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異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第三章『優の自由研究』
NOVEL CAKEライト版から転載。
https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=5&no=26#JumpTitle
(urlの先は3期一話)
それではどうぞ。
一話【夏休み】
7月下旬、俺は今日友達と遊ぶお出かけする約束をしていた、俺は集合場所の近くの公園へと行った。
外に出ると、とても暑かった。家の中だとエアコンが効いていて、とても涼しいが、やはり外だとすごく暑い。いつか熱中症になりそうだと思った。
集合場所の公園に着くと、友達の『裕太』が、もう既に待っていた。そして話しかけてきた。
裕太『よっ、海渡。俺結構待ったぜ。』
海渡『ごめんごめん、裕太はいつも早いなぁ。』
そうわちゃわちゃと話していると、『健二』が来た。
健二『やあ、裕太と海渡。おはようございます。』
裕太『おっはー』
海渡『おはよう健二。』
だんだん人が集まってくる。今日は俺を合わせて6人集まるはずだ。大人数で…ワクワクした。
健二『そういえば、裕太。今日はどこに行くんだい?』
裕太『あ〜、そういえばしてなかったっけ。今日は黒川の家に行くぞ!』
健二『黒川…ああ、あの子の家?どうして?』
裕太『家に来てって誘ったのは黒川だぞ。俺は知らねえよ。多分だけどよ、気分転換に呼んでみたんだろ。あいつだから、そんなこともあり得るぜ。』
黒川とは、『黒川美夜』のことだ。俺と同じクラスの人だった。
黒川さんはクラス一のお金持ち。普段はとても静かな人だが、たまに遊んでくれたり、一緒に勉強したりする時がある。クラスの中でも結構みんな仲がいい。あまり話にはいかないそうだが…。
健二『あ、誰か来た。お、あかりさんだ。あかりさんー!』
あかり『あ、みんな〜、おはよ。』
裕太『おはようあかり。』
海渡『おはよう。』
あかり『はぁ…で、颯太は?』
裕太『…いつも通り、遅刻じゃないか?』
颯太はよく遅刻しがちだ。
まあそう待っていると、颯太もようやく来た。
裕太『さあ、早速黒川の家に行くぞ!』
---
二話【黒川と優】
あかり『え、え、めちゃ家大きくない…!?』
そう言ってあかりが指差したのは、黒川美夜の家だった。黒川はお金持ち、家も相当な広さだった。こんなにいるか?と思うぐらいだった。
ピーンポーン。
ガチャ…「はい、どちら様でしょうか。」
黒川の声がした。
裕太『お〜い、黒川!遊びに来たぞー』
黒川『…別に遊びたいわけではないのですが…、門は開けました、どうぞ玄関へ。』
俺は門を見る、先ほどは開かれていなかったが、いつのまにか開いていた。ちなみに自動なのかはしらない。
玄関に行くと、黒川家のメイドと思われる人たちが、俺たちを迎えてくれた。そして靴を置くと、長い廊下が目の前に広がる。その廊下の奥には、黒川がいた。
黒川の元へ着くと、黒川が、客室へと案内してくれた。
健二『相変わらず広いなぁ。』
颯太『何この絵、すげぇー!』
廊下には、おそらく有名画家が描いた作品が、飾られていた。とても芸術的、有名な絵もあるし、知らない絵もあった。流石黒川の家だと思う。
そして客室に着いた。俺はソファーに座る、ふわっふわで座り心地が良かった。
あかり『客室に来るまで、部屋のドアはいくつあったかしら…!!』
健二『黒川の家は凄いな、いつかこういうところへ住んでみたいところ。』
裕太『きっと最高な生活が送れるんだろうなあ。』
颯太『いやぁ、美味しいご飯が食べられると思うよ!』
そしてメイド達が、俺らに飲み物を出してくれた。この飲み物は…匂いを嗅ぐと、これは紅茶だった。
裕太『…おい、お前ら紅茶飲めるか…?俺飲めないんだけど。』
あかり『苦くない?独特の味…』
颯太『あ〜…、匂いで無理、でも高級ってことはわかる。コップで。』
海渡『俺は飲めるけど。』
健二『なんだ、あかりと颯太と裕太は飲めないのか。俺は紅茶が大好きだ。』
飲めない三人が、鼻をつまむ。
それに黒川が気づいた。
黒川『…あかりと颯太と裕太の紅茶を下げて、代わりにチェリーのドリンク持ってきて。』
そう黒川がメイドに命令すると、メイドは即座に命令に従う。
黒川『…そういえば、海渡さん、あなたのいも…』
黒川『…いえ、なんでもないです。』
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三話【よくあること】
黒川の家に来てから約1時間が経過した。颯太と裕太は、黒川の家の庭にあった遊具みたいなもので遊んでいる。健二は、黒川の図書館で本を読み、あかりは黒川の家の中にあったお客様限定無料でスウィーツが食べられるカフェみたいなところでスウィーツを食べているらしい。
まあ俺は、そこら辺をうろうろしている。はっきりと言えば廊下でうろうろとしている。あまりうろうろすると迷子になるが、部屋がありすぎるし、マップを見てもちょっとわけがわかんなくなってきた。
客室のソファーに座って、マップを見る。…このマップ見やすくないなと思う。ごちゃごちゃしていた。
黒川はあれから、自分の部屋に戻ったようだった。そういえば、紅茶を飲んでいる頃、黒川が何か言いかけたな…、まあなんでもいいやとは思ってい…
『ドーン!!!』
外から銃声のような音がした。流石に俺は立ち上がる。そして廊下に出て、玄関の近くへ行く。メイドも玄関前に集まっていた。俺はメイドさんに聞いた。
海渡『あの、何があったんですか?』
メイド1『…もう感じなくなったわね、恐怖が。』
海渡『…?えと…どういうことですか?』
恐怖が感じなくなった?恐怖?…嫌な予感がした。
メイド2『よくあることよ、黒川家を崩壊させようとしてくる集団が、あちこちにいるの。時々黒川家に攻めてくるのよ。週一ぐらい。まあ、黒川家のボディーガードが、一人残らずぶっ飛ばしちゃうけどねっ。』
メイド1『もううんざりするほど攻めてきてるから、怖くなくなった。ボディーガードが強すぎるからね。まあ…、相手が弱すぎるとも言いますかね。』
メイド2『ほとんどしたっぱしかこないし、なんで攻めてるんだろって思うわ。したっぱじゃ、勝てっこないのにね。…てか、そういえば思ったんだけどさ、』
メイド2『聞こえてるの?銃声が。』
銃声を聞き慣れているのか、かなり冷静だった。とても落ち着いた人ばかりだった。…そういえば、裕太達は?みんなは?
