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第一話 初配信 『ただのVtuberじゃねぇ伝説を作りに来た。』
薄暗い部屋に設置されたカメラ。
画面の向こうに、青い髪に淡い光が反射するVtuber・アカツキが姿を現した。
「――どうも、アカツキです。」
声は冷静で、少しだけ低め。初めての配信だというのに、緊張や戸惑いの気配は感じられない。
視聴者のコメント欄が、配信開始直後から賑わい始める。
視聴者コメント:
「うお、いきなり喋った!」「かわいい…?」「誰だこの子」
アカツキは画面の前で軽く微笑む。
「さて、今日は自己紹介をする。俺は――元スパイ、元教師、そして今はVtuberとしてここにいる。」
コメント欄が一瞬静まる。
「え…スパイ!?」「元教師!?」「マジで何者…」
「詳しく言うと、俺は黒川渚という名前で、かつては歴史科の教師をしていた。
そして、スパイとしても活動していたことがある。
スパイ時代のコードネームは『Blue Moon』だ。」
アカツキは淡々と話すが、その言葉には重みがある。
視聴者の好奇心が一気に引き寄せられた。
「滅多に殺さないスパイとして知られていた。殺した人数は、数えるほど――1〜3人。
普段は麻酔で眠らせるだけだ。」
視聴者コメント
「怖いけど、なんか安心するw」
「麻酔で済ませるとか紳士すぎる…」
「伝説すぎる」
アカツキは画面の向こうで少し肩をすくめた。
「俺は、もうこの世界では“死んだ”ことになっている。
戸籍もないし、過去の教員やスパイとしての身分も消えている。
今は寺に住んでいて、和尚さんに拾ってもらった。
つまり、過去の俺はもう存在しないんだ。」
コメント欄が再び爆発する。
視聴者コメント
「マジで戸籍ないの!?」
「過去全部消したとかすごすぎ」
「人生リセットしてる…」
アカツキはその反応を見て、ほんの少しだけ口元を緩めた。
「まあ、今はVtuberとして生きている。
過去の俺のことは気にしなくていい。
ただ、ここからが本番だ。
俺はただのVtuberじゃない――伝説を作りに来た。」
コメント欄が熱気を帯びる。
視聴者コメント
「伝説!?」
「配信覇権きたw」
「アカツキさん、応援する!」
アカツキはカメラを見据えたまま、静かに、しかし確信に満ちた声で言った。
「これから、俺と一緒に少し変わった日常を楽しむことになるだろう。よろしくな。」