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誕生日を迎えるのが怖かった
土日忙しくて、昼休みに頑張って完成させた((
ファンレターとか見てます!
良かったらこれにもください((
お祝いしてくれた方々、本当にありがとうございます!!
あ、よかったら前回の小説からどうぞ
https://tanpen.net/novel/7e06664a-a7ed-47f1-b189-92dfd26b656e/
誕生日を迎えるのが怖かった。
また、あの戦争で命を落とした皆と違って僕は一つ歳を取る。
善人である皆が死んでいる事実が辛い。
そして何より、僕が今も生きていることに気持ち悪くなる。
僕は、生きているべきじゃない。
そう何度思ったことか。
でも僕は気付いてしまった。
否、やっと目を背けることを辞めた。
辛くても、苦しくても。
僕は迷いながら、生きていかなくちゃいけない。
そしてこの街には、この場所には共に歩む仲間がいる。
「幸せになってもいいのか」
太宰君の言う通りだ。
その答えは、扉の向こうで待っていた。
僕は、恐る恐る先を見る。
目を開けると同時に、クラッカーの音が鳴り響いた。
「「happy birthday !」」
少し前の僕に教えてあげたい。
組織に入り、仲間を作ることは確かに怖い。
けど今、この繋がりを後悔していない。
人は、一人じゃ生きていけない。
そんな簡単なことを、どうして気付いてなかったんだろう。
まぁ、視界が狭くなりすぎていたんだと思う。
「……ぁ、りがと、みん、な……ッ…!」
視界が歪む。
涙が溢れて止まらない。
僕、生きてて良かった。
---
流石にマフィアの面々もいると、少し探偵社は狭く感じるわね。
でも、この場に全員がルイスの為に集まっている。
ルイスはもうこの街の一員と云えるでしょうね。
森「誕生日おめでとう、ルイス君」
ルイス「あ、森さん」
森「昔と違って、今年は楽しめそうで何よりだよ」
ルイス「……まぁ、やっと気付いたって云うか、目を背けることを辞めたので」
森「……そうか」
優しく笑った森さんを見て、ルイスは何とも云えない表情をしている。
嬉しいそうな、恥ずかしそうな。
そんな笑みを浮かべながら。
エリス「誕生日おめでとう、ルイス!」
ルイス「ありがとう、エリス」
エリス「ルイスみたいなぬいぐるみを見つけたのよ。可愛いでしょ?」
ルイス「凄く可愛い…」
エリス「私が選んだんだから当然ねっ!」
それにしても、とルイスは振り返る。
ルイス「皆ぬいぐるみしかくれないんだけど。え、僕がぬいぐるみ好きなの馬鹿にしてる?」
乱歩「仕方ないでしょ。ルイス=ぬいぐるみ大好き人間のイメージが強いんだから」
ルイス「ぬいぐるみ大好き人間!? なにそれ!?」
乱歩「事実でしょ?」
ルイス「ま、まぁそうだけど……」
谷崎「結局、殆どの人がぬいぐるみですよね。僕達もですけど」
ナオミ「違う人と云えば……マフィアの幹部さんですかね。あと太宰さん」
敦「芥川も違いましたよ」
鏡花「……意外」
敦「待って、双黒でぬいぐるみあげてるの僕だけじゃ((愚者め。 あ、芥川」
芥川「ぬいぐるみ等、ルイスさんは幾つでも持っている。そして被る可能性を考えたら、別のものを送った方がいいに決まっているだろう」
敦「……お前、太宰さん太宰さん云ってる割にルイスさんのこと好きだよな」
芥川「貴様より付き合いが長いからな」
ルイス「何喧嘩してるの、そこ」
鏡花「喧嘩じゃない。二人は仲良し」
敦「え?」
鏡花「二人ともルイスさんが大切で、尊敬してる。勿論私も」
ルイス「……そっか」
鏡花「あの人から何を貰ったの?」
ルイス「芥川君? えっとね、お茶とか和菓子のセット。凄い綺麗だったよ」
銀「私も一緒に選んだの。兄さん、一生悩んでいそうな感じがしたから」
芥川「銀!」
敦「……やっぱり僕もぬいぐるみにしなければよかった」
ルイス「僕は貰えるだけで嬉しいよ」
ルイスが笑うと、窓からノックが聞こえた。
視線を向けてみると、そこには見慣れた二人の姿が。
三月ウサギ「ハッピーバースデー!」
ルイス「うわっ!?」
窓を開けると同時に、三月ウサギは飛び込んでくる。
それを見ながら、マッドハッターもゆっくりと入ってきた。
緑のカラースーツと、赤のカラースーツ。
二人とも相変わらずハットを被っているわ。
敵意はないと判っていても、全員窓から入ってきた二人に集中してしまっているわね。
マッドハッター「誕生日おめでとう、ルイス。窓から入ってきて悪いね」
ルイス「どうせ転移に失敗したんでしょ?」
マッドハッター「あんま云わないであげてくれ。本当に人前に出なくなる」
三月ウサギ「はい! これ私達からのプレゼントだよぉ!」
ルイス「……これって」
マッドハッター「いつも通りクッキーを焼いたのと、君に合いそうなブローチ。兎だし、可愛いだろう?」
ルイス「ブローチなんて、何時つけろって云うんだよ」
そう云いながらも、ルイスは笑っていた。
その様子を見て、帽子屋の二人は顔を見合わせる。
マッドハッター「必要なのは僕達じゃなくて、新しい仲間だったんだね」
三月ウサギ「……ちょっと寂しいかもぉ」
隣に並ぶことはできないのか。
そう云いたそうな三月ウサギの頭を、マッドハッターは優しく撫でた。
それを見て、ルイスは二人を抱き締める。
三月ウサギ「る、いす……?」
ルイス「君達が、道を示してくれたから僕は此処にいる。この街が今の居場所だけど、僕にとって君達は……|英国軍《あの場所》は……っ……」
アーサー「……莫迦、全部云わなくても判ってる。ただ俺も、エマも寂しいだけだよ」
エマ「たまに連絡してよね、ルイス」
ルイス「勿論だよ。|御茶会《ティーパーティー》も沢山しよう」
彼女のところにも、行かないと。
ルイスが小さく呟いたことは、アーサーとエマしか知らない。
マッドハッター「それじゃあ僕達はもう行くね」
三月ウサギ「またねぇ!」
ルイス「……うん!」
それから数時間後。
日が沈み、すっかり暗くなった街をルイスは見下ろしていた。
探偵社の入っているビルの屋上にいるのだ?
