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又旅浪漫
ニンゲン界も大して変わらず
きっと似たような感じだろう。
|妬み《ねた》、|嫉み《そね》、|僻み《ひが》、
ふとした日常会話の中で
ちらり、じわり、どろり、
他者に掻き立てられた欲望が滲み出る
まあ、ネコである自身がニンゲン界と
比較したところで何の意味も無いが...。
「お魚だよー」
"ヒト"の声だ。
ネコ界と同様ニンゲン界にも様々な
ニンゲンがそれはもう沢山いるのだろうが、
ここにいるニンゲン達は
"ヒト"
と呼ぶようにしている。
細かい事はよく分からないが、
そちらの方が何故かしっくりくるのだ。
「何匹にしようかなあ」
そして恐らくこれはネコ語で
ニボシをあげると言っている。
ネコ界の通貨である"ニボシ"を
無償で提供してやるというのだから驚きだ。
きっと俺の事を雇っているつもりなのだ。
暇な時、鼠取りや害虫駆除くらいなら
この家を守ってやってもいいのかもしれない。
ちなみに俺、というよりネコ界は皆
このニボシを稼ぐ為に日々仕事をこなしている。
ニンゲン界も、きっと似たようなものだろう。