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出会い
校舎は甘くて不思議な匂いで、真新しい病院みたいな白さだった。
琉莉奈「あ……あの!ここって一体……あと、貴方って……」
|杏《アンズ》「私は|茅部《かやべ》杏。で、ここは……あ~……え~っと……」
彼女は、ちょっと困ったような顔を見せてから、言った。
杏「先生がちゃんと教えてくれるはずよ……多分……きっと……1人を除いては……」
かなり不安そうな苦笑を浮かべながら……。
杏「まぁ、行きましょ」
琉莉奈「え、あ、はい……」
着いたのは、見るからに職員室な場所。
杏「琉莉奈は何年?」
琉莉奈「高校、2年生です」
杏「あら、同い年ね」
そして、杏さんは「失礼します」と職員室の扉を開けた。
杏「高等部2学年の先生、いらっしゃいますか?」
先生「今は美波先生が取り合えますよ~」
そう、1人の先生が言うと、杏さんは見事に硬直。
杏「じゃ……じゃあ、お願いします」
先生「美波せんせ~い、C組の茅部さんが呼んでま~す」
|百々《モモ》「は~いっ‼」
呼ばれたその先生、立ち上がり、その勢いで、
**ズシャァァァァッ‼**
茶封筒から、書類を、ひっくり返した‼
百々「ひゃっ、あぁぁっ⁉」
杏「あっ、あぁ、またやっちゃったのね先生……」
百々「う、うん……」
琉莉奈「あ……えっと……手伝います!私!」
私はその散らばった書類の所に行くと、さらに酷い先生のドジに気付く。
琉莉奈「ト……トイレ?」
お便りらしきものの写真が、全部和式トイレになっていたのだ。
百々「え、トイレ?何が――」
そして杏さんと百々先生、硬直。
杏「……印刷ミスって、こうなるものなのかしら?」
百々「さぁ……」
先行きが不安になってきました……。
ひと通り拾い終わると、百々先生は「さて」と立ち上がった。
百々「あなた……転校生だよね」
琉莉奈「え、私」
百々「大丈夫。こっちではここに通うことになってるから」
杏「想像通りのすっ飛ばし具合ね……」
百々「大丈夫大丈夫。もうあなたの学力データは届いてるから、クラスもどこにするか決めてあるし。あとは制服だね」
琉莉奈「はい……」
そして、とんとん拍子に話は進み、教材の話とか、寮生活とかの話をしてもらった。
その間、百々先生は1分に1回ペースでドジをしでかしていた……。