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雨と憧れの人。
ザー・・・
雨が降っている。しかし、そこに濡れた少女が立ち尽くしていた。少女は、今にも泣きそうだ。
「どうしよう・・・」
~二時間前~
ここはとある家。その家には、今四人の人間がいる。二人は、おじいさんとおばあさん。あとの二人は、顔がそっくりな、小学四年生くらいの女の子。
「おじさん。」髪が長い方の子が尋ねる。
「どうしたんだい?」おじさんと呼ばれた人が返す。
「お兄ちゃんは、どこにいるの?」
「・・・東京だよ。」
「住所、書いて。」その少女は、紙とペンを差し出した。おじいさんは少しためらった様子だったが、一応書いてくれた。
「・・・ありがとう。」受け取ると、少女はリュックサックに入れた。
「?どこかいくのかい?」おじいさんが問うと、リュックサックを背負いながら、
「お兄ちゃんのとこ!」といって走り出した。
「え!?ちょっと!!」おじいさんも追いかけるが、少女は見えなくなってしまった。
「・・・ここ、山梨・・・。」おじいさんが呆れたようにつぶやく。
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その少女は、電車を乗り継ぎながら東京へ向かっていた。
(電車の乗り方とか、どれに乗るかはお兄ちゃんに教えてもらったから・・・!)小さい体で、頑張って走る。そして。
「着い、た」少女は東京につけたのだ。
(よし!あとはここのバスに乗って、このバス停で降りれば!)少女はメモを見ながら復習する。バスに乗って、目当てのバス停まで少し待つ。
ところが・・・
(あれ?しまった!寝ちゃった!!ここどこ・・・?)少女は寝過ごしてしまったのだ。とにかく、一番近いバス停で降りる。外はすでに暗くなって、雨も降り始めていた。
(傘、持ってくるの忘れちゃった・・・)お金や水筒などはリュックに入れたのに、と少女は少し後悔する。近くに公園があったので、少女はそこへ向かうことにした。
その公園には遊具も少なかった。少女は、木の下で雨を防ごうとするが、雨は体を濡らす。知らない場所で、誰もいない。心細いのか、少女は泣き出しそうだ。
「どうしよう・・・」(お兄ちゃん。)ここまで頑張って会いに来た兄の姿を思い浮かべる。
その少女は誰もいないと思ったが、実はその公園には、一人人がいた。
(・・・。)泣きそうな少女を少し見つめると、その人はどこかへ行ってしまった。
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少女がしばらくたっていると、一人の男の人が寄ってきた。
「キミ、名前は?」
「・・・百合花。」少女、、、百合花は不安げな瞳で答えた。
「へえ~かわいいね。迷子?」その人はどんどん質問する。こくり、と百合花が頷く。
「そっか~。お家わかる?」その質問にも、頷いた。
「じゃあ、お兄さんが車で送ってあげよう!」ニコニコして男の人が言うと、百合花は迷った。
(うーん・・・)送ってもらってもいいけど、勘であまりよくなさそうな気がしたからだ。しかし、「!」男の人に手をつかまれてしまった。
「や、めて・・・」振り払おうとしたが、すごい力で放してくれない。すると、
「何をしている?」急に話しかけられた。帽子を深くかぶっているが、女の人のようだ。
「・・・家に帰るんですよ。」その男の人は答える。
「その子は嫌がってるんじゃないのか?」
「もっと遊びたいって・・・」(違うよ・・・)百合花は首をぶんぶん横にふる。すると、それに気づいた女の人が今度は百合花に聞く。
「この人は、あなたのお父さん?」百合花は首をまた横に振る。すると、女の人は男の人に目線を戻し、
「では・・・おまえは誰だ?」と厳しい口調で問いかける。
「クッ・・・」男の人は悔しそうに顔をゆがめると、百合花の手を放し、
「この野郎!!」と女の人に殴り掛かった。(危ない!)と百合花は思ったが、次の瞬間、男の人は倒れていた。
「・・・?」百合花は見えなかったが、殴り掛かる瞬間女の人は拳を受け流し、逆に一発入れたのだ。
