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No.2異世界
「そろそろやることもないなぁ...」
異世界に来て三年目の|西城《サイジョウ》 |暗里《アンリ》はそう思った。
異世界に来て1.2年はモンスターや魔王を討伐し続けていたので全てを討伐した暗里はやることが無いのだ。
「ご主人様!ご主人様にはまだまだ仕事ありますよ~?...なんていじりたいけど本当に暇ですもね」
魔王討伐前はこうやってよくアットにいじられていたが今では本当にやることがないのでずいぶん大人しくなった。
「久しぶりに鍛練徐にでも行くか」
『よっこらしょ』っとおじいさんのような声を出して椅子から立ち上がる。
「|いらっしゃませ!ゆうしゃしゃま!《いらっしゃませ!勇者様!》」
「おー!お前ニットか!?ずいぶんとでかくなったな」
昔モンスターに教われていた少年ニットを見かけて思わず声をかける。
「|ゆうしゃしゃま!おひさしぷりべす!ゆうしゃしゃまのおかげでぼくはげんきです!《勇者様!お久しぶりです!勇者様のおかげで僕は元気です!》」
「そうか!そうか、よかったなぁ~!」
「ご主人様、めちゃくちゃ少年愛好派の人攫いみたいな顔してますよ」
「まっ、まじ?」
急いで顔を叩いて表情を変えようとする。
するとアットの手が暗里の手と重なる。
「ご主人様の顔に傷がついたら私達のせいにされるのでお止めください!」
(いや、別に俺の顔だからいいじゃん)
しばらくの沈黙の戦いの末負けたのは暗里の方だった。
「...わあーったよ、とりあえず誰か相手してくれるやついないか?」
「勇者様!ぜひお相手願いたいです!」
「勇者様、今回こそ僕が勝ちます!」
「勇者様...!」
老若男女(主に若い男)の声が修練所に響く。
▲▽▲▽
(勇者っていいよなぁ、魔王倒しただけでこの世の全員下部にしたようなものだし)
ニット・アンネスの能力は検討師__自分の未来の行動を予知して100%いい方向へ導く能力だ。
先ほどの赤ん坊のような喋り方も人間は馬鹿のふりをしていた方が立ち回りやすいと出ていたのでやっているだけで実際は普通に喋れる。
(もしこれで僕が勝ったらこの世の人間のほとんどが僕の下部に...いいな)
自分の未来を予知する。
《この勝負に挑むと100%勇者はニットを選び、油断してかかる。そして、ニットが勝つが客の72%はまぐれだと思いますがこれを続けるとニット様は100%の確率で人間のほとんどが下部になります》
(なるほど...)
「|ゆうしゃしゃま!ぼくもゆうしゃしゃまとしょーぶしたい!《勇者様!僕も勇者様と勝負したい!》」
周りの視線が一斉にこっちへ向き...笑いへと変わった。
「ニットの坊主が勇者様へ勝負か!そりゃあ面白いなぁ!」
昼から酒を飲んでる兵隊が突っかかる?
「よしニット!やってみるか?」
「うん!やる!」
そして戦いが始まる__
「勝負あり!勇者様の勝ち!ニットの負けであります!」
(...は?)
おかしい、ニットの能力が間違えるわけがない。
そうして戸惑っていると勇者様が手を降って『こっちへおいで』と招く。
そう言われたらニットら行くしかない立場なのでしょうがなくそっちへと行く。
「ニット、お前の能力は検討師なのは知ってるぞ」
「!?」
(こいつ、なんで知っているんだ...?」
「勇者の座は俺のもんなんで」
笑いながら勇者様は話す。