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クローバー🍀 #8 ー夕日と姉妹ー
空乃 夏月 中2 🚺
・空乃家の三女 (初瑠(そる))
・歌と絵が上手い
・クラスの和み系ポジ
空乃 星楽 高1 🚺
・空乃家の長女 (活動名 ステラ)
・運動が得意
・クラスのリーダーポジ
空乃 陽菜 中3 🚺
・空乃家の次女(活動名 陽玉 )
・スカイクローバーの音楽担当
・絶対音感
・クラスの人気者ポジ
海図 曇 高1 🚹
・活動名 くもたろー!
・星楽の元カレ
雨宮 玲奈 中2 🚺
・雨宮家の長女 (活動名 レイン)
・夏月の施設時代からの親友
・足に障害があり、車椅子を使っている
・ゲーム実況グループ(パーヅ)のリーダー
・気が強いけど仲間思い
「才能もないくせにこんなものつくるな。」
「お姉さん、またバスケ大会で優勝とったんだってねぇ〜」
「言い返せないなんてかわいそ〜ww」
違う違う違う。
やめて比べないで。
あんな…あんな…やつが…
『やっぱりお姉さんの方が有能だね。』
心の奥底から、プツリと音が切れた。_____________
こんなはずじゃなかったのに。
あ〜あwwwあははwww
奪えばいいんだ。あいつから。
私ったら天才wwこんな事思いつくなんてww!
無駄にしたのは、全部あいつのせいなんだから。
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はぁ…最近寝不足だ。誰にも虐められてるなんて言えない。
一人でいるのがこんなに怖いなんて。
でも、迷惑をかけたくない。
だから、自分の中で片付ければいいんだ。
いつか…終わるよね…?
リビングに降りて、コーヒーを淹れていた時、
隣で笑い声が聞こえた。
陽菜か………そういえば最近話をしていない。
陽菜に限らず、クラスメイトや友達とも
コミュニケーションをとっていない。
みんな最初の頃は心配してくれていたけど、
だんだん近づいて来なくなった。
それどころか、遠くで私のことをチラリと見てコソコソと話していた。
私がそっちの方向を見たら、逃げるようにして目を逸らした。
もしかして……嫌われてる?
そりゃそうだよな。何も話さないなんてカカシと同じ。
カカシなんかに喋りかけても、意味ないよねw
はぁ…味方なんて最初からいないんだ。
全部全部、嘘だったんだ。
全部、消えてしまった。
もう……やめて………
何回殴られてもいい。何回罵詈雑言を吐かれてもいい。
一人でいいから。一言でもいいから。綺麗事でもいいから。
私に。味方をください。
そんなことを願っていたら、視界がぼやけてきた。
なんだ。涙か。
涙がポツリポツリとコーヒーに入っていった。
ああ…コーヒー『も』台無し…
その時、肩をトントンと叩かれた。
「どうしたの〜?…って!お姉ちゃん泣いてるじゃん!
ティッシュティッシュ!あ…ティッシュ無いわ(涙)」
陽菜…
「なんで…気遣ってくれるの?」
「そりゃ『姉妹』だからでしょ!助け合って当然じゃん!
ほら、余ってたポケットティッシュ。」
私は陽菜からポケットティッシュを貰った。
正直。嬉しかった。気にかけてくれた事。
「陽菜は…私のこと嫌いじゃ無いよね…?」
「うん!大好きだよ〜^^」
「よかった……」
「てか、みんなお姉ちゃん好きでしょ!」
陽菜の元気な声が家に響いた。
ありがとう。陽菜。
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「ティッシュ買い出しっと。」
私_空乃陽菜_はスマホのディスプレイに
買い物メモを書いていた。
私のメモの中が見たいって?
いやだよww???
____だってお姉ちゃんを陥れる計画を書いてるんだもの。
なんで?って聞かれてもさぁw
仕方ないよ。こうするしか方法はなかったわけだし。
いじめっ子も曇くんが欲しいって言ってたから私が取り込んだだけ。
目的?
