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誘
あの子供は、最近ちょっと話題になっていた。
SNSにその体験が綴られ、探しに行くような人もいた。
流行りが過ぎた頃、誘われた気がしてまた来ていた。
正直、会いたいと思って会えるような存在ではないと思う。
それに迷惑かもしれないから、迷わないように気を付けていたが…
どうやら私は天性の方向音痴らしい。
「学ばないね。」
その通り、流石に二回目となると申し訳ない。
相変わらず綺麗な手に引かれながら、子供が訊いてきた。
「『永田ヶ谷市連続神隠し事件』っての、知ってる?」
ドキッとした。
ここと同じ地域だとか何だとかで、SNSで掘り返された事件。
「うん…ちょっとだけ。」
私がそう言うと、子供は体を止めた。
気付けば大樹の前にいた。
でも、子供は手を離さなかった。
「そう、じゃあね。」
そう言って、消えた。
何かあるのは明白だった。
家に帰ってから、私はスマホと共に事件について教えていった。
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調べていく内に、この事件の概要が分かってくる。
最初の事件はトンネル。
次に室内。他にも畑や林など、複数回にわたって多くの人が短期間、同じ地域で行方不明になっている。
そして、あの山も一人の子供が消えていた。
急いであの山へと向かった。
でも、どんなに変な道を通っても、気付けば出口にいた。