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嘘はこの町の掟違反#6
カタッ」
一瞬揺れた気がするが気のせいだろうか。みかは図書館でつきの帰りを一人待っていた。宿題も済ませて、暇になったところだ。
時計をみるとあと20分で5時になるところだ。つきは職員室に行ってからもう一時間立っている。そろそろ帰ってきてもいいはずだ。いやそれとも、ただ単に長いだけなのか...考えていると先程まで人で溢れかえっていて、騒がしかったはずの廊下が急に静まり返った。何かあったのだろうか。気になって図書室の扉を開けた。
「ガララ...」
あたりを見回すと影のようなものがこちらを見ている。いや人間なのか?そう考えているうちにぞろぞろと影が集まってきた。
(まずいことになった、はやくなんとかしないと...)
みかはつきのいる職員室へと走り出した。
「...き、つき..つき!」
誰かに呼ばれている気がする。でも今はまだ寝ていたい...眠い...
「つき起きろ!」
耳元で大声を出されたのでつきはびっくりして飛び起きた。そこは長の部屋で影はもういなかった。なんだ、みかか...びっくりさせないでくれよ。みかの右手をみると軽いやけどをしていた。
「その右手大丈夫?」
そう言うとみかは慌てて右手を制服の袖で隠した。その様子はひどく慌てているようだった。珍しいな...
「あいや、これは、家でやけどしたんですっ。」
そうだったのなら良かった。でもさっき話したときはなかったような気がする。これ以上詮索するのも良くないと思い、この話はやめた。
「みかは影みたいなものに襲われなかったの?」
「いや大丈夫だったよ!長が全部たおしてくれたから」
長...助けてくれたのか。ていうかあの影の正体は何だったんだろう
「後でお礼にいこうかな、助けてもらったし」
「そんな大丈夫だよ!」
ミカが慌ててどこか嬉しそうに言った。みかって長と友達だったのか
「はあぁ〜。」
と私がベッドでため息をつく。ここの所いろんなことが多すぎて頭がパンクしそうだ。長のことといい、影のことといい、入学してから問題が多すぎる。学園、いやこの町はなんなのだろうか。私がカミツキってどういうことだろう。あの双子は大丈夫なのだろうか...あの時私が力を持っていたらなんとかなったのだろうか。
「カララッ」
部屋の窓を開けた。昔からこうやって何かあったときは部屋から夜空を眺めるのが好きだ。今日はちょうど流れ星が見えた。
流れ星こっちに飛んでこないかな〜そう思った瞬間
「ピカッ」
辺り一面がその輝きに包まれた。眩しい光の中に誰かがいる。誰かがこちらを見ている...?もう少しでわかりそうなのに...見とれていた私は不思議なことに暫くの間その光が消えたことに気づかなかった。
きっと見間違いだよね。そう思い私は深い眠りに落ちていった。
「おはよー」「きょうも〇〇君朝早いね〜」「ねむいよ〜」
学園の校門はそんな声で賑わっていた。よかったみんな大丈夫だったんだね
「ドンッ」
見るのに夢中になっていた私は誰かとぶつかってしまった。
「すみませんよそ見していました」
私が必死で謝ると相手が首をブンブンと振った。
「あなたってもしかして集会で倒れた子?檻の中でもちゃんと見えてたよ〜」
この声聞き覚えがある!もしかして...その瞬間いろんな感情が込み上げてきた
「ネズミからもどって良かった...(泣)」
そこにいるのはあの双子の姉の方だった。泣いていた私をそっと抱きしめてくれて一輪の花を渡してくれた。”スノードロップ”という花らしい。
「あなたの名前は?私はつきといいます。」
そう私が言うと双子の姉はニッコリと笑い私の手を掴んだ。
「わあ!カミツキの子ね〜!私は二年の”ひづ”よ〜よろしくね〜」