銃声がなったら、叫び声なり、中に避難するなり、するかと思った。外の庭の方を覗きに行った。颯太と裕太がいる、遊んでいた。
…聞こえてない?あの銃声が?あれは紛れもなく銃声だった。…さっき、メイドさんが言ってた、あの言葉。確かに銃声が聞こえていた。でも聞こえてるのって…どういうことだ?
玄関の近くの窓から外を見る。銃を持った人が、こちらを見ている。ボディーガードが、外に立って、家を守っている。
メイド1『そういえば、君、銃持ってる人も見えてるんだよね。』
メイド1『…どういうこと?君もこんがらがってるだろうと思うけど、私もわかんない。君が銃声が聞こえていることと、銃を持っている人が見えること。』
メイド2『…人間はまあ幽霊のこと、見えてるってこと…。人間ってついに見えるようになってしまったのね。』
幽霊が見える?どういうこと?俺が聞きたい。
|索敵《サーチ》
半径50mの範囲内に、銃を持っている人について調べる。…ん?何かがおかしかった。
俺の周りにいるメイド、そしてボディーガード、銃を持っている人たちも、俺のすぐ近くにいる人たち、全てが、
《《人間ではなかった。》》
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四話【幽霊】
人間じゃない?どういうことだ。
人間なんて、俺の周りには数人しかいない。…恐らく裕太達のことだろう。でも人間じゃないってことは、一体なんなんだ?
もう一度索敵を発動してみよう。
…全員、"幽霊"だ。…異世界の生き物だな?
幽霊っていないと思ってたが、異世界だったらそんなことは通用しないか。中級魔物と初級魔物が、俺の周りに沢山いる。ボディーガードは…強いとは言っていたが、中級魔物だった。まあそもそも上級魔物を地球に住ませるわけにはいかないと思う。でも、魔物がこんなにいたなんて…。
そういえば、黒川は?
…まあこんなに大きな家…というか館みたいなところ、半径50mに入らない場所もあるか…。でももし範囲内にいたら、もしかすると幽霊かもしれない…。でも、魔物の反応は、この周りぐらいしかなかったはずだ。てことは、入ってないかも…。遠くの反応はなかったから。
マップを見たところ、黒川の部屋は少し遠かった。だから範囲外だったと思う。場所を変えてもう一度索敵しようかなと思った。俺は場所を移動しようとした。そうしたら、メイドがこう言ってきた。
メイド2『銃声が聞こえている。わたしたちが見える。…ってことは、あなた、只者じゃないわよね。…このまま帰すわけには行きませんよねぇ?』
メイド1『まあ、見えてるってこと、秘密にしていただきたいけれど…。人間は嘘をたくさんつけるようですから…。』
メイド2『あなたも、黒川家の一部となりなさい!』
そう言って、メイド(2)さんの手から、氷柱のようなものが俺に撃たれた。
執事1『おいどうした…!?』
メイド1『あの人、見えてるんですよ。わたしたちが。』
執事1『…成程、そういうことか。見てはいけないものを…。』
海渡『いや別に、そもそもみなさん幽霊がなんでメイドや執事を…。まあ倒しちゃえばいいってことじゃないですか?人間もそう弱いわけじゃないし。』
執事1『ふっ…いいかよく聞け高校生。この家のメイドと執事は、全て人間ってわけじゃない。人間のメイドも執事もいる。君はその判別ができるかな?』
海渡『いや別にもう既に判別してるんですよね。あなたは、人間ですよね?執事さん。』
執事『…!?』
わかっていた。執事は人間、メイドは幽霊だった。周りに執事もいるが、どうしても反応していなかった。だから人間なんだとわかった。この索敵の能力は、〇〇か、〇〇じゃないか、ということもできる。それをつかったら、まあそういう結果になったというね。
海渡『幽霊さんたち…、まあ魔物かな。黒川は、人間なのか?教えてくれ。』
メイド2『ちょ、なんで魔物って知ってるの…!?』
メイド1『何この人…!!』
海渡『…名乗るほどの人物じゃないってことだけ言っておくよ。…ただ、異世界という世界を知っている、とのことだけ言っておこうかな。君達、異世界に帰ってもらおうか。』
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五話【最高傑作】
海渡『…名乗るほどの人物じゃないってことだけ言っておくよ。…ただ、異世界という世界を知っている、とのことだけ言っておこうかな。君達、異世界に帰ってもらおうか。』
メイド2『…はっ。あなた、もしかして、異世界に行き来できる人間じゃないかしら?お目にできて光栄だわ。まさか本当にいたなんて。人間なんてただのそこらへんに落ちてる空き缶程度の強さだと思ってたわ。』
メイド1『まあ相手は人間。私たちは中級魔物。所詮は人間。異世界に行き来できる人間だとしても、初級魔物ぐらいしか倒せないんでしょーね。』
はあ、いちいち変なことに巻き込まれてるな。まあメイドさん…中級魔物と話しててもただの時間の無駄だし、倒してるのも大騒ぎに今度はなる。無視するのもちょっと難しそうだし、まあ相手するしかないか…。
海渡『ホーリーレイ』
メイド2『ぎゃっ…!』
メイド1『人間が魔法を使いやがった…!!』
光を操ったただの攻撃魔法なんだけど。これだけで驚くとは思ってなかった。まあ人間が魔法っていうのもなんか変か。
まあ掠っただけだったか、じゃあもうちょっと当たりそうな魔法でも使いますか。
海渡『アイス・アロー』
そう言って、俺は魔法で弓を出し、メイド1に当てた。丁度右腕のところに。
メイド1『っあ…!!しまった…!え、まって、右腕が凍りついてる…!?』
海渡『少しの間だが、君の手を凍らせ、使えないようにした。ちょっと時間が経ったらすぐに使えるようになるよ。それまでは大人しくしてて。』
メイド2『…、大人しく?お前が大人しくしてろよ。』
随分と言葉遣いが悪いなぁ。さっきまでのおとなしそうな二人は一体なんなんだ…?
