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GW企画 #1
文豪ストレイドッグスより『神崎伊織』を深掘り!
友人と会うために、私は横浜へやってきた。
どうやら、兄と横浜のある会社で働いているらしい。
休日だからか、少し人が多くて戸惑う。
周りの雑音がうるさい。
まだ約束の時間まで時間はあるし、私は音楽を聴くことにした。
『死にたいなんて言うなよ。諦めないで生きろよ。』
そんな曲がヘッドホンから流れている。
この歌が正しいなんて言う人は沢山いるけど、私は馬鹿げてると思う。
だって、実際自分は死んでもよくて、周りが死んだら悲しくて。
それが嫌、というただのエゴだから。
「……。」
そんなことを考えていると、遠くに綺麗な黒い長髪が見えた。
キョロキョロと、誰かを探している。
私はヘッドホンを首に掛けて、彼女の元へ向かうことにした。
「久しぶりだね、ナオミさん」
「伊織さん!」
数年ぶりでしょうか、と彼女は笑った。
その笑顔は私の知っている可愛らしいものと違い、綺麗で大人っぽい。
服装もワンピースと女の子らしくて、シャツにデニムで来た私とは大違いだ。
「横浜にいらしたんですし、やっぱり中華街とかですかね?」
美味しいお店を知ってますの、とナオミさんは私の手を引いた。
見た目こそ大人っぽくなったけど、私の知ってる彼女のままだ。
少し、安心した。
連絡をもらって会う約束をしたのは良いけど、久しぶりで変な壁ができないか心配だった。
でもナオミさんは昔と同じく接してくれる。
それがとても嬉しい。
「ふぅ……なんだかんだ、結構歩きましたわね」
注文を終えたナオミさんが、そう言った。
確かに、食べ歩きとショッピングで殆ど立ちっぱなしだった。
今は彼女のよく行く喫茶店でおやつタイムにするところ。
二人なのにテーブル席に通してもらい、荷物を置いてもゆっくり座ることができた。
「ここの珈琲は本当に美味しいんですよ! それにお食事も!」
「へぇ、楽しみにしてるね」
「お兄様もナオミもよく来るんです。このビルの四階に探偵社が入っているので」
探偵社、という言葉に何かが引っかかった。
どこかで聞いたことのあるような、いや見たことのある気がする。
「お待たせしましたぁ!」
そんな私の思考は、女給さんの言葉で止まった。
美味しそうな珈琲とパンケーキが二セット、机へと置かれていく。
いただきます、とナオミさんと声を合わせて一口食べる。
「……美味しい」
ふわふわのパンケーキとか流行ってるけど、普通に美味しかった。
珈琲にも凄く合うし、頼んでよかったと心から思う。
ナオミさんの言うことは昔から間違い無いからな。
「それじゃあ、また会いましょうね!」
うん、と私は返事をして改札へと向かう。
今日はナオミさんと会えて良かった。
また会いたいな。
30分クオリティ((
また書く機会あったら本気で頑張ります。