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内申三銃士〜1学期末〜
一学期の終業式。彼らは高水準の戦いに挑んでいた。
「ほな、通知表を各々に渡していく。みんなは、中学生として初めて貰う通知表やけ。では、いくつか注意をさせてほしい。まず、あまり騒ぎすぎないように。あくまでも今は授業中。なるべく静かにすること。それと、周りと比べないように。成績は人と比べるためにあるものじゃない。それに、人と比べたところで得することはあるのか。今一度考えてみてほしい。じゃあ、一番の|芦ケ谷《あしがや》から順に、三十二番の|和久田《わくだ》まで」
私の教師はこう言った。が、我々生徒はそんなことは守らない。「内申どうだった?」とか、「お前、俺より上じゃん」とか、もうすごいうるさい。
「呉屋、」
先生は言った。|呉屋藤二《くれやとうじ》、出席番号は10番。彼は、非常に成績が良く、授業態度も素晴らしい。教師や保護者からの評判も良かった。
「よっさ!思いの外高いぞいー」
彼は満面の笑みを浮かべて席へ戻る。僕は彼に内申がいくつだったか聞いた。
「内申、ああ、44さ。高いだろう。国語、数学、理科、社会、英語の『主要五教科』は全て内申が5。体育だけは4だったね。まあ仕方がない。足の骨を折っ
て、外体育に全く参加できなかった時期もかなり長かったからね 」
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「高戸、」
先生は言った。|高戸圭介《たかどけいすけ》。彼も、頭が良く、かつ授業でも積極的に発言する。
「はいキターー!内申43」
呉屋君と比べれば低いが、それでも相当な猛者であろう。言われてみれば、第一回定期テストの学年一位は、この高戸圭介だった気がする。恐るべし。
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「帆山」
先生は続けて言った。|帆山修吾《ほのやましゅうご》。彼は、誰もが認める天才であると言えよう。凡ミスは多いが、それでもワークの正答率は比べ物にならないくらい高く、テストでも凡ミスを除けばミスをしたことがないだとか。嘘かもしれないけどね。
「はい、神降臨ニダー!内申45!キターー!」
クラス中が驚いた。この学校で内申45をとるのは大変難しい。暗黙の知識である。しかし彼は難なくとってきやがる。
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彼らは、のちに|伝説《ゴッド》となるのかもしれない。。うちのクラスでは、そんな彼らのことを「|内申三銃士《내신 삼총사》」と呼ぶことにすることとなった。尊敬するとともに、その桁外れの能力に恐怖を抱いた。
明日から夏休みである。彼らは、どのように成長するのするのかが気になる。
【あとがき】
筆者も内申45です