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いつかまた、あなたと出会えるその日まで。
俺の、
私の、
”叶うことのない、夢。”
---
「はー疲れた…」
「○○、お疲れ様。はい、水」
「ありがとー」
ゴクッ
「ふぃー生き返った…」
「今日もよく走ってたね~」
「あのコーチ厳しいんだよな…」
「まーま、仕方ない仕方ない」
「ふーストレッチしとくか…」
「え、○○がそんなこと言うなんて…大丈夫?頭打った?」
「失礼な…ちょっとは考えられるようになったんだよこれでも」
「えー?ほんとに?」
「ほんとだって!」
あはははははっ___
---
ピーポーピーポーピーポーピーポー
「…え?」
「だから_____が亡くなった…って…」
「うそ…だろ…?うそだよ、うそ、だよな?うそだ、うそだって言ってくれ!!!」
「…ほんとうのことだ」
「そんな…」
「……」
「…葬式は、明後日だそうだ」
「…わかり…ました」
ハッハッハッハッ
「うそだ…嘘だ嘘だ嘘だっっ!!__が死ぬなんて絶対…絶対…絶対にありえないっ!!」
はーッはーッはーッ
「うそ…うそだ……」
バタッ
そこで、僕の意識は途絶えた___
---
「ぉーぃ ぉーぃ おーーーい」
はッ
「えーだいじょうぶ?やっと起きた。軽い熱中症だってさ。今コーチ呼ぶね」
「え?え、え?__生きてる..?亡くなったんじゃ...」
「もー何言ってるの?私は生きてるしー!気でも狂った?」
「てかここ...どこ?」
「え?だいじょぶそ?
えーっとここはサッカーグラウンドです。んで、あなたは試合の途中に熱中症で倒れました。」
「ほーそういうことですか。」
「なぜに敬語w」
「てかこの状況何…なぜ膝枕」
「まー…なんとなく?」
「なんとなくでやるもんじゃないだろ膝枕はぁ!」
「うお、なんかすんません」
「まあいいけどさぁ…!?」
「いやいいんかい
あ、コーチがよんでるよ、行ってきな」
「はーい」
「ただいま~」
「え、戻ってくんの早くない?」
「えーっとですね…」
---
コーチに呼ばれてそっちのほうまで駆け寄っていくと
「おい〇〇、体調大丈夫か?」
って言われて
「はい、だいじょうぶっす…
てかコーチ、今って何年ですか?」
って聞いたら
「おいお前…大丈夫か?
もう今日の練習はいいから日陰で見学しとけ」
って倒れて記憶喪失になったやつみたいな扱い受けまして
「あ、はい…」
っつって戻ってきましたぁ☆
---
「なにそれ笑
何年ですかはやばいw」
「ええ…でもさぁ!?
ほんとにわかんないんだもぉぉぉん」
「www
ほんとにだいじょーぶ??笑」
「まあ…だいじょぶやろ」
「えぇ……」
「今日の練習終わり!ちゃんとダウンしてから帰ってなーー」
「「はーい」」
「あっ終わったよ練習」
「ほんとやぁ
帰るぞーーー」
「おーーー」
「おい○○だいじょぶかーーー?」
「死んでないかーーー?」
「俺は死んでねぇよっ!!」
「いつも通りだなおっけーだいじょぶ」
「もうちょっと心配しろよーー」
「まああんたなら大丈夫でしょ」
「もうちょっと心配してほしいよ俺はぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ほい○○帰るでー」
「はぁい…」
---
「んじゃばいば~い
明日までにおかしくなった頭戻しときなよ~
また明日ー」
「一言余計なんだわ!!笑 ばいばーい」
---
ピピピッピピピッ
「うぅんうるさいなぁ…」
ん…?カレンダー…?
「予定…__の命日から一年…?
あれ…昨日はいたはずじゃ…」
いや、きっと嘘…
そうだほっぺたつねってみようそうだそうだ
夢だったら痛くないはず…!!