メイド2『メイド1の仇、絶対取るから。クレイゴーレム!』
クレイゴーレムとは、土などで作られた人形。体がとても硬く、あまり倒されないことが特徴。まあまあ厄介なやつだが、結局は強い攻撃すればいいってわけかなとは思う。
海渡『サンダーストーム』
俺は雷に風を合わせて作った魔法を使った。急にざわめき始める。様子を見にきた人も沢山きた。
メイド2は倒れた、意識はあるが、倒れた。クレイゴーレムも倒されて消えた。
執事1『お、お前…!?』
海渡『何度も言うが、俺は異世界を知っている人間だ。多少の魔法は使えるだろう。異世界の魔物は、異世界へと帰ってもらおうかなあ。』
そう言ったら、執事とメイドは一斉に走って逃げた。
面倒だなぁとか思ってたら、視線を感じた、視線を感じたほうを見る。誰もいない。気のせいかと思い、客室に戻った。
そして残っていた紅茶を一口飲んだ。
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優『お兄ちゃんは、悪い悪いメイドさんも倒せる凄い高校生…っと。』
優『どんどん研究できてるわ。黒川さんに家に入って研究する許可いただいてマジで嬉しかったわ。』
優『今年は最高傑作になる気がする…!』
優『だって、草野海渡は世界に一人しかいないから。』
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六話【黒川は。】
客室で少し休憩していると、客室に黒川が入ってきた。
黒川『海渡さん、先ほどの銃声が聴こえていたのですか?』
銃声が聞こえているかを聞くということは、黒川は銃声が聞こえている…。ということは…?銃は異世界を知っているものしかわからないように魔法がかけられているよう。だから、銃を撃っても、撃ったのがわかるのは、異世界を知っているものしかわからないというわけだ。だから、裕太たちは分からなかったのか…。
海渡『ああ、聞こえていたよ。それがどうしたの?』
黒川『…やっぱり、玄関がうるさいと思って、監視室からカメラを見たら、君が"魔法"を使っているところを見た。魔法が使えるということは、君は、異世界の生き物なのでしょうか…?』
海渡『…ただの人間だよ。普通の。魔法が使えるようになっただけ。』
黒川『へえ…。…私は、中級者です。』
中級者…?ということは、黒川は異世界の生き物で間違いないようだ。でも、そうなると黒川は魔物たちを従えていたということになるぞ…?ちょっと分からなくなってきた。黒川に聞いてみた。
海渡『つまり、魔物を従えていたのか…?』
黒川『はい。でももちろん嘘をつきました。上級魔物になりそうな中級魔物…と。流石に、上級魔物と嘘をつくとバレてしまうので。海渡さんは、中級者ですか…?』
海渡『いや、僕は初級、中級、上級、どれでもないよ。まあ実力的には初級ぐらいだろうね。』
黒川『いやいや、とても強かったですよ…?』
黒川はそういうと封筒を机の上に置く。置いた時、「チャリン…」と音がした。
黒川『これだけで十分なのかはわかりませんが…。お願いがあるのです。急なお願いですが…。』
黒川『爆破を止めてきてほしいのです。』
爆破?それって、爆弾が爆発することを言っているのか?黒川は話を続けた。
黒川『実は、私、薬品を作ることが大好きなんですよ。だから趣味として、異世界の材料などを混ぜたりなんなりして、とある日に、風邪になった何匹かの中級魔物に薬品を与えたんですよ。そしたら…。』
海渡『そしたら?』
黒川『か、覚醒しちゃって…。めちゃ強くなってるんですよね…!おかげでボディーガードも何人かやられました。…だから、中級魔物、もう倒しちゃってください…!ショッピングモール爆破させようとしてるらしく…。ボディーガードからの情報です。』
覚醒してるってことは、もうすでに上級魔物級の強さになってるんじゃないか…?(汗)
まあ俺に頼むってことは、他に頼める人がいないということかな。まあ仕方がない。
海渡『いいよ、できるかはわからないけどね。』
黒川『ありがとうございます…!あの、些細なものですが、お金…』
海渡『いらないいらない』
黒川『いや、一応持っててください…!』
そう言われ、無理やりくれた。
黒川『爆破は、明後日のようです…!』
海渡『わかった。出来なかったら金返すね。』
そういえば、明後日って…、優が友達とショッピングモールに行く日じゃ…?いや、違うか…。
俺は封筒を開ける。1万円札が…20枚あった…
海渡『はっ!?』
思わず声が出てしまった。
---
優『今日は凄かったなぁお兄ちゃん。』
優『明日はどんなことをしてくれるのか…。』
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七話【爆破】
明後日、俺は爆破されると言われているショッピングモールについた。客が普通にいる。爆破のことは世間には知られてはないようだ。情報がほんの数人だけにしか漏れていない。
でも覚醒か…。俺がその覚醒したやつを倒せるかどうか…。まあでも、魔王よりは弱そうだから、まあいけるかぁ…。心配だけど。
…魔王…か。
俺は異世界に行ってる間に、悪い魔王を倒した。既に話したはずだな。魔王との戦い、そういえば、俺と女神だけでやったかなぁ…。だから、異世界の奴らは、魔王が死んだという情報も知られていないだろう。
魔王は、異世界の生き物によると、邪魔でいつも悪さしかしない、上級魔物…、いや、上級魔物の上という感じか?誰も手につけられなかった。上級者は、自分は死にたくないとか言ったのだろう、この件について何も口に出さなかった。
この件が質問されても、質問したやつの口を魔法で口封じする。異世界はこれだから常識がない。
…でも、俺が異世界に行ってる間、俺の中の常識はめっちゃ変わったなぁ。魔法を使うということが当たり前だし、…そもそも魔法が使えるという常識すらおかしいからなぁ…。
そんなことを思っていると、優と優の友達を見つけた。どうやら二人でお出かけだったらしい。女友達だから、ファッションとか、好みとかが合ったんだろう。最近優が、『友達とおそろにした。』とか言って、ランドセルの横にアクリルキーホルダーをつける。…仲良い友達ができてよかったと思っている。
そして予定の時刻(爆破の時刻)があと約3時間。そんな時だった。
【バン!!】
…銃を撃つ音がした。入口の方から聞こえた。入口の方を見る。
既に、何人かの黒い服を着た奴らがいる。
『索敵』
…これは、間違いなく、中級魔物だ。しかも、覚醒中。
明らかに強そうなオーラを感じた。今まで出会った中級魔物とは一味違う。しかも、それが地球で暴れるとは…。本当に厄介なことになりそうで面倒だ。
優『え、お兄ちゃん!?』
…どうやら優が俺を見つけたようだ。
優『友達違う入口で帰っちゃった…って、なんでお兄ちゃんいるの。』
海渡『…優を守りにきた。既に、このショッピングモールで、爆破予告がされていたんだ。』
優『えっ、そうなんだ…。って、なんで教えてくれなかったの!』
海渡『速報だったんだぞ…。』
嘘で嘘じゃないようなことを優に伝える。
優『え、ちょ…えっ…!あ、あれみて…!』
え?
