公開中
雪炎異変ノ章 前編
「ったく、どうしたんだよ」
あたしの友達である由有が、珍しく風邪になった。
由有の家に行ってみると、布団がしいてあった。
「知らないわ、そんなの。強いて言えば、雪が降り始めたから、とかかしらねえ?」
「まあ、確かになぁ…3月に降ってるとか、ありえないもんな。サニーと狐雨にも当たってみたんだけど、違うってさ。花音呼んどいた」
「はあー!?何勝手なことしてくれてんの!?寝てば治るものに、なんで金をつぎ込むの!?」
「はあ!?人が心配してんのに、素直に受け入れられないのかよ!?」
「もういい!好きにしなさいよ!異変を解決しても、そのままにしても、いいわよ!ただ、ひとつだけ言うわ。金は出さない!!」
「ああ、いいよ。世の中金が全てじゃないってこと、教えてやんよ!!」
バタンッ、と、シャッターがしまった。そして、鼻水をすすりながら、由有は『本日休業中』という張り紙をはった。
---
「って言ってもなあ…あいつがどうやって情報収集してんだか」
ちょっと地上に降り立ってみる。
「あ、紅」
「おっ、李子じゃんか。久しぶりだな。この異変について、何か知らないか?」
「うーん…個人的に、他の世界が関係してるんだと思う。この世界の者の感じがしないな。地霊殿のとこが関係している…のかなぁ?」
「ジレイデン?なんだそりゃ」
「幻想郷にあるところ。紅魔館にも行ったでしょ。あそこがある世界にある建物。地下だからわかりにくいけど…」
「また、あそこへ行かなきゃいけないのか」
めんどくさいなあ…
信だって、そろそろ鬱陶しいと思うところだろう。
「あそこへ簡単に行ける方法はないのか?」
「うーん…強いて言えば、わたしの友人…知り合いかな。にいるよ」
「え!?誰だ」
「ふぅん、知りたいの」
頷くに決まっている。
「じゃあ、わたしも行かせてね。一回、行ってみたかったから」
「いいよ、人手はいるほうがいい」
「瞬間移動ができる程度の能力を持つ、地名伊代。彼女は世界の境界を無視して移動できるの」
「じゃあ、早速行こう!」
「わかった、呼んでくるね」