さっき言ったじゃん。
私の未来を奪った。お姉ちゃんへの仕返しだよ。
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今日も放課後に体育館裏に呼び出された。
体育館裏は、告白の名所だが、私にとってはトラウマの場所。
「あww来たぁwww」
挨拶がわりに1発殴られた。
「っつ…」
_妹さんに危害を加えることだってできるんだよ?_
その言葉が脳裏によぎった。
陽菜の……ため…
その瞬間、
その陽菜が現れたのだ。
え?どういう事?
しかも目は乾っからで、不敵な笑みを浮かべていた。
傷だってうけてない。
空白の時間が50秒ほど。
私はこの50秒で全て分かった。
今朝、私は騙された。
いや、一ヶ月も前からずっと。
憎しみは湧かなかった。
絶望感だけだった。
50秒たって。陽菜がやっと口を開いた。
「お姉ちゃん。ごめんね。でも全部全部お姉ちゃんが悪いの。」
へ?私が何を……
「私ね、ずぅううううっとお姉ちゃんと比較されてたの。」
「ずっと。ずっとずっとずっとずっと。」
「お前に才能はない、姉の方が強い。
そしてどんどんどんどん嫌われていくの。」
「だからね!私お姉ちゃんに成り代わる!
だから…お姉ちゃんは用済み!」
意味が分からない。陽菜が比較されていた!?
それより…用済みってどういう事…?
「私の何が悪かったの?」
「は?」
「陽菜にとって。私って厄介者だったの?」
「えっと…その…」
「じゃあ…!なんで奪った?なんで?」
「だ…だからっ!」
「貴方は、私の人生をぶっ壊したんだよ?」
「ッツ……もういい。」
陽菜のスカートから、チラリと刃物が見えた。
…そういうことか。
「お前なんか……してやる!!」
陽菜が私に近づいてきた。
「じゃあね。」
そう言いかけた時。私は誰かに担がれた。
「おい!星楽!」
「く…っ曇君?」
なんで曇君が?
「それはそうと……お前ら録音したからな!証拠も撮ってあるぞ!観念しろ!」
なんで…曇君…
「星楽のクラスの人から、体育館裏に通ってることを聞いて。
怪しいなと思った。突然別れたのも変だったし。」
「あ…ありが…と…」
また涙が出てきた。じわじわと心が温まってきた気がした。
「星楽。こいつらは警察に…」
「ううん。いいの。」
「は?こいつらは星楽を…」
確かにそうかもしれない。だけど……ちゃんと話を聞きたい。
黙っていた陽菜が叫んだ
「うるさい。うるさいうるさいうるさい!」
「同情なんてしなくていい!私は…自分から逃げていただけ!」
……
「そんなことないよ。今朝の陽菜ちゃんは立派だったよ。
例え偽物だったとしても。『姉妹』って言ってくれて
嬉しかった。」
「うるさいっってば!綺麗事言わないでよ!」
その時、私は陽菜を抱きしめた。
「ごめん。姉みたいなこと…できなくて。」
陽菜はそのあと喋らなかった。叫ばなかった。
だけど、私のワンピースに陽菜の涙が一粒こぼれたような気がした。
夕日のある空は、その水滴を照らしていた。______
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そうだったんだ…
私、夏月は黙ったままじっくり話を聞いていた。
隣には友達の玲奈も。
重々しい空気の中、陽菜ちゃんは口を開いた。
「姉を殺そうとしたなんて。馬鹿らしい妹だよね。
お姉ちゃんはその後この事には触れなかったけど。」
「きっと嫌われているんだ。本当は許してなんかいない。」
陽菜ちゃん……言葉が出なかった。自分まで辛くなった。
「じゃあ次は夏月ちゃんの番だよ!」
と玲奈ちゃんが話しかけた。
そうだよね。みんなが話したんだから私も……
でも…嫌だ。嫌われたくない。せっかく築いたのに。
せっかく会えたのに…また…
その時、寝ていた星楽ちゃんから「え…?」と声がした。
星楽ちゃんの目線の先は___曇さんのメモだった。
ひなちゃんが読み上げた。
「なになに…オーストラリアに留学!?」
「っへ__?」
キリ悪い常習犯。