優は入口の方に指差した。なんのことだ?と思い、優が指差した方を見る。そこには、入口に近づく一人の少年がいた。まだ若い、小さな子供だろう。そして、何故か少年はナイフを持っている。
優『さっきの子…あの子、…えぇっ…』
優はかなり動揺していた。そして、少年はどんどん入口に近づく。入口に近づくと共に、中級魔物にも近づく。
そして、少年はこう言った。
少年『僕はヒーロー様なんだよっ…!!』
そう言って、中級魔物を刺す。中級魔物がナイフを抜く、少年を突き飛ばす。中級魔物が、再生し、ナイフの傷は綺麗になくなった。
少年は動揺している。
まあ少年がどうしてこんなことをしているのかはよくわからない。でも、俺も一応お願い事を頼まれている。市民の平和を守るため?そういうことになるかな。
海渡『優、下がって。』
優『うん。』
優は何歩か下がる。
優『(なんか今日はなかなかのことが書けそう…!!自由研究、最高の自由研究になるわ…)』
海渡『さあ、魔物さん。異世界に帰るお時間です。』
海渡『今日の戦い、是非思い出にしましょうね?』
---
八話【偽のヒーロー様】
海渡『さあ、魔物さん。異世界に帰るお時間です。』
海渡『今日の戦い、是非思い出にしましょうね?』
海渡『エア・ハンマー』
そう言って、俺は風を操る魔法、『エア・ハンマー』で攻撃した。エア・ハンマーとは、まあ簡単にいうと打撃系の魔法だ。風などの力で相手に攻撃する…、でもちょっと力を入れないといけないので、少々面倒な魔法。でも、魔法の効果は絶大だ。
俺は笑う。黒い服を着た奴らは苦しむ。そのうちの1匹が既に風の圧に負けている。まあ強い方の魔法だから、負けるよね。
黒い服を着た奴らを見ていると、1匹が俺の方に突っ込んでくる。目がチラリと見えた。目が光っている。怒りに燃えているのだろう。まあ爆破までまだまだあるのに、こんな調子だったらそりゃあそうだよな。
中級魔物1『|繝輔ぃ繧、繝、繝シ繝懊?繝ォ《ファイアボール》』
海渡『じゃあ炎を炎で受け止めようかなぁ。ファイア・ウォール』
説明しよう。まず中級魔物が放った『ファイアボール』は、火の球という意味で、大きな火の球を作って、相手に投げて攻撃する。…簡単な魔法だが、一時期は流行っていた。つまり…その時はその魔法が通用したということかな。今はあまり見かけないけど。
そして俺が使った魔法『ファイア・ウォール』とは、火の壁という意味で、攻撃から守るための防御魔法として使われる。魔法の基本中の基本って感じ?防御魔法としてはメジャーな魔法。
中級魔物1『|莠コ髢薙′鬲疲ウ輔↑繧薙※縺ェ窶ヲ《人間が魔法なんてな…》』
中級魔物1『|繝ゥ繧、繝医ル繝ウ繧ー繝懊Ν繝《ライトニングボルト》』
おっと、ライトニングボルトって確かボルト系の電気を操る魔法だったなぁ…。結構強力な魔法ですね…。
海渡『リフレクション、そのままお返しするよ。』
リフレクション、相手の魔法を跳ね返す魔法。
中級魔物に、リフレクションで跳ね返したライトニングボルトがあたる。叫び声が聞こえる。苦しそうで、痛そうな。まあもちろんこれだけじゃ倒せないと思う。だから…、とびきりの魔法、与えちゃおう。
海渡『メテオ・ストライク』
メテオ・ストライク、それは流星ということ。空中から流星を降らし、相手に攻撃する。結構強くて、俺でも習得に時間がかかった魔法だった。
中級魔物は倒れた。…倒したのだろう。後ろを振り返ると、優が俺に向かって大きな声で喋った。
優『すご〜い!!お兄ちゃん流石っ!』
ちょっと照れる。まあ可愛い妹に褒められるとか照れるしかないだろ…(笑)
少年『あ、あ、あっ…ああっ…。』
ん?そういえば、さっき少年がいたな…。倒すのに夢中になっていて忘れていた。
少年『あなたが、正真正銘、最強のヒーロー様なんですかっ…!!』
え?