「いっったぁ!!」
うわ夢ちゃうやん
「えってことは…
昨日まで生きてた___は…
昨日『また明日』って別れた___は…
死んでいた…?」
いや、そんなはずない
だったら昨日はなんだったのか
なぜ…なぜ___がいたのか
あれ…俺、一昨日、何してたっけ……
昨日なにした?俺は
昨日___が生きてた?
何言ってるんだ俺は
__は一年前の今日に死んだんだ
生きてるはずない
「あーーーー!!!!わかんねーー
どうなってんだよ
昨日のことも一昨日のことも思い出せないしよ…
まあ、いったん寝て落ち着くか」
---
うぅん…どこだここ……
≪はーいこんにちは君!元気かい?≫
誰だよお前…
≪誰だと思う?≫
まさか神とか…
≪うーん…ご想像にお任せします?≫
さては図星
≪さあそれはどうでしょうね~???≫
うわうっざ
でここどこ
≪えー…なんていったらいいの
てか僕君をこんなにはやくここに連れてくるつもりなかったんだけどさ…
なんか誰かさんのせいで早く連れてきちゃった…んだよね≫
お前か
≪てへ☆ごめんね≫
ふざけんなよ
てかお前神ならさ
俺が昨日と一昨日なにをしてたかわかるか?
≪知ってるよ?ぜんぶ≫
じゃあ教えてくれ!!
なにか…なにか大事なことを忘れてる気がするんだ…
≪そっかぁ…思い出してないなら仕方ないね
言えない
ごめんね≫
なんでだよ!?
言えるだろ?お前は神なんだから
≪そういう決まりなんだよ
ごめんね
あと僕は神ではないよ
近い存在ではあるけどね≫
でも…でも!!
知ってるんだろ!?俺が何してたか
≪知ってるよ≫
じゃあ教えろよ!!
≪答えは自分で見つけるものだよ
僕は何もできないからね≫
そんなの…そんなの神でも何でもないじゃないか!
≪まぁ…がんばって
またね≫
__僕は…いや、私は…神でもそれに近い存在でも、なんでもないさ…__
---
うーん
昨日なにしたっけ?
覚えてないな…
まーいいや
今日なにしよ
んー…
サッカーの練習でも…
prrrrrrr
「はいもしもし」
「あ、やっとつながった
もーぜんぜんでないんだから」
「ごめんって、__。」
「もー
まあいいや」
「それで用件は
早くしてほしいんだけど」
「えーケチ
あそぼーよ
どうせ暇でしょ?」
「なんでわかったのさ」
「なんとなーーく」
「じゃあ今11時だから…
13時集合!」
「なんか遅くない?」
「ご飯食べるでしょそれぐらいがちょーどいいやん」
「たしかに」
「ね、私天才」
「あーはいはいそーですねー」
「棒読み草」
「まあはいじゃあ13時に」
「うんじゃあまた」
13時ねぇ…
寝たかったんだけどな
はー
準備するか
---
ピンポーン
「んぇ!?」
「おーい早くして」
「まだ12時57分ですけど!?」
「もう12時57分、でしょ
5分前行動!!」
「ごめんごめん…」
「まさか寝てたんじゃ…」
「ご名答」
「ご名答じゃないよほら
いくよ」
「はーい」
「ところでさ
どこ行くの?」
「えーーっとぉ…
どこか!」
「えぇ…」
「とりあえず公園!」
「なにすんの?」
「いいからいいから!」
「じゃじゃーん」
「…サッカーボール?
