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トランプタワー
構想はこちらから
https://odaibako.net/gacha/36?id=f463d7fbd0b44385aa1f82bbdeb48cc1
「二次創作お題メーカー」オススメ
ちみこい鬼太郎と水木が遊んでる。今回は腐ってない
ぱらぱらとこぼれ落ちるトランプが、日の光を長方形に切り取った。
初夏の昼下がり。ちゃぶ台に散らばるトランプたち。
「あー、また失敗した」
僕の隣で水木さんが笑った。僕は眉をつりあげて水木さんを見る。
「笑わないでください。僕は真剣です」
「はは、悪い悪い。トランプタワーって案外難しいもんだな」
悪い悪いなんて言っているけど、本気で思っていないことは見え透いている。青い垂れ目が慈愛にとろけていて、その目を見ると僕は何も言えなくなってしまう。ましてこんな風に、大きな暖かい手に頭を撫でられでもしたら。心臓の近くがきゅっとして、嬉しくて幸せで、同じくらい切なくなる。
だって僕は妖怪で、水木さんは人間で。そこには寿命という決して越えられない隔りがある。水木さんと過ごす時間を幸せだと思えば思うほど、別れが引き裂かれるように悲しくなることは目に見えている。人間は脆い。簡単に死ぬ。今水木さんが僕の前で当たり前の顔をして生きているのが奇跡に思えるくらい、人間はあっけなく死んでしまう。
それがとても危うい均衡で、愛しいぶんだけ怖くなる。蜘蛛の細い糸の上で暮らしているみたいに感じる。
僕が見下ろすトランプの細かい模様たちが、僕をじっと見つめ返している。初夏の昼下がり。蝉の声が今更聞こえ出した。
「もう一回作ろうぜ」
水木さんがそう言ってトランプを組み立て始めた。僕は今考えていた気持ちを全部忘れることに決めて、水木さんが作った1段目にトランプを乗せた。