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12 - 爆発
「———突入だ!」
誰かの大声とともに、遠くでガタガタと音が鳴る。
私は背後に控えている仲間二人を振り返った。
警察が突入してきたのだ。皆、そう察したようであった。
私の視線を受けて、一人が部屋の奥に入る。
何をするつもりなのか、言われずとも分かった。
「……これまでか。」
それを見送りながら、残った一人がつぶやく。
そう経たず、奥に行っていた仲間が帰ってきた。
———手のひらより少し大きい、箱を持って。
それを見た私たちは、お互いに視線を交わして微笑みあった。
———何も、間違ったことはしていない。今までも。今も。これからも。
ガタガタドカン!と音がして、武装した男たちが部屋に入ってきた。
「手を上げろ!」
警察だ。
でも、手は上げてやらない。
———止められないくせに。
後ろで、箱を持った仲間が にやりと顔を|歪《ゆが》めたのが分かった。振り返らずとも。
———プチン、と何かが引き抜かれる音がする。小さいのに、それはよく聞こえた。
ついで、ドオ…ン!と間近で|轟《とどろ》く。
白い光が放たれる。
誰かの叫び声が聞こえる、そしてそれは|掻《か》き消える。
鼓動と共に時間が過ぎる。そしてそれらはすぐに止まる。
周りが光の|奔流《ほんりゅう》に呑まれて、跡形もなく消える。
部屋も、建物も、警察も、仲間も、私も———。
後には———誰かの、作り物じみた笑みだけが残されていた。