あれこれ…俺のじゃん」
「せいかーい
さっき呼びに行ったときに取りました」
「いつの間に…」
「サッカーしよ」
「あれ__できたっけ」
「ちょっとは?」
「リフティングできたり?」
「しま…
す!!」
「なんでできんの…こわ」
「ほらはいっ」
「うおっ
いってぇなぁ」
「見てないのが悪いんでしょー、」
「ほいほーい
じゃあいくよ」
---
「あー楽しかった」
15時00分
「うわだいぶたってんな…」
「まだまだ行きますよぉ!」
「えぇ…」
神社
「何しに来たのこんなところに…」
「んー願掛け?ちょっとまってて
巫女さん、お守りください」
「はい。どれにしましょう?」
「健康の意味のお守りとかってありますか?」
「ありますよ」
「じゃあそれ2つ…いや、1つと
安全祈願のお守り、をお願いします」
「かしこまりました」
「ありがとうございます」
「おまたせ!○○」
「なにしてたの?」
「ん?ちょっとね
さ、いこっか」
「はーい」
「え、もう16時?」
「はや」
「んー…帰る?」
「そうするか」
「ここから20分くらいかかるしね」
「そうだね」
「ねぇねぇ
明日試合じゃん?○○」
「うん
そうだけどそれがどうした」
「かてよーーー」
「うーい
明日いく?__」
「行くよもちろん
私が行くからには勝てよ」
「なんだよそれ笑」
「あ、そうだ、これ、お守り」
「え、二つも?」
「うん
頑張って、明日」
「おう!」
「じゃあね、○○」
「またな!」
---
あーつかれた
ねるか…
あ、そうだ、このお守り、何のお守りなんだろ…
調べたい…でも、眠気が…
≪元気してるー?≫
誰だよお前…
≪あ、そっか覚えてないのか
ごめんごめん
はじめましてー
名前はないよーよろしく≫
は?
名前がない?
どういうことだよ
≪まあまあ気にせず!≫
んでここはどこなのさ
≪えー
現実を見てもらう場所?≫
現実?
それってどういう…
≪とりあえずこれを見てもらいましょー!≫
うわっ
これ、葬式?
凄いな
みんな泣いてる
≪これを見て何か思うことは?≫
誰が死んだんかなーってだけ
≪ほーほーほー…
じゃあ次!≫
これ…女の子、か…?
白い服着て寝てるみたいだな
≪この子死んじゃった子なんだよね≫
お前なんでそんな平然と言うんだよそんなこと
≪もう、なれたから、かなぁ≫
ほー
意味が分からん
≪まあまあまあ気にせずー≫
これだけか?用は
≪うんこれだけ
ばいばーい≫
唐突だな別れが!
≪え、もっと一緒にいたいの?≫
違うわ
≪じゃね≫
---
「ふぁーねむ…」
てかあの夢のやつ…
なんなんだよあいつ…
というかあの女の子…見覚えが…
ピンポーン
「はーい」
「あ、おはよー
試合でしょ?今日
寝てるかと思っておこしに来てあげたのに起きてたし」
「いや今起きたとこ」
「あっそ
えーおしかったな
じゃ、帰るわ」
「えまってご飯作って」
「やだ」
「なんで
眠いんだよ俺は」
「はー…
仕方ない今日だけだよ」
「はーい」
「あ、そうだ、お守りの意味、なんだと思う?あれ」
「あ、そうだそうだ気になってたんだよね
どんな意味?」
「えー
正解ほしい?」
「うん」
「正解はー…
健康祈願とスポーツ祈願、みたいな?」
「へーそうなんだ」
「ほら準備して!」
「はい…」
「ほら、準備できた!?」
「できました…」
「行くよ!」
____ここからの記憶は、俺はまったく残っていない_____
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「ここ…どこ…?」
「○○さん!!目を覚ましたんですね!」
目を開けるとそこには、看護師の姿をした知らない人が立っていた
そして俺は、ベッドに横たわっていた。
なぜか2つのお守りをもって。
5分もしないうちに、医者らしき人が来て言った
「○○さん、大丈夫ですか?」
俺は意味が分からなかった
それでも医者は続けていく
「あなたは________。」
あまり内容が頭に入ってこなかったが、かろうじて分かったのは半年近く俺が寝ていた、ということだ