太宰「改めて、お誕生日おめでとうございます」
ルイス「うん、ありがとう」
太宰「……答えは見つかりましたか?」
ルイス「君の言う通り、扉の先に待っていたよ。今じゃ“幸せになってもいいのか”なんて考えてた自分が馬鹿らしい」
太宰「そう思えたなら何よりです」
にしても、とルイスはポケットからあるものを取り出す。
ルイス「僕、君の前で吸ったことあったっけ? というか、煙草吸うことを話した覚えもないんだけど」
太宰「何度か見かけたことはありますよ。まぁ、ルイスさんは気付いてませんでしたけど」
ルイス「……煙草臭い?」
太宰「いえ全く」
ルイス「なら良いけど。敦君辺りにはバレてるかもなぁ……虎の嗅覚凄いし」
太宰「バレていても気にされてないのなら良いのでは?」
ルイス「まぁ、今は殆ど吸ってないからね。何か云われたら完全に辞めるかも」
太宰「別に私は辞めなくて良いと思いますけど。あ、一本ください」
ルイスは太宰君に煙草を渡す。
そして彼から貰ったライターで火をつけた。
煙草の細い煙は、空高くへ上っていく。
太宰「なんで始めたんですか?」
ルイス「“かぐや姫”を読んで、この煙もロリーナのいる場所に届くかなって。自分の誕生日とロリーナの誕生日、後は終戦日とかに吸ってる」
太宰「へぇ……なんかロマンチックですね」
ルイス「……そう?」
中也「あ! こんなところにいたんですか!?」
ルイス「どうかしたの?」
中也「解散しようってのに主役がいなくて困ってたんですよ。太宰はいなくても問題ないが、ルイスさんはいてください」
ルイス「中也君も吸う?」
中也「……珍しいですね、煙草なんて」
太宰「因みに中也からのプレゼントって何だったんです? ワイン?」
中也「残念だったな、太宰。正解は“日本酒”だ」
太宰「何で!?」
中也「あんま日本酒飲まないらしいから、お猪口とかもセットにして渡したんだ」
ルイス「中也君が一番お金かかってそうだよね」
中也「そんなことないと思いますが……」
太宰「予想外れたの不満しかないんだけど」
中也「まぁ、しょうがないだろ。俺も昨日思いついたし」
ルイス「そうなの?」
中也「ワインじゃ面白くないと思って、ずっと迷ってたんです。そしたら日本酒をあんまり飲まないこと思い出して」
太宰「むー……」
中也「って、こんな話してる場合じゃなかった。早く戻りますよ。そんな薄着じゃ風邪引きますって」
ルイス「はーい」
全く、中也君の言う通り風邪を引いたらどうするのかしら。
とりあえず、私の出番はこの辺で終わりかしらね。
ここまで読んでくれてありがとう。
まだ少し続くから、最後まで付き合ってくれると嬉しいわ。
それじゃ、また会いましょうね。
一応ナレーターのアリスでした。
---
解散して数分後。
ルイスに非通知で電話が掛かってきた。
『もしもし』
「色々と云いたいことはあるけど、最初に一つだけ云わせてもらうね」
『何でしょうか』
「趣味が本当に悪いな、お前」
『その口調、昔に戻ったみたいですね』
「君は僕の昔を知らないだろ」
『そういうことにしておきましょうか』
今はまだ、と電話の向こうで笑う声が聞こえる。
「最悪の誕生日プレゼントをありがとう、魔人君」
『おや、感謝は伝えてくれるんですね』
「祝う気持ちはあるんでしょ、一応」
『一応ではなく、ちゃんとありますよ?』
「何処までが本当なんだか」
『信用されていませんね』
「それにしても随分暇なんだね。僕の為に“頁”を使うなんて」
『……よく気づきましたね』
「未観測の異能とも考えられるけど、太宰君が“異能じゃない可能性”を教えてくれたからね。そして彼女が登場すれば、君のせい以外あり得ない」
『“お陰”ではなく“せい”ですか。誕生日に彼女に会えて嬉しくなかったんですか?』
「君への怒りの方が勝ったね」
『残念です。では、逆探知とかされたら嫌なので切りますね』
「……そう」
電話の切れた音が、ルイスの耳元で響き渡る。
携帯をしまい、深呼吸をし、ルイスは|異能空間《ワンダーランド》へ帰るのだった。
この後はアリスとお茶会して、英国軍でパーティーして、墓参りに行きましたとさ((
「いや、雑すぎでしょ」
もう書けないんだもん。
「えー……」
改めまして、天泣です。
ルイス君と歩んで一年ちょっと。
最終章もちょっとずつ更新していくと思うので、応援よろしくお願いします。
気が向いたらファンレターください((
あと、学タブ勢が見れない可能性があるんですけど良かったら。
ピクルーで立ち絵(?)作って作りました。
https://d.kuku.lu/s5cw86c6v
ルイス君、これからもよろしくね。