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白狐の護り#2
キャラ紹介は長くなりすぎるとあれなのでシリーズ紹介のとこにあります!
それはそれで問題かもしれませんが…w
あたしは、鎌池 恋音。「視える」人間だ。
まあ、いわゆる霊感を持っている。幽霊とか、妖怪とか、「人ならざるもの」が平気で見える。ただ、その能力を活かしてかっこよく除霊…なんてできるわけない。
恥ずかしいが、17年生きていてもちっとも「視える」事に慣れることはなく、不意打ちで驚かされて夜眠れない事だって度々ある。そのせいでなぜかこっちが「幽霊みたい」と言われた。いや、幽霊ならそこの窓に張り付いてるんですってば。この目の下の濃いクマはそいつらのせいなんですよ。ね?
そう、なぜかこの白御神高校には幽霊、妖怪の類がうじゃうじゃいる。呪われてるとか、そんな話は聞かないのだが。
(まあ…怖いけど…大丈夫、我慢して「視えない」ふりしてれば…)
話しかけたりしない限り、こちらに危害を及ぼすことは全くなかった。
まあ、一回友達についていた背後霊に話しかけたとき、酷い目にあったのはまた別の話であるが、そんな失敗以外は、これといって大きな事件はなかった。
なぜか、いまは…
おかっぱ頭の女の子が水音を立てながら常に1m程の距離を保ちずっとついてくる。机の中から手が出てきてあたしの腕を掴み、席を立っていくら机から離れても、どこまでも伸びてきて離してくれない。談笑している友人の顔が時たまモナリザの顔になる。なんなら、家でも、だ。それに、気を抜くとなんかピアノの音が耳元で聞こえる。授業中、10分に一回は背中を突かれる。いや、あたし最後尾です。後ろ誰もいないんです。
とまあ、こんな感じだ。文字にするとカオスだが、実際は物凄く怖い。常に複数の監視を感じるのだ。もちろん、視線の持ち主は人外…
お分かりいただけるだろうか?
そして、心当たりは、ある。こうなった日、朝からなんだか首の周りに薄ぼんやりとした黒いモヤが巻きついていたのだ。それは、どうやっても取れなくて、そのまま学校に行ったらこうなったのだ。
あたしの立てた仮説はこうだ。
あのもやは、何か怪異を引き寄せる「呪い」なのではないだろうか?
そしてそれは、よく言われるように、何か神聖なもので取れるのでは?(浅い考え)
そうと思えば、いても立ってもいられず、あたしは小走りに白御神神社に向かった。
ここの事をあたしは「安全地帯」と呼んでいる。なぜか、ここには幽霊も妖怪も追ってこないのだ。願いが叶う、とも言われているし、本当に神聖なものが住んでいるのかもしれない。残念ながら、あたしはそっち系は見えないのだが。
とにかく、視線を感じていないこの時間を噛み締めつつ、漠然としたイメージしかないその「神聖なもの」に向けて祈る。「どうか、呪いを解いて下さい」と。
…
…
…「やっぱり、そんな都合のいい事なんて…
「イヤ、普通にあるヨ?」
「!?」
独特なイントネーションの声が頭上から聞こえて、はっとして上を向くと、あぐらをかいて浮かんでいる猫の耳と尾を付けた少年がいた。
(間違いなく…これは、あたしに「視えてる」ってことだよね…少なくとも人間ではない、いや、絶対。)
問題は、この少年が、幽霊、妖怪の類なのか、それとも祈り、縋った神様のようなものなのかがわからないということなのだが…
そんなことを考えていると、まるで心を見透かしたかのように少年は口を開いた。
「ゴメンネ?僕は君の考えてるような、神様とかじゃなイんダヨ…デモ大丈夫!僕の幼馴染に神様がいるカラ!相談しに行こう!僕は寝虎っていうんダ!よろしくネ?」
相変わらず言葉の頭と語尾が鼻の詰まったような発音だが、少年…寝虎からは、優しそうな印象を受ける。それに、ここは今まで何も悪いものは近寄ってこない「安全地帯」…なら……
(この人…違う、えっと、この…妖?を信じてもいいかも。)
そう思えた。
「はい!よろしくお願いします。あたしは、鎌池 恋音って言います!神様に相談する機会を下さり、本当にありがとうございます!!」
「ア、タメ口でイイヨ?僕、まだ16歳だし?多分年下だヨネ?恋音サンって呼んで…イイカナ?」
「はい…うん!全然大丈夫!寝虎くんでいいかな?でも、本当に感謝してる!その、神様に、あたしの呪いを解いてほしいんだ…ねぇ、神様に会うのに、大したもの持ってきてないんだけど、大丈夫かなぁ」
「ナニ持ってきたノ?」
「あ…油揚げ…だめかな?」
「絶対それ喜ぶヤツ!大丈夫、今頃「食べたいなー」とか言ってるはずだカラ!」
ああ、なんか寝虎くんと仲良くなれる気がする。
妖怪の友達って、初めてだな。
何だか、呪われてるかもしれなくって、神社から出たらまた、幽霊の類が付き纏ってくるんだろうけど。
久しぶりに落ち着けた気がする。
(神様…どんな方なんだろ。)
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一方。
「ふぁっくしょんっっ!!……うぅ、なんじゃ、寝虎あたりが妾の噂でもしておるのか…?って、客を迎えに行かないといけないのじゃ…!」
思ってたよりも長くなりました!あと、思ってたよりもストーリー進まなかった!
僕の計画性のなさがよく分かりますねはい。
胡桃さん、寝虎の独特の訛り(?)は、最初方言とかにしようと思ってたんですが、よくわからなかったのでこんな感じになりました。大丈夫かな…僕の独自解釈なので、胡桃さんのイメージと違っていたら言ってください!できればもう1人も、次か…次の次で出したいです!本当にありがとうございます!!
ファンレターをくれた方も、マイページの赤い字を見た時めっちゃ嬉しかったです!ありがとうございます!
最後に、ここまで読んでくださってありがとうございました!!