少年『僕が、正真正銘のヒーロー様なのにっ…!!』
少年『お前は魔法しか頼っていない…!お前の力じゃないじゃんっ…!』
少年『お前は"偽のヒーロー様"だあっ…!』
少年は俺に向かって走ってくる。右手にナイフを持って、近くにくると、俺を刺そうとした。少年は泣いていた。
少年『うわあぁぁ…!』
俺はナイフを避けた。少年はその場でしゃがみ込んだ。
少年『僕が一人しかいない本当のヒーロー様なのにさあっ!!』
少年『なんでお前が倒すんだよっ…!』
はぁ…?何を言っているんだとは思う。急にどうした…。
少年『偽のヒーロー様なくせに!』
---
九話【解除】
少年『僕が一人しかいない本当のヒーロー様なのにさあっ!!』
少年『なんでお前が倒すんだよっ…!』
少年『偽のヒーロー様なくせに!』
…。
優『は、はぁ…?ヒーローなんて沢山いるでしょ…?』
少年『意味がわからない。』
こっちが意味わかんないよ…。てか、そもそも急に何話しかけてくるの…。しかも俺のこと殺そうとしてなかった?ナイフで刺そうとしてたし…。
少年は、ナイフをしまう。そして立ち上がる。ふらふらと入口の方へ歩いて行った。
少年『…もういい…です…ッ』
そう言って帰って行った。入口から出て行った。
優『な、なんだったの…?』
海渡『さあ優、まだ事は解決していないよ。』
優『えっ?でも倒し…、あ、爆弾!忘れてたっ!』
そう、爆弾を解除しなきゃいけなかった。あと…2時間ぐらいか?早く解除しなきゃ爆発してしまう。
海渡『まずは…、危険感知』
危険感知とは、感知魔法。危険物を俺の周りにあるか探す。魔法を使うと、秒で危険物があると分かった。
俺は危険物が隠されていた化粧品が売っている店に行った。商品棚の奥に隠されていたのは、小さな爆弾。
…これは異世界物だった。異世界は、こういう危ない物(武器や魔法)の開発が非常に発達しているため、小さな爆弾でも大きな爆発を起こす物が多い。こういう物じゃなくて、もっと生活面に必要なものの記述を発達させてほしいな…と思った事がすごくある。
優『爆弾だっ…!てかちっちゃ。でも、爆発を解除する事、お兄ちゃんできるの?』
海渡『じゃあ跡形もなく壊せば良いじゃん?スチール・バレット』
スチール・バレットとは、簡単に言うと銃弾です。俺はこの魔法で爆弾を跡形もなく壊した。もう爆弾はない。
優『え、流石お兄ちゃん。最強じゃん。』
海渡『ははっ…まあ最強ではないけどね…』
女神『海渡様は最強ですよおおおおおおおおおおおおお!!!』
げっ、女神…。相変わらずの変わらない登場の仕方。
女神『てか、魔法いっぱい使ってますがどうしましたかっ!?』
海渡『ちょっとこっちの世界で色々起こってねぇ…』
ああめんどくさいと思ったのはこの瞬間だった。女神も呆れた顔で俺を見る。
女神『まあでもっ!海渡様だから許しちゃお!』
海渡『は、は…はは…。』
ちょっと微妙な反応をする。
女神『あ、そうそう。海渡様にお伝えしたい事があったんですよ…。』
女神『実は…。』
優『実は?』
この後、女神から発せられた言葉が、俺の心をぐちゃっと苦しめるような言葉となった。最悪なパターンだと異世界で住んでた時思ってたけど、…。
海渡『終わりじゃなかったってことかよ…。』
深呼吸を一回する。最悪なパターンが、俺を辛くさせる。
海渡『また変なことするんじゃねえか…?』
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十話【アイス】
今俺はアイスを食べている。宿題に手をつけていたが、あまり頭が回らない。エアコンがガンガンについているが、効いているはずなのに、とても暑い。じめじめとしていて暑い。この暑さ、俺は嫌だった。扇風機も、首をゆっくりと振って、動いている。
さあてと、優は勉強してますかね。俺は優の部屋に行った。
【コンコン】
優『は〜い。なんですか。』
海渡『俺だ。入るよ。』
俺は優の部屋に入った。相変わらずポテトチップスが入っていない空の袋が散らばっている。ラムネもちょこちょこと落ちている。
今日はお母さんは休みだったはずだが、臨時で急に仕事が入る。お父さんは、ちょっと遠いところに出張。だから今、優と俺の二人きりで留守番している。だから、優は少し散らかっても怒られないと思い、散らける。俺は優に勉強しているか聞いた。
海渡『優、勉強してる?』
優『んー?してるしてるー』
棒読みな言い方に少しイラッとなったが、俺はやっているか確認した。
海渡『…あまり進んでいないじゃないか…。』
優『そ、そっちの方が量多いから自分のこと気にしたらどうなのよ…!』
海渡『こっちは順調だぞ。問題集も終わってきたし。』
俺はまたアイスを一口食べる。冷たくて、頭を少し抱えるような動きをする。
優の部屋を出ていくと、アイスが溶けていることに気づいた。俺はガツガツとアイスを一気に食べる。一気に食べたせいか、お腹が苦しくなる。口が全体が冷え、咳が何回か出る。アイスを食べ終わり、棒を捨てる。そしてリビングのソファーに座った。ちなみに棒の当たりくじはハズレだった。
そういえば、優は自由研究進んでいるのだろうか。何を書いているのか、少し気になるが、勝手に読んだら失礼かもしれない…俺は勝手に見ようとしたが、やめた。
俺は暇なのでテレビをつける。現在AM10:00だった。テレビでは、ヒーロー戦隊シリーズが今やっている。まだこのシリーズやってたのか…。相変わらずの個性的な衣装。
…っあ…?
急に頭が痛く…!?
---
【最低なのはお前だろう?また懲らしめようとして。二度も首突っ込むんじゃない。】
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っ…!?
急に頭が痛くなった。今は痛くない。なんだ?俺は何を見た?何を聞いた?
