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Tens:soleil 第6話
ガンバ ルヨ
『月』
「カガリ君、この妖精の事、知ってますか?」
アリアは俺に聞いてきた。
「いや、全くだ。」
そう答えると妖精が取り乱しながら
「えぇ!?なんでだよ!オレの事知らねぇのかよ!」
「オレはソレイユ!神の子の『火種』の案内者だぞ!」
火種...あ、そういえば燭台に火を灯すのには、その火種ってやつが必要だったな。
「まぁいいか。ソレイユ、これからよろしくな。」
「ああ。よろしくなカガリ。」
「ソレイユ、早速だけど火種の位置、教えてくれないか。」
ソレイユは少し安心して話し出した。
「正確な位置は今のところ分からない。数日前までそこの神台においてあったんだが、多分誰かが持ち去ったんだろう。」
えぇ...ないのかよ。
そう思ったがアポロンが
「確かに。少しおかしいと思ったんだよね。」
「未踏破にしてはミイラや魔物の数が異常に少なかったし、正直あの最深部を守っていたミイラ、守衛にしては弱すぎるんだよね。」
と、言うとハーディスが
「じゃあなんで私呼んだのよ。あんたで倒せるのに。」
「だって前言っていただろ。この遺跡の魂、言うこと聞かないって。」
「だから、お前が見逃したやつだったんだろうなって。」
「あっそ。」
ハーディスは、興味無さそうに聞いていた。
するとリリアンが
「あの、じゃあその火種を持ち去った人を探し出しませんか?とりあえず戻って痕跡を探しましょう。」
「そうだな。」
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「うーん...なかなかありませんね。」
アリアは下を見つめながら悩んでいた。
「あっ!なにかあるぞ!」
ソレイユが少し凍った壁の破片を見つけた。
「少し凍っているね。エウレカ博士、なにか分かる?」
「これは...魔術かな?」
「あっ!またなんかあるぞ!」
ソレイユは抜け落ちた牙を見つけた。
「これ...蛇?かな。」
ニコがそう言うと、エウレカ博士は
「そうだね。少なくとも魔物の物ではない。」
そうな事言っているとハーディスがなにかに気がついた。
「これ...悪魔だ。」
「え?どうして分かるんですか?」
アリアは聞いた。
「悪魔にはね、悪魔にしか分からない痕跡を残すことがあるの。なんだろう...表現が難しいけど。」
「ん?蛇...氷の魔術...悪魔...もしかして『十の大罪人』!?」
ニコがなにかに気がついた。
「確かに、その特徴に該当する人物はいますね。噂ですがその3人は今、一緒に行動しているとか。」
アリアが補足した。
「確かにね。まぁ、とりあえず遺跡を出よう。みんな館に戻って各自、その罪人について調べる。以上」
「はい。分かりました。」
アリアがそう言うと皆は出口を目指した。
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「はぁ...火種を手に入れるのは、本当に大変だったわね。そうよね、ダイナ?」
黒髪から蛇が生えた女はコップを持ちながら、数日前を振り返った。
「ホントホント〜!たいへんだったよぉ〜!」
ヒレの耳の笑っている少年は氷の魔法を練習しながら、女に共感していた。
「まぁ君たち、静かにしたまえ。」
悪魔の男は紅茶を口にした。
「そう言えば今更だか、これは本当に『月』のためになっているのかい?」
「うるさいわね。まだ火種は1つだけでしょ?急かさないで。」
「それに別に『月』ためにしているわけじゃない。『月』に謁見してこの地の摂理を変える...そのためには神の子の役割を果たさなければならない。」
「でも案内人が居ないと、本当に見つからないものなのね。これでやっと1つ目。」
「まぁでも神聖な場所を探していれば、見つかるでしょ。」
「でも神の子が降臨してしまった...まぁいいや皆、ゆっくり行きましょう?どうせ時間はたっぷりある。」
「でも、メードゥ?いいのかい?神の子を放っておいて。」
「いいのよガミジン。好きにさせておいて様子を見ましょう。」
「そぉ〜だよガミジン。僕たちには時間があるんだよ〜?」
「まぁそうだな。」
悪魔は少し笑いながら、紅茶を少し飲んだ。
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「イーストス様?十の大罪人についてなにか知っていませんか?」
イーストスは少しため息をついた。
「知ってるわけないでしょ。私はライト・スクウェア警察じゃないんだよ?」
「あっ、でも蒼穹隊の人ならなにか分かるんじゃない?」
「蒼穹隊?」
「あーカガリは知らなかったね。蒼穹隊は、隣国の永霓って言う国を治めてる「燦龍軍」にある隊の1つだよ。」
「永霓とオリンポスは同盟を結んでいるので、その国の統治者の曉獄と言う人物が、隊を貸してくれているんですよね。」
アリアがニコの説明を補足した。
「私も着いていくから。確か麓に支部があったはずよ。」
イーストスはそう提案した。
「まぁ確かに。何かしら行動はした方が良さそうだな。」
「十の大罪人は全世界で指名手配されています。知っていてもおかしくないでしょう。」
「じゃあ行こっか。」
俺たちは山を下り始めた。
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「着きましたね...建物、すごく大きいですね。やっぱり軍事組織なだけありますね。」
「とりあえず、そこの隊員っぽい人に話しかけよう。多分隊長じゃないと重要な事は分かんないと思う。」
イーストスは建物の門の横にいた隊員に話しかけようとした。
専門用語解説
永霓
七龍が作った軍、「燦龍軍」が治めている軍事国家。
かつては神が治めていたが、継承者不足などで七龍に統治する権利を譲渡した。
対応する空の色は「明朝」。
モチーフは中国。