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『星喰いの王』番外編:星の残響
metaru
星の祠にて
星喰いが滅び、灰界に光が戻ってから幾月。
ノアは〈リュミエール〉の祠を訪れていた。七振りの星剣は封印され、静かに眠っている。
「……お前がいたら、なんて言うだろうな」
ノアは夜空を見上げる。そこには、リリスの名を冠した〈希望の星〉が輝いていた。
その瞬間、祠の中に淡い光が満ちる。
〈黎明の剣〉が微かに震え、ノアの耳に声が届いた。
――ノア。私はここにいる。
それは、リリスの声だった。
星の残響
声は幻聴かもしれない。だが、ノアは微笑んだ。
「そうか……お前は、星と共にあるんだな」
星剣はただの武器ではなく、想いの結晶。
リリスの祈りもまた、剣に宿り、この世界に残っていたのだ。
ノアは剣に手を添え、静かに誓う。
「俺は忘れない。お前が信じた未来を、俺が生きる」
新たな旅人
その夜、祠を訪れた一人の少女がいた。
まだ幼いが、瞳には強い光を宿している。
「……ここに来れば、星の声が聞こえるって聞いたの」
少女はノアを見上げる。
「私も、星を守る人になりたい」
ノアは驚き、そして笑った。
「そうか。なら、ここから始めるといい。星は、願う者に必ず応えてくれる」
少女は夜空を見上げ、〈希望の星〉に手を伸ばした。
その姿に、かつてのリリスを重ねながら、ノアは静かに祈る。
星は巡る
星喰いの災厄は終わった。
だが、希望を求める旅は続いていく。
ノアは再び剣を手に取ることはないかもしれない。
けれど、次の世代が星を見上げ、歩き出すのを見守ることこそ、彼の新たな使命だった。
夜空に瞬く〈希望の星〉が、未来を照らしていた。