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あなたが「ただいま」と笑える、その日まで #2
9人の王族の暗殺を目的として
従者を装って潜入したスパイがいた。
しかし、従者として接するうちに
王族に対する新しい感情が芽生え始める。
私は今、odmn王国に従者として潜入している
目的は、王族たちの暗殺及び情報収集だ。
しかし今、私は何故か城内を案内されている
おかしくはないが、王族直々の案内はなかなか無い
しかも、私が王国に来た初日だ
よっぽど警戒心が薄いか、お人よしの2択だ
sh 「ここが図書館。私が1番好きな場所です」
王族の1人、shidが1番好きな場所はこの図書館らしい
それにしても随分広い図書館だ
一体、本は何冊あるのだろうか
sh 「ここの図書館には、10万冊以上の本があります」
## 「そんなにあるんですか?」
私は大きな衝撃に思わず聞き返した
本が1万冊以上ある王国はよくあったが、
本が10万冊 以上ある王国は初めてだ
sh 「はい、私が読書好きなもので...」
彼は照れたように笑った
今更だが、本当に無防備すぎると思う
まだ指示がないので行わないが
この時点で指示があったら
私は今、間違いなく彼を殺していただろう
sh 「##さんは読書好きですか?」
## 「はい、色々な価値観に触れられるので」
私自身、知識を覚えるためだけに読書を強いられてきた
読書で価値観に触れられるなど全く思っていないが...
まあ、ここは情報を引き出すためにも話を合わせよう
sh 「素晴らしい考え方ですね!」
## 「光栄でございます」
## 「shid様は、なぜ読書がお好きなんですか?」
sh 「私も似たような感じですかね...」
sh 「色々な方々の考え方を知りたくて...」
再び、彼はにっこり笑った
そして、宝石のような瞳で、私の方をじっと見つめた
その瞳は、少しも私を疑うようなものではなかった
## 「私の顔に、何か?」
sh 「いえ、そういうわけでは...」
慌てて訂正する彼の顔は素直だった
少しも、嘘をつこうとしていないのが分かる
sh 「あの...」
彼は少し悩んだ末、慎重に言葉を選びながら言った
sh 「私の、専属の従者になりませんか…?」
《《専属の従者》》
それは、特定の1人の主に仕える使用人の事
悪い話ではないが、私の目的は王族たちだ
## 「それは、一体なぜ…?」
sh 「読書が好きって言ってくれて、嬉しくて...」
顔を少しだけ赤くしながらも、心境を的確に伝えてくる
きっと、読書により身についた語彙力のおかげだろう
## 「ルカさんにも聞いてからご決断されては?」
sh 「それはそうですけど...その//」
今度は耳まで赤くなった
これは私の憶測に過ぎない話だが____
この照れ方は、恐らく私に恋しているのだろう
でも残念、スパイに恋をして、無事だったものはいない
## 「すみませんが、お断りさせていただきます」
sh 「えっ...あ、そうですか...」
## 「その代わり、献身的に尽くさせていただきます」
sh 「あ、ありがとうございます」
少し残念そうに、恥ずかしそうに笑う彼を見た
少し気まずそうな表情だが、後悔している様子はない
## ( 大丈夫ですよ、shid様 )
あなたのその想い、無駄にはしない
応えられない代わりに
あなたのことをとことん利用して差し上げます