が正解]
前回までのあらすじ。
色々あってSCに行くことになったルカ達8人。
一時的に男子グループと女子グループに分かれて行動することに。
そして両グループが合流しようとした時、大きな銃声が響く。
ちょうど銃声が鳴った1階の階段にいた男子達はそれぞれ動く。
一時的に隠れるというノアから暴走しがちなレイのことを頼まれつつ、ハドも向かう。
別行動をしていたカイルと合流し打開策を考えていた時に、ある行動をとった襲撃犯にレイが__!?
パシンッッ
母親が人質にされてその子供が泣き始めたことに苛いらついたのか、襲撃犯がその子供を引っ叩いた。
カイル「…うわ、ひでぇ…」(小声)
ハド「痛そー…」(小声)
…だが、問題はその後だった。
レイ「おい、やめろよッ」
…レイが子供を叩いた襲撃犯に向かって大声でそう言い放ったのだ。
カイル「…あ、レイいんじゃん」(小声)
ハド「それどころじゃねーだろ。止めねーと…」(小声)
カイル「…珍しくね?|ハド《お前》がそーいう行動しようとすんの」
ハド「…ノアに|レイ《あいつ》のこと今任されてるから」
カイル「…へえ」
カイル(…それだけじゃないように俺には見えるけど)
ハド(…人の説得って苦手なんだよな…)
ハド「…脳筋で突っ込もうとすんなよ」
レイに近づいて腕を軽く掴み、そう言う。
レイ「は、?やめろよ、子供が可哀想だろ!」
ハド「…もし|レイ《お前》が突っ込んだせいでその子供の親が撃たれたらどうすんの?」
ハド「余計子供が可哀想じゃないのか」
レイ「…っでも!」
ハド「…気持ちは分からなくもないが、今は_」(小声)
ハド「あいつらの言うことを聞くべきだろ」
ハド「…違うか?」
…静かなSCに|ハド《俺》の言葉が響く。
レイ「……でも…」
レイ「何でだよ…」(小声)
レイ「|入学順位超上位者《 お 前 達 》が力を合わせれば最強だろ…?」(小声)
レイ「|ハド《お前》や|ノアやルカ達《 あ い つ ら 》なら最強だろ…?」(小声)
レイは俺にしか聞こえないくらいの声量でそう訴える。
ハド「……最強にだって出来ないことはある」(小声)
ハド「…どうしようもないんだよ」
レイ「そんなことないかもしんないじゃん!」
レイ「やろうと思えば出来る事だって__!」
ハド「_強がるんじゃねぇよ。」
レイ「強がってなんか…!」
ハド「…少なくとも今の状況でその発言はただの《《強がり》》だ」
…これだから人の説得は苦手なんだ。
人の気持ちなんて誰にも理解できないんだよ、|ノア達《あいつら》とは違って。
あいつらだって人の思考の表面は読み取れても、その奥底の気持ちなんて分からないに決まってる。
だからいつその説得者がいつ|爆弾発言をしても《地 雷 を 踏 ん で も》おかしくないってのに…
相手の考えてることも分からないならどうしようもないじゃんか。
…|レイ《こいつ》みたいに意思が強い奴は尚更説得なんかされない。
ハド「…一旦落ち着け」
レイ「俺は至って冷静だ!」
ハド「…さっき俺が言ったこと忘れたのか__」
襲撃犯「おい」
襲撃犯「それ以上続くならどうなっても知らないぞ」
そして複数人がこっちに銃口を向けてくる。
レイ「……っ」
ハド「……」
…とりあえず止まったか。
まあレイは知らんけど俺に銃は実弾だろうが多分効かないがな。
襲撃犯「…よし、こうしよう」
襲撃犯「お前ら全員その場に這いつくばれ」
レイ「!?」
ハド「…身動きをとれないようにするつもりか」(小声)(独り言)
…下手に動いたせいで、簡単に動けない状況になってしまった。
逆らっても余計悪化するだけなので、大人しく従う。
ピンポンパンポーン
--- 「一応俺らの要求を言っておく」 ---
--- 「俺達は数時間前強盗を起こし、ここへ逃げてきた」 ---
--- 「逃走用の車を…そうだな、40人分くらい要求する」 ---
ハド(40人!?)
多すぎだろ。
どんだけ計画性のある強盗だったんだ。
--- 「もし断ったら…どうなるか分かるな?」 ---
そう言って放送は終わった。
レイ「…それだけの車をどうやって用意するんだ…?」(小声)
ハド「知るかよ、、」(小声)
とりあえず放送の間に|人の多い《襲撃犯達にすぐ見つからなさそうな》ところへ移動したものの、どうすれば良いんだろうか…。
そんなことばかり考えていた。
---
ノアside
ノア(…はあ)
ノアがみんなを誘ったばかりにこんな事に…
全部終わったら謝らないとな。
ノア(…とりあえずどうするか考えないと)
そう考えながら、スマホで|襲撃犯《あいつら》のことを調べる。
…てか圏外じゃないじゃん、スマホ普通に使えるじゃん…w
まあ疑ってはいたけどさ…
_あいつらの要求は強盗を起こしたための逃走用の車。
それはSC側がどうにかするんだろう。
客の車を奪うとしても、ノア達は車で来ていないから関係ないし。
さっき銃を撃つ前に、その人が空間から銃を取り出していたのを見たから、恐らく能力者だ。
…だったらこっちも能力で対抗する?