…まあ空耳だったってことか。別にテレビから出た声じゃないし…。テレビを消す。ソファーで寝転がった。
暇だなぁ…。宿題か…、いやまあそれなりに進んでいるから今はいいだろう…。食べる?いやさっきアイス食べたばっか…。散歩?いや優を一人にすることは…。掃除?いや勝手に変なところ掃除して、大切なものをゴミに捨てちゃうかもしれない…嫌だなぁ。読書?いやこの前本売って、また別の日に買いに行こうと思ったけど、よく行く本屋が夏休みで店閉めてた…。
ああ、本当に何しよう。いっそ、寝るか。寝ることが無難?
ソファーで寝転がりながら考えていると…
女神『海渡様あああああああああああああああああああああああ!』
海渡『…何女神。何か用事が?』
女神『く、く、黒川が…!ぼ、暴走してますよおおおお!』
海渡『黒川が?』
女神『テレビつけてください!こっちでも話題になってますよお…!』
そう言われたので、俺はテレビをつけて、戦隊モノから、ニュースに変える。そしたら…、
黒川が映っていた。
---
(黒川site)
叫び声が聞こえる…。人間が慌てながら逃げる…!
なんて良い光景なんだ…!
黒川『草野海渡…。君が来ること、そして君と戦えること楽しみにしてますよ…?』
黒川『全ては《《ヴィルディン》》様のために。』
この人間の世界は、歪んでいる…!
---
十一話【歪み】
急にどうしたどうした。俺は黒川がいるところに行こうとする。…でもどこにいるか、テレビを見てもさっぱりわからないなぁ…。
まあでも、魔法使えばそんなのねぇ…。
女神『ねえどうするのですかああ!?(汗)』
海渡『まあ、二人で黒川のところまで行って、黒川にとりあえず交渉して、無理だったら戦って、黒川滅ぼすぐらいまでやろうか。で、騒ぎは無かったことにできないかな。まあ記憶改変すればどうにかなるから、女神記憶改変よろしく。』
女神『えっ?なに、ちょ、話長くて理解できませんでした!』
海渡『ワープ、指定黒川。女神とよろしく。』
---
ワープした先には、黒川がいた。ここは、住宅街か?俺の家の近くってところでは無かった。
黒川『…?ああ、海渡さん…と、その隣の女誰?』
海渡『その質問の前に、黒川、なぜこのようなことをした?まずこの状況のことについて伺いたい。』
黒川『ふ〜ん…。まあ、楽しいからね!人生は、今を生きる楽しさが必要!だから、思う存分楽しまなきゃ。』
楽しみ方が独特だなぁ…。少々困るところだ。被害者はどんどん増えてるというのに、急に楽しいからと言われてもなぁ…。(そして黒川の敬語が外れてる…。多分俺をもう敵だと認識しているんじゃないか…?)
辺りを見渡す限り、周りには人はいなさそう。いるとしても…、少し遠いところに、カメラを持った人たちが何名もいる。俺は写ってなさそうだ。…まあこれだけの騒ぎになったから、恐らく9割がテレビ局の奴らだろう。
黒川『ということで、その女誰?』
女神『め、女神ですよ!!!異世界の女神です!!』
黒川『ああ、なんかいたね。有名だっけ、ほら、魔法自由自在に使えるんでしょ?』
女神『っ…、は、はあ…』
女神が少し苦しそうにしてる。…まあ黒川から"そういう言葉"を言われたらな…。
俺は黒川に少し交渉をしてみた。
海渡『黒川、こうやって荒らすのは、異世界にしないか?地球より、異世界の方が罪はないだろ?黒川なら、警察だってぶっ飛ばせるだろ?』
黒川『異世界でやっても、どうせ初級者が下手な魔法撃ってくるだけ。…それよりは、逃げるだけの人間に攻撃した方がマシじゃない?警察だって、人間の警察の方が弱いし。てか、使い物にならないでしょ?』
海渡『まあ確かに"俺ら"はそう思うかもしれない。でも、人間にとって警察はとても重要なんだ。勝手に使い物にならないとか言わないでくれ。』
黒川『でも使い物にならないのは事実、さっきだって銃を構えてたけど、撃ってこなかったよ?怖いのかなぁ?それとも、使ったことがないのかな?w』
黒川がここまで煽ってくるとは思ってなかった。警察はしっかりと仕事をしているのに、その努力がこの一つの言葉で失われるような気持ちになる。別に警察ではないが、なんかこいつに煽られるとムカつくなぁ…。
でも言葉で黒川を交渉しても、どうせまた交渉しても、黒川は跳ね返すだろう。だったら、もう戦った方がマシだな。中級者か…強いだろう。
女神『海渡様、あれを!』
海渡『わかった、ありがとう。』
俺は女神から、例のアレをもらった。
海渡『さてと、まずは…。アイス・ランス』
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十二話【タブレット】
俺は女神から、例のアレをもらった。
海渡『さてと、まずは…。アイス・ランス』
俺はアイス・ランスという魔法を使った。〇〇・アローの亜種的な感じの魔法だ。
黒川『おっと、危ないねえ。危ないことするなんてひどいよ海渡さん!?』
海渡『いや別に中級者だろ。守ったり避けたりできるでしょ。』
黒川『まあ、まあそうだけどさ!?ねっ!?でもひどいなぁ〜』
黒川はポケットから何か取り出す。…瓶だ。中に液体が入っている。
黒川『実はねぇ、海渡さんと闘うために、秘密の"アイテム"を用意したんだよね。』
黒川『"ソーマ"知ってる?』
ソーマ…ソーマ…!?
ソーマって、確かあの口にしたら幻覚が一定の時間起こるってやつじゃなかったっけ…!?
黒川『君に飲んでもらいたくてさあ。飲んでくれない?』
海渡『…その言い方だと、完全に罠だと感じてしまうぞ。』
黒川『…もしかして、知ってるんだソーマ。…へえ、へえw。絶対飲ませる。絶対に。』
黒川『カマイタチ!』
黒川は魔法、カマイタチを使った。知ってる方はいると思うが、簡単に言うととても早く移動をして、相手を傷つける、そんな魔法だ。まさか、その早い移動で飲ませようと…!?
