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"それ”は侵食する(仮題)
大和敢助と諸伏景光を絡ませたいという原作ルートでは叶わぬ思い
長野県警組は絶対霊が憑きやすいという妄想
大和敢助はヒロインもいいけどヒーローやってるのが見たいという願い
大和敢助は霊感強そうという偏見
ゼロを休ませたい&除湿材が欲しいというメタ
がごっちゃ混ぜになってグツグツ煮込まれた産物です。
書きたいトコしか書いてない。
「あ、敢助くん!起きたんだぁ!」
半透明の男は、俺を指さしてそう言った。
目が覚めて、久しぶりに親友、コーメイと会えた。
左遷したとかどういうことだ、由衣は誰と!?と問い詰めてみたが、
出るのは意味のわからぬ故事成語のみ。
こういうときに由衣がいればな……と寿退職した幼馴染を思い出す。
ふとなにか視線を感じた。人じゃない。気配がなさすぎる。
気のせいか?とコーメイの方に向き直ってみれば、彼はいた。
「兄さんが機嫌良かったのはそういうことだったんだね〜。」
ふふ〜、と鼻歌でも歌いそうな勢いでニコニコ、ゆらゆら。
誰だ、お前。口に出しそうになって、なんとか止める。
この世界に住んでいないものは視える方だと自分でも思う。
幼い頃から特に霊のたぐいはよく視えた。
その強さも、だいたい分かる。経験から言って、でかければ強い。形が異形であれば技が厄介。
幼なじみ二人が、そんな強い霊たちに憑かれやすいことも知っていた。またか、と今も思った。
しかし、この霊はサイズも高身長であれど人間くらいの大きさであれば、形も殆ど人である。
これまで何百体と見てきたが、こんなに人間らしさの残る霊はいなかったはずだ。
大体は人の形など欠片もなく、大きさは3Mを優にこすのがほとんど。
けれど、彼は少し透けているくらいで生きている人間と何も遜色がなかった。
本当に、霊の仲間?そんな疑問が、湧き出るほどに。
そっと手を伸ばし、彼に触れる。
霊には、昔から触れれる。誰にも言えない、俺の秘密。
普通の霊ならば、なんとも言い難い奇妙な感触をしているものだ。
熱いのか冷たいのかわからず、まるで柔らかいスライムのように自らを飲み込んでいくような。
そんな、嫌な感触。触りたくなんてない。触るのは倒すときとやむを得ないときだけ。
でも、彼の感触はそんなのじゃなくて、なんだか人の暖かさと柔らかさで、いっぱいだった。
「「敢助くん?」」
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「敢助くん!!後ろ!!」
景光の声に体は素早く反応し、杖を支えに足を上げる。
狙うはコーメイの頭の真横。油断してたのが悪かった。
美味いご馳走を喰おうと緩んだ顔に、回し蹴りをぶち込んだ。
「敢助、くん?」
由衣を背負ったコーメイが焦ったように呼ぶ。
不安だろう。彼には何も視えていない。十重二重に自分を囲う霊のことも。
守護神として自らを守る弟のことも、何も。
わかっていない。視えていない。
なのに、聡明であるから、緊急事態であることだけはわかってしまっている。
「悪ぃな、コーメイ。」
背中を見せればすぐやられる。守りながらでこんなに戦いにくいと思ったことはない。
景光が後ろから援護してくれているとは言え、俺にしか【視えない】奴もいる。
援護は期待できない。誰もいない。コーメイと由衣を守れる【人間】は、俺、一人。
「いいか、絶対に由衣は離すな、俺以外の声に反応すんな、離れるな!」
霊を拳で黙らせながら、コーメイに伝える。
コーメイの目はなぜ、どうして、自分には教えてくれないのだと言っているが知ったこっちゃない。
いや、もはや知らなくていい。知るな。わかるな。
その聡明な頭脳を、ここで使うんじゃねぇ。
知ったらお前は、必ず俺をおいて飛び出していくんだろ。
自分を囮にしてでも霊を倒す完璧な策を作ってくる。
そうしたら俺は、もうお前を止められない。お前も、止まれない。
だから今日くらい、今回くらい、俺に任せてくれないか。
危ない目には遭わせないから。二人とも俺が守るから、ここにいてくれ。
「すごい殺し文句考えてるね。」
そして|景光《おまえ》は心を読むな。
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〜ちなみに設定〜
大和敢助
生まれつき霊に非常に敏感。めっちゃくちゃ視えるし聞こえる。隻眼になったのをきっかけに守護霊や、彼らすら視えない霊も、もはや存在を消してるナニカも、視える。ある意味霊に最も近い人物。ついでに触れる・倒せる。持っている銃は霊にもあたる。触れたものは霊も持てるようになる。相棒と想い人が憑かれやすいのを知っているし、守るために毎日奔走している。
諸伏景光
長野県警とゼロの守護霊。非常に強い。霊視や霊感は前からあり、守護霊になってからより強まっているが敢助には敵わない。持っている銃は霊にのみ作用し、掠れば跡形もなく蒸発させる代物。敢助の作った料理は食べれるけれど、他は無理。普段はゼロのもとにいるが、緊急事態になるとゼロの覇気を持って長野に走ってくる。敢助に限り心が読める。たまに敢助に料理を教えたりもする。
諸伏高明
めちゃくちゃ憑かれやすい人。四六時中悪霊がいる。ちなみに大体ド強いやつ。毎回死にかけるのはこのせい。敢助が側にいなかった時は特にまずかった。ヒロが頑張った。本人に霊感はなく、敢助が必死なのも?状態。神様になんでコイツ生きてんの?と言われた。ゼロの覇気を四六時中纏わせないと本当に危ない。霊の活動が多くなったのはここ二年ほど。
上原由衣
高明ほどでないとしても憑かれやすい人。ちっちゃい霊がひょこひょこでてくる程度だが、たまにでかいのを連れてくる。本人に霊感はない。うん、ない。ゼロの覇気は一応纏わせている。
まだ出てない人たち
降谷霊
何も知らない一般人。長野の二人同様霊に好かれる体質だが、眼力と体から滲み出るオーラと腕力でなんとかなっている。そのオーラは強い霊でも一瞬で気絶するようなものであり、守護霊以外は多分耐えられない。赤井が絡んだり、徹夜だと濃度が濃くなる。ちなみに赤井も同じ体質。
警察学校組
全員でゼロの守護霊をやっている。他に大切な人の守護霊も兼業している。景光経由で長野県警防御も手伝っている。どんだけ悪霊いるんだ長野。と思っている。
霊たち
普通の霊。でかければでかいほど力が強い。好かれる人間によく集まる。太陽が苦手。
用語
【ゼロの覇気】
降谷零の悪霊に対する殺気と腕力による悪名をごちゃ混ぜにしたオーラのようなもの。悪霊を触れた瞬間に蒸発させる力を持つ。でかいやつも、すぐ消滅するので高明や由衣の守護に役立てる。赤井が絡んだり、徹夜状態だった場合、濃度が濃くなり、二倍・三倍・四倍増しにまでなる。四倍増しの場合、本来影響の出ない守護霊すら手先が粒子になる。