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生物兵器4
どんな仕事を任されても、アルムは表情ひとつ変えず淡々とこなす。
俺「アルム、少し掃除を手伝ってくれないか?」
アルム「かしこまりました。私はどこを掃除すればよいですか?」
男は少し悩み、意地悪そうにこう言う。
俺「トイレ掃除をしてもらってもいいか?」
アルム位の歳の子供なら、普通はトイレ掃除を嫌がるだろう。
アルム「かしこまりました」
しかしアルムは生物兵器だ。与えられた仕事を何も言わず、違和感すら抱かずこなすだけ。
俺「冗談だよ、笑えないよな。すまん。俺がやるからアルムは水回りを頼む」
笑えない。その言葉を聞いてアルムは少し胸がざわつく。笑えないのは男のせいではなく、生物兵器である自身のせいなのだから。
アルム「..かしこまりました」
それでも思ったことを言葉に出すことはなく、了承するだけ。
沈黙が流れる。
お互い、どこか気まずさを感じていた。
その沈黙を破ったのは、意外にもアルマの方だった。
アルム「ゲンスイ様は、なぜ一度私に任せた仕事を変えて、自身で行なっておられるのですか?」
先程よりは短いが、空気の重い沈黙が流れる。
アルム「..申し訳ございません、私ごときがご質問など、非常に浅はかな考えでした」
俺「いや、いい。俺もアルムも1人の人間だ。同じ人間として、対等であるべきだ」
男はアルムに気負わせたことに罪悪感があるのか、もう少し綺麗に掃除をしようとしている。
俺「アルムに任せたことをなぜ俺がやっているのか、だっけか。ここの掃除はアルムに任せるのは少し可哀想だと思ったからだ」
その言葉に少し反応し、アルムは男に対して何か言いたそうにしている。
俺「..別に構わないぞ」
アルム「なぜ可哀想、なのですか?」
俺「汚いところをお願いで掃除させる、しかも相手は女の子。男だったらトイレ掃除なんて任せたらなんかできないさ」
格好良さそうに見える言葉を言って、その場を切り抜けようとする魂胆はアルムにはお見通しだった。
アルム「そうですか」
アルムの表情は、少し和らいでいた。