気づけば黒川は、俺のすぐ近くにいた。ソーマが入った瓶を開け、俺の口に注ごうとした。
海渡『ちょ、カモフラージュ。』
黒川『あ"っ…くそ、見えな…眩しい…!』
何とか避けれたが、何回もこういうことをされるとキリがないし、さらに面倒だ…!ずっとカモフラージュで黒川を制御することはできないし、カモフラージュを黒川に当てることがまず重要となってくる。当たらないという可能性もあるから…、これだから…。
黒川『なんとか解けた…。もう。もうすぐだったのになぁ。』
黒川『カマイタチ。』
ああ、これだから面倒なんだよ…!
黒川がまたカマイタチをしてきた。最悪だなぁ…。
でも、まあ確実に当たるという魔法はないけれど、当たる確率が高い魔法はあるからね。それでなんとかするか…。
海渡『エクスプロージョン』
範囲魔法、エクスプロージョン。範囲が広い爆弾を一瞬で爆発させ、相手に攻撃する。正直言って、あまり使いたく無かった魔法だった。周りに建物がいろいろあるから、建物が巻き込まれちゃうかと思った。でも建物は無事だった。
まあでももし何か被害を加えてしまったら、なんか申し訳ないと思うから、バリアでも張っとくか…。
海渡『結界』
俺は結界を張る。(バリア)人間に被害を加えないようにした。
黒川『はぁ…。痛いなぁ…、おまけに結界も張られたなんて…。』
黒川『でもねぇ、飲ませたら勝ちだからさ。一滴でも飲ませれば…。僕の勝ち。』
黒川『次こそは、カマイt』
海渡『させないよ。ロック。』
僕は黒川のカマイタチを一定時間使わせないようにした。もう面倒、うんざりするからね。毎回同じ魔法されても、つまんないでしょ?つまんないよ。面倒だけど。
黒川『ほんとひどいね!僕のお気に入りの魔法だったのになぁ。』
海渡『…あのさあ、』
黒川『なに?海渡さん。』
さん付けされるのが、黒川に、さん付けされるのが気持ち悪かった。違和感を感じた。(この口調だと相当違和感感じるんだよな…)
でも、もうお遊びには付き合ってられないんだよなそれが。
海渡『これみてよ黒川。これ。』
俺はさっき女神からもらったものを取り出す。
黒川『これは…海渡さんも秘密のアイテムかな?えっと…』
黒川『"タブレット"かな?』
海渡『大正解。』
タブレット…機械のタブレットじゃないぞ?いわゆる錠剤だ。タブレットもいろいろ種類がある。回復に使うものや、攻撃から守るため、少しでも防御力というものをあげるための能力向上てきなもの。
俺はタブレットを飲んだ。
…ゴクン…
海渡『…そういえば、君に聞きたいことがあるんだよね…。』
黒川『…なに?タブレットを飲んだ海渡さん。』
少し魔法の話をするけど、『真偽判定』という魔法がある。それは嘘をついているかわかる魔法だ。僕は今からその魔法を使う。…聞きたいことがあるんだ。君も、一つ思ったことがあったでしょ?知らないけど。
海渡『真偽判定、君はテレビで、「全てはヴィルディン様のために。」と言っていたな?』
黒川『…ああそうなの?テレビ局が僕を注目している!?なんていいチャンスなんだ…!ああ…!…確かに言った記憶があるね。』
ガシッ…
俺は黒川の服を掴み、黒川に言った。…少し暴走しすぎたかもしれなかったが、あいつのことを吐かせるならこういう方法もありだと思った。
海渡『ヴィルディンの現在の情報を全て吐け!!』
黒川『っは…?』
黒川『ヴィンディン様…、そう、僕の最高の親友。』
親友…?
黒川『自分を中級者にしてくれた、神様みたいな存在の方だ。』
神様…?あいつが…?
黒川『自分は中級者じゃない。本当なら初級者レベルだろう。』
黒川『でも、彼は不正と知っていても、自分を中級者にしてくれた。おかげで立場が高くなった。』
………。
黒川『…ヴィンディン様は、いずれかは異世界を彼のものにしようとしている。素晴らしいでしょ…?…彼は言っていた、』
黒川『草野海渡に復讐するために…と。』
海渡『何が…、何が素晴らしいんだよ…っ!』
心の中から、怒りが湧き上がってきた。
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十三話【ヴィンディン】
黒川『…ヴィンディン様は、いずれかは異世界を彼のものにしようとしている。素晴らしいでしょ…?…彼は言っていた、』
黒川『草野海渡に復讐するために…と。』
海渡『何が…、何が素晴らしいんだよ…っ!』
心の中から、怒りが湧き上がってきた。
なんで?なんで、こうなるんだよ。
一回倒したあいつが、散々酷いことばっかしたあいつがなぜ生き返る?
あいつの目的な俺の復讐?本当にそれだけか?
女神『…海渡。やっぱり、この件は私たち、触れた方がいいですよね。』
女神『ヴィンディン…、ヴィンディンは、あの私たちが前に倒した魔王のこと…。何故生き返ったのでしょうかね…』
ヴィンディンとは、魔王のこと。俺は前に悪い魔王を倒したと言った。…そいつが生き返ったんだよ。生き返らなくてもいいやつが…。
海渡『…わからない。…ああ、女神。夏休みが終わったら、そっちに行こうと思う。…今にも行きたいが…、ちょっと用があってね…。』
女神『用?』
海渡『優の自由研究だよ、優、自由研究早く終わってほしいのだが。』
少し忘れていたが、ようやく思い出した。優は自由研究のテーマを『草野海渡』にしたらしい。何故兄のことにしたんだよ…。いろいろと面倒なことだから早く終わらせたい。というか、早く終わらせてくれ。
女神『ああ!海渡様の妹様の自由研究ですね…!そうだったんですか〜、初耳ですっ!』
海渡『ああ、で、とりあえず黒川は…どうしよ。』
女神『別に私が処理してもいいですよー』
海渡『はあ…なんで俺はタブレット飲んだんだろ…。』
女神『意味なかったですねw』
少し二人に笑われる。まあタブレットは味も美味しいから、お菓子食べたってことにするか…(笑)
海渡『じゃあ女神、黒川をよろしく。』
女神『は〜い!わかりましたよ〜!』
黒川『べ、別に僕子供じゃないので…はい…。』
俺は女神に黒川をまかせて、先に家に帰った。
家に帰ると、優が待っていた。
優『おかえり。どうしたの、急に出かけて。』
夏休みが終わるまであと二週間程度。長い長い…、宿題はある程度終わったが、優の自由研究終わってくれないかなぁ。
というか、今どれだけ進んでいるんだ?
