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繁華害-1
手に持っている時計は午後7:54と示されている。
今日はいつもより暑い気がする。
そう思いスマホを取り出し気温を見る。
「あれ?」
|大河《タイガ》は疑問に思った。
なぜなら、昨日と一昨日も今日と同じ35度だったからだ。
(いつも外出てないか、少し感覚狂ってるのか)
そんな自分に思わずため息がもれる。
早く家につかないだろうか、クーラーがついて、ご飯があり、猫という癒しがあるあの家へ。
だが、大河は忘れていたこの世の辛さを。
ご飯は作られておらず、壊れているクーラー、外出している猫。
そして、同居人である重要指名手配人|李《リ》 |飛龍《フェイロン》の存在に。
「よお!タイガ帰ってきたのか、|我《Wǒ 》の大好物の|ぃチごアめ《イチゴアメ》は買ってきたか?」
大河はとてつもなくがっかりした。
「ああ!もう!」
「なんだよ、買ってきてないのか?」
行き場の失くした怒りは自分自身へ行き、なぜか急に泣きたくなるのは大河だけではないはずだ。
そうだ、これが現実だ。
繁華街が広がるこの街には、観光客は知らない現実があるのだ。
「はあ、やっぱりこんなところに引っ越すんじゃなかった…」