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2.捜索開始
「 」セリフ
( )心情
( 動作、状況説明
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静かな廊下に響くのは2つの足音だけ。なつくん達とは別れて、これからこさめの我が家となる場所へ向かっている。
「0623はA棟、0209はC棟、1125はE棟」という説明を思い出しながら、らんくんが進むがままに着いて行く。
ここの建物は
【1F】 南口
刑務所作業場
東口 西口
A棟 B棟 C棟
北口
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【2F】 南口
D棟 E棟 F棟
東口 西口
刑務所作業場
北口
大雑把にいうとこうなっているらしい。
一階にはA〜C棟があり通路を挟んだ向こう側には刑務所作業場がある。二階はD〜F棟であとは場所が逆になってあるだけで、同じような造りになっている。とらんくんから聞いた。地下一階と三階もあるみたいだけど、こさめが不服な顔をして聞いても、教えてくれなかった。
正直、なつくんとみこちゃんが離れたのは結構痛手だ。強盗をやっていたから一番動けるなつくん、一番頭が良く回転も早いみこちゃん。お互いの長所を組み合わせたらスムーズに計画が進むはずだったのに。階が別になったら話は別。みこちゃんには1人で頑張ってもらうしかなさそうだ。
でも、みこちゃん、体力と運動神経がおじいちゃん並に悪いんだよな...幸先不安やな。
--- *** ---
刑務所作業場を通り抜け、A棟の23号室に無事到着。らんくんが牢屋の扉を開けくれて、中に入るよう促している。
軋んでいるベット、悪臭がする簡易トイレ、水が出るか分からない手洗い場、ボロボロな棚、少し綺麗めな机と椅子のセット。見るからに汚いですよ、と言っている牢獄。
うん、、、
ここに住んでた前の人は何があったのかな?
小学生の方がもっと上手に使えるぞ?
🦈「こさめ、これから ここ に住むの?」
🌸「そうだ。」
🦈「すんごい嫌なんですけど. . . ( チラッ」
🌸「我慢しろ。0623の今日の作業はない。牢の鍵は空けてあるから、自由に移動してもらって構わない。」
🦈「えっ!なら他の棟にも行ける!?」
🌸「他の棟に行くには専用キーが必要だ。囚人が1人で行ける場所は限られている。」
🦈「はー...狭い世の中だねぇ〜」
生憎、らんくんは「おとなしくしてろよ」という言葉を残してどこかへ行ってしまった。らんくんと仲良くなりたかったから残念。もう少し話していたかったな。
らんくんが居なくなってしまった訳だし、仲良くなろう作戦は一旦置いておいて、早速脱獄計画の為に動き出そう。思い立ったが吉日、先手必勝みたいにやっていこう。
🦈「いっちょ暴れますか!」
牢に付いているカメラを視線の隅に捉えながら、一人呟いた。音声も拾っているのかな?
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🦈「はッー はッー はッー(マジで疲れた)」
過去一動いた。いや、逃げ回ったっていう感じに近いかも。それに比例して疲れもすごい。
今すぐにでもベットに横になりたい衝動を抑えて、牢の中で唯一まとまな椅子に腰掛ける。
今日得た情報を簡単に整理して、二週に一回の面会でなつみこに伝えなくてはならないからだ。誰も居ない廊下で倒れたフリをしたり、トイレに袋に入れた威力強めの爆竹を流したりして判明した事実たちを分析していく。
一連の動きはカメラに捉えられているだろうけど、特にこれといった問題はないから大丈夫。
刑務所調査中に、急に知らないおっさんが鼻息荒くして押し倒してきた時は、普通に焦った。相手の力が強くて危うかったけど、看守が助けてくれた。
こっちに得が無いのに、こさめの身体をあげる訳ないやんな?ほんま なんちゅう事すんねん。
🌸「0623、今日はだいぶ迷惑を掛けてくれたな。お陰で全員大忙しだったぞ。」
🦈「らんくんっ!」
考え事をしていたせいか声を掛けられるまでらんくんが来たことに気付けなかった。疲れたこさめにとってらんくんは最高の薬でしかない。自然と口角が緩んで、さっきまでの思考がどこかへ吹っ飛んでいった。
🦈「こさめってばうっかりさん♡」
🌸「お前は何を企んでいるんだ?倒れたフリをしたと思えば、トイレに爆竹を流す。どういう神経をしてるんだか...」
🦈「らんくんがこさめのこと考えてくれて、嬉しい!!」
🌸「辞書より分かりやすいポジティブの例えだな。」
🦈「えへへっ笑」
やっぱりらんくんと話してると、心が不思議と軽くなる。初対面の時とは違い、言っちゃ悪いが不気味な笑顔はどこにも無い。かといって優しい訳でもなく、関心のなさそうな顔を浮かべている。それでも、どこか安心できてとても心地が良い。
🌸「明日から刑務所作業がある。初回だけ時間になったら迎えに行く。」
🦈「はーい、了解で〜す。」
🌸「早めに寝るように、おやすみ。」
🦈「おやすみ、らんくん!」
🌸「. . . 」
らんくんは要件を伝え終わったのか、こさめを少しだけ見て牢から去って行った。扉がガチャンという音を立てて閉まる。おそらく夜だけは鍵を閉めるのだろう。
流石にもう動く気力も無くベットに横になる。寝返りを打つたびにギィィという音がして、あまり深い眠りにつけなさそう。
🦈(羊が一個、羊が二個、羊が...)
昔みことくんが言っていた独特な羊の数え方で眠りに付いた。
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ここまで読んで頂きありがとうございます!
次話もお楽しみに^ ^