俺は優に聞いた。
海渡『な、なあ、優。お前、自由研究って終わったのか…?』
優『え?あ、あー、まだ終わってない。』
…はぁ…。少しがっくりした。ため息をつく。
優『でも、もう書くことは決まったよ?あとは文章にするだけ。』
海渡『…え、本当か…!?って、早く書けよ…、書くこと決まったならさぁ…。』
優『いやあ?めんどくさい。』
優は国語が苦手だから手につけられないのだと思う。この前、夏休みの宿題の読書感想文を見た時に、明らかにおかしい文があることに気づいた。ここにいらないと思う単語もちょくちょくと入っている。
優『あー、もうわかったよ。やるやる。終わらせるって…。』
優はすぐに部屋に戻った。
優が部屋に戻った数分後、優の部屋に入ると、優はゲームをしていた。
海渡『お前、やる気ないのかよ…。』
優『…あ。』
海渡『「あ」じゃねえよ。…』
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夏休みが終わり、8/30、夏休み明けの2日目登校日。
1日目は課題提出日だったらしいが、2日目は…。
優の先生『今日は、授業参観。みんなの親が見にきてくれているね。では、今日は夏休みの自由研究の発表をしたいと思います!』
俺は、なぜか優の授業参観の保護者として見にきていた…。
いやなんで。
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十四話【自由研究】最終話
夏休みが終わり、8/30、夏休み明けの2日目登校日。
1日目は課題提出日だったらしいが、2日目は…。
優の先生『今日は、授業参観。みんなの親が見にきてくれているね。では、今日は夏休みの自由研究の発表をしたいと思います!』
俺は、なぜか優の授業参観の保護者として見にきていた…。
いやなんで。
親は仕事で忙しいから、俺は高校が今日休みだから、はぁ…?
そういえば、今優の担任が自由研究を発表すると言っていたな…?少なくとも人が大勢いる前じゃない発表だったらまだよかったが、大人の人たちがぞろぞろといる中での発表って、発表しない俺でも恥ずかしいのだが。他の親より何倍も恥ずかしい(テーマにされているからね…)
出席番号の頭から発表していくことになった。優の出席番号は、9番。緊張感が増す。今、俺の心臓がどのような動きをしているかがわかるような気がした。
そして、優の番になった。時の流れが早かった。いや、早く思いすぎていた。
優がみんなの前に出る。優が作文用紙を持つ。消しゴムで消したのか、作文用紙には、消しゴムを消す時にグチャってなるあの跡が残っていた。
優の先生『はい、じゃあどうぞ。』
優『…私の自由研究のテーマは、私の兄です。』
優がテーマを言った。少しざわめいた。そりゃあそうだ、なんせ人間をテーマにしたんだ。他の子は昆虫とか魚とか、植物とか、まだましな方を研究しているのに、人間だなんて。生き物だけれども…。
俺は今年の優の自由研究を見ていない。去年は、家にいたゴキブリを捕まえて、虫籠で育てて、そのゴキブリをテーマにしていた。去年の夏は、やけに騒がしかった。
そして、優が作文用紙に書かれている文を読み始めた。
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私の自由研究のテーマは、何度も言いますが、私の兄です。少し驚くかもしれませんが、人間も生き物なのでいいかと思いました。
私の兄の名前は、草野海渡です。まず、兄の第一印象は、『おかしい』ことです。おかしいって言っても、もはや人間なのか?と思うほどおかしいです。
おかしいという印象を受けたのは、三つのことがあります。
まず一つ目、悪い奴を倒せます。
悪い奴というのは、悪さをしたやつということです。それを全て不思議な力で攻撃して倒します。
二つ目は、化け物を倒せます。相手がもしどんなに卑怯な手をしても、お兄ちゃんは倒すことができます。
以上のことでおかしいと思いました。
そして三つ目、爆弾が解除できます。つまり平和を保てることが可能です。私もびっくりしました。
そして少し豆知識的なことも調べました。
彼はアイスが好きです。彼はコーヒーが好きです。甘党です。彼は急に友達を家に迎えて泊まらせることができます。幽霊が見えるそうです。
私はお兄ちゃんを一言でまとめました。
私のお兄ちゃん、草野海渡は…
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優『"最強"です。』
優『以上で発表を終わります。』
パチパチパチパチ…!
…優ってわけがわからない。いつ情報を手に入れたのかわからなかった。でも、いい自由研究だと思った。
優の自由研究が、今年の俺の夏の宝物となった。
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~第四章予告~
海渡『満月が、俺を支えてくれるようだ。』
rematch
女神『まさか、舐めてませんよね…!!』
battle
ヴィンディン『今回は、草野海渡、お前が負ける番なんだ。』
revenge
秋葉『あなたが魔王さんなんですね。ヴィンディンさん。』
Grab a victory!
再び、バトルが開幕する…。
第四章『魔王復活』
海渡『君は既に俺に負けたことがある…が、』
海渡『今回は分からないようにしてくれ。俺が圧勝しないように…ね。』
少し修正部分も加えています。
ライト版ものちのち修正します。
第四章も既にライト版では完結しました…!
転載も予定しているので、よろしくお願いします…!