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2.クランは、首都に到着する
七日目。
少し活気がまして、都に近づいているのが分かる。
わたくしは、他の方も着ているような服を着ている。護衛がいるから、一般人と思われることはないでしょうけど……
この日も、宿をとった。
八日目。
雨だった。土もぬめってしまい、思うように進まなかった。昨日までは、予定よりも進んでいたのだけど、ここで一旦戻ってしまった。
そして、九日目。
昨日の雨が嘘のように晴れ、それは最終日だという今日を祝っているかのように感じられる天気だったわ。
「ねえサリア」
「なんでしょうか? お嬢様」
「サリアが調べてきた資料を見せてちょうだい?」
「いいですよ」
これは、わたくしがどこかに行くときにそこが安全で、危険はないか、最近物騒なことが起こっていないか、などを調べててくれているものなの。
そして、今回は、この国……サスティーナ国についてまとめられていたわ。
そして、その資料をみているうちに都に到着した。
「案内人とか雇えないのかしら?」
「いいですよ。ただ…少し待ってもらうことになるかと」
「いいわよ。それくらい」
それよりも、今のうちにこの都を把握しておく方が重要だわ。
あと一週間ちょっとで、新年になるという時期。
皆さん、慌ただしく過ごしているように思える。……今までのは見たことがないのだけれどね。
「あ、この店はとても美味しいですよ。値段もリーズナブルですし、何より目新しい料理を毎回生み出している店です。一時間待ちなどは当たり前ですね」
「そしてこの建物は、ギャザー商会の主な拠点ですね。この商会は、あまりいい噂は聞かないので、注意しておいてください」
などと、とっても役に立ちそうな情報を教えてくれた。
雇う価値はあったと思うわ。満足よ。
そして、わたくしが満足げであるからか、サリアも満足げのように見えた。
「そして、この道を越えたら、ファブロー学園になります」
「案内ありがとう。いろいろ知れてよかったわ」
「は、こちらこそお雇い頂き誠にありがとうございました!」
なにか……この方に、兵隊らしさを感じてしまったわ。
「クラン・ヒマリアです。今日から寮で生活する予定なのですが……」
「クラン・ヒマリア様ですね。聞いております。メイドと執事を一人ずつ連れていいているそうで……部屋はメイドさんとご一緒で構いませんか?」
「ええ」
「そして、執事の方ですが…同じ執事同士の相部屋でもよろしいでしょうか?」
「構いません」
「でしたら、この鍵に書いてある番号の部屋までどうぞ」
「ありがとう」
さっそく部屋に向かうことにした。
「綺麗ね」
「そりゃそうでしょう。ここは国で一番の学園ですよ? その生徒には国も満足して暮らしてほしいのですから、十分な衣食住は確保されているでしょう」
「そうね……」
正直、そこまで考えていなかったわ。
「だったら、食堂も期待できるのかしら?」
「できると思いますよ。お嬢様、分かっていると思いますが、パス券を買ってくださいね?」
「分かっているわ」
「それなら良かったです」
まったく、サリアはわたくしのことを何だと思っているのかしら?
これはひどい話じゃないの?
その後は、荷物の整理をして、夕食を食べに今日は食堂に向かった。
「ねえサリア」
「なんでしょうか?」
「わたくし、思ったのだけど、このパス券、一年間なのよね?」
「そうですよ」
「わたくし、これからしばらく都のものを食べたいのよ。だったら今買ったらマイナスではない?」
「そうですか。では私とカナンの分だけを買いますね」
「いえ、あなた達にももちろんついてきてもらうわよ。だから、今日は普通に買うほうがいいと思うわ」
「……分かりました。そのようにしましょう」
「まあ! 見て! 海産物があるわ!」
「本当ですね。サスティーナ国は海に面しているから当然と言えば当然ですが」
「だけど素晴らしいと思うわ!」
そして、この日は海産物を生で食べたりした。とても美味しかったわ。
ジャネル皇国以来の海産物ね。けれどいろいろ種類が違うわ。やっぱり方向が真逆だし、そういうものもあるのかしら?
「あなた達は、誰?」
喋りながら食べていると、誰かが声をかけてくれた。
「わたくしはクラン・ヒマリア。フィメイア王国からの留学生よ。後の二人はメイドと執事よ。何かあったかしら?」
「いえ、初めて見る顔だったから声をかけただけよ」
「あら、そうなの。それだったら問題ないわ」
「あ、私は六年生で寮長のネイラよ。自己紹介が遅れてごめんなさいね」
「いえいえ、気にしないわ」
「そうしてくれると助かるわ。この時期からというと、新年からの留学生?」
「そうよ」
「何年生?」
「一年生よ」
「だったらちょうど弟がいるわ。ケビンっていうの。優秀だし、機会があったら話しかけてみてね」
すごい家なのかしら?
この学園の入学ってかなり難しいものでは無かったかしら? それに兄弟で受かるなんて……しかも寮長さんを努めているということはネイラさんも優秀だということよね? すごい家ね。
そして、クランの穏やかな日々は……多分始まる。
新年になり、学園に通い始めるまで、あと二週間半。