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Day.1-4
注意書きとかは同シリーズの「前書き」見てね。
桜月「ひゃあ!?」
頭スレスレに飛んでいった椅子に、思わず桜月は小さな悲鳴を上げる。
そんな桜月の声と、何かの呻き声が重なった。
ドッ、と太宰の蹴りが当たった“怪物”は廊下へと飛ぶ。
椅子を投げつけられ、蹴りも入れられた。
怪物に感情があるのかは不明だが、太宰を睨みつけているように見えた。
桜月「先輩!」
太宰「私が引き付けている間に、君は姉を連れて窓から逃げるといい」
外は暗いが、校舎からの光で全く見えないわけではない。
鏡花を背負いながら桜月が逃げることは可能と、太宰は判断した。
太宰「この学園に安全な場所など無いかもしれないが、少なくとも数分後の此処よりは幾分かマシだろうね」
そう、桜月へ微笑んだ太宰は怪物の攻撃を皮一枚で避ける。
床に転がる先程の投げた椅子を拾い、また怪物へと投げつけた。
狼狽える怪物に、太宰は膝蹴りを食らわせる。
桜月「つ、強い……!」
桜月は、そう声を上げることしかできなかった。
先程まで信用していなかった怪物へ、太宰は臆することなく立ち向かっていく姿は格好良い。
しかし、怪物を完全に倒すことは不可能だった。
雄叫びを上げたかと思えば、どんどん怪物が集まってくる。
太宰「早く行くんだ!」
桜月「……っ」
鏡花を背負い、桜月は窓の鍵を開ける。
だが、窓を開くことはなかった。
ダンッ、と音を立てて何かが窓に突撃してくる。
突然のことに桜月は後ろへ転ぶ。
窓の外には狼のような怪物が、唸り声を上げながら桜月達のことを睨みつけている。
太宰「外からも怪物が……!?」
何度も体当たりをし、窓硝子を壊そうとする怪物。
太宰は目の前の怪物から手を離さず、桜月はただ硝子にヒビの入っていく様子を見ることしかできない。
太宰「桜月ちゃん!」
そう、太宰が桜月の名前を呼ぶ。
同時に窓硝子が破られる。
桜月には、まるでスローモーションのように感じられた。
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先輩の呼ぶ声が聞こえる。
硝子の破片が私へと降ってくる。
怪物が、喉元に噛みつこうとしている。
反射的に私はお姉ちゃんを守ろうとする。
覆い被さって、痛みに堪えるように目を閉じる。
--- 「“|不思議の国のアリス《Alice in wonderland》”」 ---
🐰不思議の国のアリス/Alice in wonderland
××の異能力。効果は━━。