「お姉さん・・・何使ったの?」百合花はマジックでも使ったのかと思ったが、その人は百合花にある武術の名前を囁いた。百合花がそれをメモし終わるのをみると、
「・・・気づいてないとでも思ったか?」といった。百合花が、不思議に思っていると、傍の木から男の子が出てきた。
「中々帰ってこないと思ったら、公園で独りぼっちの女の子を見つけたから、助けてあげてって・・・結構無茶な相談だったわよ。」少し怒り気味でその人はいう。どうやら、さっき百合花を見ていたのはこの少年だったようだ。
「いいじゃないか。現に、その子は誘拐されそうになっていたんだし。」女の人と同じく帽子をかぶった少年も言う。少年はまだ何か言いたそうだったが、女の人が怒ってるように見えたのか、百合花の方を向いて、
「君の名前は?」と聞いた。
「百合花・・・」百合花は素直に答える。
「名字は?」この質問には、百合花は小さな声で答えるが、二人は聞こえたようだ。
「俺は・・・」少年はそこで言葉を切り、女の人の方を見る。女の人がかすかに頷いたのを確認すると、
「俺は、赤井秀一。この人は、母のメアリー。」と名乗った。
(あかい、しゅういち・・・かっこいい!)百合花は目をキラキラさせて思った。
「百合花、家は?」秀一が聞く。
「えっと・・・山梨県だけど・・・東京のお兄ちゃんに会いに来たの。」
((山梨!?))まだ小学四年生くらいの子供が一人で山梨から東京まで来れたことに、二人は揃って驚いた。
「東京のお兄ちゃんの家、分かるのか?」
「うん。」
「この近く?」
「ううん。バスで寝ちゃったから・・・」そう答えると、百合花は雨で少し湿ったメモを見せる。メアリーはどこか分かったようだ。
「今送ってもいいが・・・百合花ははずぶ濡れだし、夜も暗いからうちにくるか?」秀一の提案に、メアリーはまずい事情があるのか、顔をしかめて、百合花には聞こえない程度の距離離れて、秀一と何か話していた。しばらくすると戻ってきて、
「今日は家にとまっていってもらえる?」とメアリーも提案した。百合花はうんうんと首を縦に大きく振る。「じゃあ・・・決まりね。」
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家に入ってみると、男の子が出迎えてくれた。
「お帰り、、、って誰?その子。」
「この子は百合花。迷子で、今晩だけうちに泊まってもらうことにしたわ。」
「ふーん・・・。僕は赤井秀吉!よろしくね、百合花!」
「・・・うん!よろしくね!」
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~次の日~
「ありがとうございました!」服を乾かしてくれたり色々してくれた赤井家の人にお礼を言って、百合花は走り出した。
「・・・どういたしまして。」メアリーは手を振って送り出した。百合花の姿はすぐ見えなくった。
「・・・もうこういうことはなしにしなさい。」
「・・・・・・。」
「ちょっと秀一?」
「・・・ああ。わかった。」
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「あ!お兄ちゃん!!」百合花はニコニコしていう。
「百合花!!大丈夫だったか?」
「うん。メールでも言ったけど、、、いや書いたけど親切な人が泊めてくれたんだ。」
「でもそれを送ってきたの朝じゃないか!心配したんだぞ。」
「・・・。」(だって充電切れてたの知らなかったんだもん。)充電器もメアリーさんたちが貸してくれて充電できたし。
「まあ、よかった。ほら早く家に入って?」
「うん!」
書いてるときに思ったこと:小学四年生で山梨から東京まで行けるんかな?
メアリーが使っていたのは何だったんでしょう?(みんな見当ついてそうだけど。)
それから、百合花ちゃんのあこがれの人は赤井さんだったんですね~。
・・・・・・で、百合花って誰?
ってなりましたよね?なりましたよね!!(圧)
ラズベリーの物語を見ていればわかります。
今回分かった百合花ちゃんの情報は、・山梨に家がある。・兄がいる。ぐらいですかね~。
(そういえば、山梨にいた百合花ちゃんとそっくりだった子は、誰だったんだろう?)
読んでくださりありがとうございました!