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いちばんの薬。2
最後に佐久間が入ってきて、遂にSnowMan全員が楽屋に揃った。
しかし…
全員、暫く会えなかった所為か、距離ができたのか、接し方が分からなくなってしまったのか。
みんな無言になり、気まずい空気が流れる。
と、そこで。
スタッフ「深澤さん…?ちょっといいですか…」
とスタッフさんが入ってきた。
辰哉「………。あ、はい‼︎今行きます」
と少し遅れて反応し、深澤が出て行く。
途端に、最年長のおかげか和んでいた空気が気まずいものになる。
「…」
沈黙が漂う。
その気まずい空気の中、何かしないと、とキョロキョロあたりを見渡し始める目黒。
カバンから何か取り出す。
蓮「あ、ちょっと…台本、見ててもいいっすか」
照「…あー、うん、、、いいよ」
何でだよ、めめ‼︎
と全員が思ったであろう。…不器用すぎだろ、目黒蓮。
椅子に座って、真剣そうに台本を読み始めた。
もう一度沈黙が漂う。
ラウール「ねえ…飲み物買ってきてもいい……?」
翔太「…どうぞ」
逃げるように外に出るラウ。
珍しく、ぼーっとラウを見ているこーじ。
大介「ねえねえ?こーじ…?」
康二「……………」
康二「あ、ごめん。どうしたん、さっくん?」
大介「ねえ、反応悪くない?」(訳:反応悪くない…?体調悪いの、こーじ?)
疲れで重要な部分が抜けてる佐久間。
康二「ビクッ‼︎ご、ごめんやん……。許してや…」
楽屋の外に逃げるように出て行った。
大介「え、な、なんで…?」
その隣で呆然と立ち尽くしてる照。
頭の中は、
「リーダーだから、俺が、しっかりしないと。しっかり、しっかり………………」
と思っているのだろう。
照「っごめん。無理。俺、外行ってくる」
涙を堪えているのだろうか、少しうわずった声でぶっきらぼうに言う照。
ドアが閉まった途端。
翔太「無理ってなんだよ。流石に酷い」
と怒る翔太。
涼太「翔太。落ち着いて」
翔太「無理って言われたんだぞ⁉︎何でそんなに落ち着いてられるんだよ、涼太‼︎」
涼太「無理って翔太に対して言ったわけじゃないと思うんだけど」
翔太「はぁ⁉︎もういい。俺外行ってくる」
珍しすぎるゆり組の喧嘩。
涼太「はぁ。翔太行っちゃった」
亮平「俺追いかけてこうか?」
涼太「いいよ、阿部。気にしないで」
亮平「でも…」
涼太「もういいから」
SnowMan結成して以来、最悪の空気。
バラバラになったSnowMan。
その後、メイクと衣装を整えて、撮影が開始。
あんなに険悪なムードだったのに、撮影となると、アイドルスマイルを振りまき、仲良しを“演じる”みんな。
いつものSnowManだった。
ここだけは、本当に凄いと思ったであろう。
しかし、撮影終わった瞬間、みんなバラバラに散らばっていった。
---
翌日。
朝、起きた時間はバラバラだったけど、起きて第一声はみんな同じだった。
SnowMan「「「「「「「「「……あ、これ………熱ある…」」」」」」」」」
体温を測ってみれば、全員37.5℃前後の微熱。
でも、仕事をそう簡単に休むわけにはいかない。
高熱が出てたなら話は違っただろうけど。
「まあ休めるときに休めば…微熱だし」
なんて、軽視して。
みんな、重くて怠い身体を引きずってそれぞれの仕事場に行った。
次にメンバーに会える日まで、あと5日。
それまで、休みは無い。
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5日後。
気合いでこの5日間を9人は乗り切った。
今日は9人でYouTubeの撮影である。
しかし、実はまだ、9人全員微熱が出ている状態。
お互い熱が出てることを知らないが。
撮影するスタジオに行けば、熱のせいか話すのも精一杯で、周りなんて気にしてられない状態。
とてつもなく重苦しい雰囲気になっていた。
ラウール「はぁ、はぁ…」
息遣いが荒いラウール。
蓮「………。」
目の下の隈が凄い事になっている目黒。メイクでさえも隠せていない。
康二「…。」
どこか一点を見つめてぼーっとしている向井。
亮平「………」
勉強しているのか、ひたすらシャーペンを動かしている阿部。
照「…」
ソファにめちゃくちゃだるそうにして座っている岩本。
涼太「………」
机に突っ伏して寝ている宮舘。
翔太「はぁ…」
さっきからため息ばかりついている渡辺。
大介「……」
全く動かない佐久間。
辰哉「………………………」
沢山疲れが溜まってる顔の深澤。
全員、最悪の顔色だ。
なにせ、元々の体調不良に、メンバーと話せない、なんてオマケがついているのだから。
全員、メンタル崩壊中。
と、そこで。
ガタン‼︎
大きな音が響いた。
SnowMan−亮平「「「「「「「「⁉︎」」」」」」」」
阿部が椅子から滑り落ちた。
床にくたりと倒れている。
翔太「阿部…⁉︎」
と近くにいた翔太が驚いて駆け寄る。返事が返ってこない。
ラウール「…‼︎」
不安そうに瞳を揺らすラウール。
大介「大丈夫、らう…。外、行こう…?」
と声を掛ける佐久間。
佐久間の声、元気なくない…?
その場にいた全員が違和感を覚えただろう。
佐久間がゆっくりとラウの手を引いてスタジオのドアへと向かって歩いて行く。
そこで、
バタッ‼︎
大きな音が再び。
ラウール「さくまくん⁉︎」
とラウールが掠れ気味の声で小さく叫んだ。
佐久間も倒れていた。
ラウールが起こそうとするが、
バタ…
ラウールもその上に重なるようにして倒れ、意識を失った。
2人に近づき、しゃがむ目黒。
蓮「さくまくん、らう…………」
と不安そうに見ている。
辰哉「めめ、めめ。大丈夫だから。ほら、ソファ座ってよ?」
と深澤が声を掛ける。
深澤に促され、立ち上がる目黒。
そこでふらりとバランスを崩し、目黒が倒れた。
先程からソファで全く動いていない岩本。
意識が飛んでいるのであろうか。
康二「照にぃ、照にぃ、照にぃ…」
と必死に声を掛ける康二。
涙が溢れていた。
しかし、康二の声もだんだん遠くなり、聞こえなくなってきた。
気づいたら、床に康二が倒れていた。
翔太「あ、ふっか…」
深澤も目黒の隣で倒れていた。
涼太「翔太、翔太‼︎動かないで、」
と宮舘が慌てて言う。
翔太「え、」
しかし遅かったのかぐら、と渡辺が倒れた。
涼太「しょうた………」
と宮舘も倒れた。
SnowMan全員、スタジオで意識を失った。