いや、客が多すぎるしリスクが高すぎるか。
相手にどんな能力者がいるかも分からないし。
一斉に倒し切らないと状況が悪化して、余計面倒になりそう。
…最悪全員救うどころか殺されるかも。
それにこの方法はほぼ不可能だし、やるとしても結局|一般人《無能力者》も巻き込んでしまう。
だったら出来るだけ被害を減らす?
…でもそれはその“被害者”を《《見殺し》》にするってことだよね。
でもそれ以外に方法なんて__。
…ルカはきっと|被害を減らす方《 合 理 的 な 方 法 》を選択するだろうね。
ノア(…何が正解なんだろ)
…もともと正解なんて無いのかな。
ノア(…困ったなぁ…)
ノア(…あ、出てきた)
近くの強盗被害を調べていると、それらしきものがヒットした。
ノア(…テロ組織、か…)
毎回公共施設のどこかに爆弾を仕掛け、金目のものなどを強盗した後に爆破しているらしい。
爆破の犯行時刻は毎回13時頃とされている。
ノア(今は…12時42分か)
ノア(…結構やばくない?)
爆破まであと約18分。
ゆっくりしている暇が無いのは明白だ。
ノア(…とりあえずアド達の居場所は突き止めた)
ノア(でもルカだけ…)
…まあルカのことだし別行動するとは思ってたけど。
ノアの魔力探知にも引っかからないとなると何か考えてるよね…
ノア(…あ)
もしかしてノアのこと探してる、?
今|隠伏《ハイド》使ってるからね。
ノアも魔力探知にも引っかからないはずだからお互い分からない状態かぁ…
ノア(…2階と3階にも魔力探知かけてみるか)
ノア「…!?」
…え、なんか3階の魔力密度凄いんだけど…?
しかもこの魔力って確か__
ノア(…“影”)
…間違いない。結構禍々しいもん。
今まで気づかなかった自分が怖い…
影らしき魔力の塊から客らしき魔力の塊達が離れていく。
そしてその中に__
ノア(ルカ…)
見つけた。
ノア達より一足早く気づいて向かってたのか。
ノア(…量結構多いっぽいしノアも向かお)
ここでじっとして考えているよりよっぽどマシだろう。
そう思って3階を目指した。
---
カイルside
カイル(……)
とりあえず放送の間に物陰に移動したはいいものの…どうしようか。
這いつくばらなくても何も言われないってことはバレてはないんだろうが…
今はレジの近くでしゃがんでいる状態。レジの店員には襲撃犯が銃口を向けている。
…隠れるところ完全にミスったわ。
つかハドと話してた時に感じたあの予感…やっぱ気のせいじゃ無い気がする。
3階…やっぱなんかあるよな。
でも動けない状態になっちまったし、言い合ってたハドとレイは襲撃犯達に警戒されてる。
あいつらに情報等を伝える方法はほぼ確実にないだろう。
カイル(…さて、どうしたもんか…)
…“なんか”っていうかこれ…“影”な気がする。ただの勘だけど。
でも俺の勘ってまあまあ当たるんだよなぁ…自分で言う(?)のもなんだが。
…それ以上に嫌な予感がする。
このままだと全員殺される、そんな気がしてならない。
何となくレイ達の方を見る。
レイは悔しそうな顔をしながら渋々伏せている。
ハドは相変わらずの無表情で何考えてるか分からんが、あいつなりに何か考えてる…と思う。
…途端、レイがこっちを睨み、目が合った。
多分角度的に睨んでるように見えるだけで、こっちを見ただけなんだろうけど。
レイ「……っ」
何か口パクで伝えようとしている。
でも何も分からん。すまんレイ。
読心術持ってるらしいノアなら分かったかもしれんが…
……ありえないことを考えていても仕方ない。
3階にいる(気がする)影のことは、今唯一動けるであろうノアに任せよう。
というか、任せるしかない。
俺たちは俺たちでこれからどう動くか考えなければ_。
はい、なんとあと約18分でSC爆破されるらしいですね。やば。()
てか襲撃犯いちいち話す前にピンポンパンポーンって鳴らすの少し律儀では?笑
聞き逃しを防ぐためなのかな…((絶対そう
ルカはなんと誰にも認識されずに1階から3階まで移動したらしいですね。
…え、凄いどころじゃないんだが??
そして1階から3階の様子を少し把握出来るノアもやばいですね。
(一応この世界では魔力探知は相当の実力者じゃないと使えません)
↑ルカも使えるのやば。(11話などにて)
…はてさて、一体どうなってしまうのか。
…ご閲覧ありがとうございました。