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暁前の微光【3話】
嘘のような実話。
実話のような嘘。
この話は嘘か、本当か。
カラ、LOUIS、寺、周…4人の少年少女達が織り成す怒涛の家出劇。
強くなれ。
強い者だけに、道は開かれる__________
「___忘れない。多分、というより絶対。僕らはあの日を忘れられない。」
あの日僕らは四人で家を出た。
丁度、雪が降る季節…今ぐらいの時期だった。
その日は、体の芯から凍えるほど、寒かった。
手袋をつけていたのが二人____寺と周。しかいなかったので、全員が片手ずつ手袋をつけて手を繋いで。
学校から帰ったら、すぐにいつもの場所で待ち合わせよう。
嗚呼………そうだ。学校から帰る、確かその時の事だ。
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2007年1月 兵庫県神戸市
学校帰り。
当時小学1、2年生の三人が、手を繋いで雪が降り積もる道を歩いている。
周「うぁ〜〜っ………さむいぃい……」
カラ「…カイロ…カイロがほしぃ……凍る…指が凍ってまう…」
周「こぉんなに寒うなるなんて聞いてへんわぁ!!」
大袈裟な二人_____とも言えない。
真冬とはいえどここは日本。氷点下を下回る事もあるが、比較的温暖なはずだ。
しかしその日は、記録的な寒波が関西地方を襲っていた。
寺「いうてそんな寒うないやろ」
カラ「いや寒いわ!!!!」
周「寺はもともと北海道に住んどったけぇ、あんまし分からんのかもしれんなぁ…!贅沢なやつめ。」
周は『ゼイタク』という覚えたての言葉を使った。
寺「どこがやねんw」
周(突っ込まれてしもた……)
カラ「俺知っとぉで!『ぜーたく』っちゅーのはなぁ____他人の気持をおしはかること。や!!」
周「あほぉ!!それは『たくあん』ゆうねんで!」
健気な声がてんてんと家が建つ田舎町に響く。
寺「『ぜーたく』は、使いすぎたりする事。カラのいう『ぜーたく』と周の言う『たくあん』は、そらきっと『ソンタク』やな。」
カラ「ほぉ………」
周「寺は物知りやなぁ!!」
寺「ふふ」
寺はこの二人のことを、妹と弟のように思っている。
この二人と出会ったのは、3歳の頃だったと思う。
周の言う通り、寺は北海道の『オタル』と言う場所から越してきた。
寺のいう『オタル』はすごく寒いらしい。そんなところから引っ越してきた寺は、寒さには滅法強かった。
途端、
カラ「あれ_____」
周「おん?」
カラ「うん……………ちょっと待っといて!」
周「なんやなんや!!鬼ごっこか…!?付きおうたるわぁあ!!!」
寺「えっ?ちょ__二人ともどこいくん!?」
そう言うや否や、どこへいくのか。突如走り出していくカラ。
それを追いかける周。
唖然と走り去っていく二人を見つめる寺。
寺「_______________あれは完全、迷子になるで……」
そう呟いた息が、白く濁った。
続く
暁〜AKATSUKI〜