「○○さん、倒れる前の記憶はありますか?」
「記憶…?」
覚えていない、何も
「そういえば__は…?」
気になっていたことを聞いてみると
「「!?」」
と医師たちは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真顔になってこう告げた
__さんは半年前に、お亡くなりになられました、と。
そのあと、ご丁寧に写真を見せながら説明してくださった
なくなったこと、経緯、そして俺が葬式の前日に倒れ、半年目を覚まさなかったこと。
それだけ話すと、医師たちは写真を置いて、どこかへ行ってしまった
---
目を覚まして2日目。
今日は俺の両親が見舞いに来た。
いろいろ聞かれたけど適当に受け流して、
明日__の両親を連れてくるよう、頼んだ
頼みごとをすると両親はうなずいて病室を出て行ってしまった
そのあとは暇だったから、お守りについて考えていた
誰からもらったのか、どんな意味なのか、まったく覚えていないのだ
目を覚まして3日目
昨日お守りについて考えたが、なにも思い出せなかった
__の両親が来てくれて、厚い本を渡してくれた
手紙も挟まっていて、見てみるとたった一文、
『8月になったらこれを読め』
と書いてあった
__の両親にお礼を言って、ベッドに横たわった。
今日から8月まで1ヶ月。
どんなことが書いてあるのだろうと思いながら、眠りに落ちた
目を覚ましてから10日目
とりあえず退院した。
家に帰ってお守りの意味を調べた
安全祈願、健康祈願のお守りらしい
だが、そのお守りに書いてある神社は、どれだけ調べても出てこなかった
目を覚まして21日目
あと10日を切った。
体調が悪くなってきた。
頭が痛くてぐらぐらする
目を覚まして26日目
あと5日を切った。
熱が出始めた。
体調は一向に良くならない。
しんどい
目を覚ましてから30日目
今現在23時53分。
あと7分で
8月。
目を覚ましてから31日目
体調は一向に戻らない。
とりあえず8月になったので
厚い本を読んでみようと思う
_________________________
≪またあえたね。元気だった?≫
だれだ…?お前は
≪あぁ、そうだった、ごめんね
記憶、全部戻してあげるよ≫
記憶…?
ゔっ
≪ほら、今までの記憶!
っていってもー…全部…≫
夢。
そういいたいんだろ…?お前は…
≪おぉ~
記憶を戻したばっかなのに
すぐわかるなんてすごいね~
処理が速い。羨ましいよ≫
夢を見せたのはお前か?
なんで俺にあんな夢を見せたんだ?
夢ならなんで俺が目を覚ました時にお守りを握ってたんだ?
≪それはね…
……私の遊びって言えばいいのかなぁ≫
遊びでしていいことじゃっ…!!!
≪知ってるよ
全部知ってる≫
じゃあなんで…
≪僕…いや私は
こんなことしたから
もう戻れないかもね≫
なんでこんなことしたんだよ!!!
≪さあね
神の気まぐれ、っていうじゃん?
そんな感じ≫
じゃあ…じゃあなんでそんなに悲しそうなんだ?
なんでそんなに悲しそうな眼を…
≪あーあ
気づかれちゃった
バレないと思ったのになぁ
お守り
あれはちゃんと持っておいてね≫
やっぱりお前は…
≪何も言っちゃダメ。
…楽しかったよ、
最後に会いたかっただけ
ありがとう、大好き。≫
__!___!!
声を出そうとしても、その声が、その気持ちが、
届くことはなかった
---
目を覚ますと、俺はお守りと厚い本を抱えて寝ていた。
「ははっ…”神”は気まぐれだな、」
厚い本には
もうかなうことのない、夢の中の一ページが描かれていた
「あいつも、俺と一緒のこと思ってくれてたんかな…」
あいつがほんとの神ではなくても
俺にとっては世界一の神だ
あいつが見せてくれた夢は
神が見せてくれた夢は
俺にとってかけがえのない宝物。
あの夢を、
あの気持ちを、心の中にしまっておく。
いつかまた、あなたと出会えるその日まで。
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