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9話
今日は城の一室にある広めの客間で、少しのんびりした時間を過ごしていた。窓から差し込む陽光が、床に柔らかな模様を描く。
私は二人にお茶を勧め、落ち着いた声で話しかける。
「お茶、どうぞ。温かいうちに飲んでね。」
二人はまだ少しぎこちない様子で、しかし確かに座る。
末日がそっと湯気の立つ湯のみを手に取り、見つめる。「……あ、ありがとう……」と、声は小さいけれど、その瞳にはわずかな安心の色があった。
加楓も同じく湯のみを持つが、少し勇気を出して口を開く。「僕……彩音さんと一緒にいると、少し落ち着くかも……」
私は微笑みながら頷いた。
「無理に話さなくてもいいのよ。あなたたちはまだ、ここに慣れたばかりだから。」
二人は静かに頷き、少しずつ体の力を抜く。末日は肩の力を抜き、加楓は少し身を乗り出して、私の手元を覗き込む。
その小さな距離感が、初めての信頼のようで、私は胸が温かくなるのを感じた。
「……彩音さん……もっと一緒にいていい……?」末日の声が、少し震えていた。
私は手を差し伸べ、そっとその小さな手を包む。「もちろんよ。無理せず、ゆっくりね。」
加楓もまた小さく息を吐き、肩の力を抜く。「僕も……だって、ここなら怖くないから……」
その言葉に、私は深く頷き、二人の小さな背中に視線を落とした。
まだまだ知らないことはたくさんあるだろう。
でも、今こうして、二人が少しだけ心を開いてくれた。
その小さな信頼の積み重ねが、やがて彼らを守る力になるのだと、私は静かに思った。
時間がゆっくりと流れる中、二人は少しずつ私のそばに近づき、温かさを感じながら座る。
初めての安心。初めての甘え。
小さな声と小さな手のぬくもりが、この部屋を柔らかく包んでいた。