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5 奴隷ちゃん
みやめお #meo
「あなた、犯罪奴隷になりたいの?」
私が彼女を見下ろしながら言うと、彼女は苦しそうな顔をしながら言った。
「私は……いざと……なったら……暴力を……しろと教育……された」
「あなたの両親はどこにいるの? ちゃんとした教育をしなくちゃ」
私が暗い笑みで首をぱきっと鳴らすとネオは少しおびえた目と、震えた声をしていった。
「それ……でも私は……お父さんとお母さんが好き……犯罪者……だけど」
私が拘束魔法をとくと、彼女は諦めた顔をしてゆっくりと立ち上がった。
牢の中では暗くてわかりにくかったけれど、結構な美形ね。
「それっぽいわ」
私が皮肉を込めて言うと彼女は殺意のこもった目でぎっと私を睨んだ。
リリは私が勝つことを知っていてもなお、こちらのほうを心配そうに見つめている。
彼女は彼女で新しく引き取る奴隷を決めたようだ。
まあ、こっちの家に来たら大体の奴隷の奴隷認証の首輪を取ってあげるんだけどね。
でも、ネオの奴隷認証の首輪を取ったら暴れそうだし、何より彼女の身体に傷をつけてしまうかもしれない。
万が一ネオが私の家から出て行ってほかの奴隷商人などに買われたりしたときには最悪だわ。
「あなたはどこでその高い身体能力を身に着けたの?」
私は店主の方にお金を渡し、ネオに奴隷認証の首輪をつけながら聞いた。
「お母さんもお父さんも何百回も犯罪を犯し、人を殺した人だ。その子供の身体能力が高くても違和感はないでしょ」
「それにしてもすごすぎるわ」
「……小さいころ二人に教えてもらった。私が好きだったのはバク転」
あら、身体能力が高いわりにバク転が好きとかかわいいこと言っちゃうのね。
「本当に私を買うの」
「ええ。…__任務に使えそうだし__」
私は誰にも聞こえないような声でつぶやいた。
私たちが家に戻り、私の部屋に行くまでの間に、私は父上の姿を見てしまった。
その瞬間この家に私の居場所はないことをふと思い出してしまった。
私もシェイと婚約破棄されるぐらいだったら聖女になんてなりたくないわよ。