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本編10
彰人 side
見てしまった
司センパイが学校から出て行くところを。
今日は休日。ランニングをしてた時、偶々見つけただけ。
なのに、無意識に話しかけていた
心配だから
少しでも放っておいたら消えてしまうんじゃないかって。
それほど心配だった
怖かった
「…何しに行ってたんすか」
「…退学届を出しに行ったんだ」
「は…?」
「…じゃあな、オレはもう家に_」
「待てって、!!」
「っ…」
「…すみません、」
「でも…どうしても納得できないんです…」
「ショーキャストをやめたって話を聞いた時も、学校を退学するって聞いた時も…」
「まるで…今すぐにでも死ぬ準備をしてるというか…」
「………」
「…そんなわけないだろう?」
「え…、?」
「学校は…たしかにやめる。どーせ行かないんだしな」
「ショーも同じだ。あんなところにいてもオレが笑顔になれない」
「…死ぬとか消えるとか、そんなこと思うわけないじゃないか」
「で、でも…っ」
「それにまだ…やり残したこともあるんだし、簡単には死なん」
「…そう、ですか」
「変なこと聞いて…すみません」
「オレはもう帰る。それでいいな?」
「はい…」
ほんとにそうなのか?
やっぱりおかしい、何かがおかしい
俺は知ってる、司センパイがどれだけ辛いか。苦しいか。
なのに、なんでわからない?
もうすぐで死ぬかもしれないんだぞ?
どうして話を終わらせた?
もう少し話していれば、何か分かったかもしれない
あの人が今、何をしようとしてるのか
何を考えているのか
知ることができたかもしれないのに
「…くそ…っ!」
情け無い自分に、腹が立った
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司 side
最低すぎるだろ、オレ
あれだけ気にかけてもらったのに
心配してくれてるのに
助けてもらったのに
どうしてあんなに冷たくしてしまったんだ
「嫌われたよなぁ… (笑」
言えるわけないじゃないか
『死のうと思ってる』だなんて。
…まぁ、彰人には全部お見通し、だと思うがな
「…とりあえず、これで退学は完了…」
「やり残したこと…か」
何も思い浮かばない…
…まぁ、まだ時間はあるし、ゆっくり考えればいいか
・オレの事を裏切ってきたやつと縁を切る✔︎
・学校をやめる✔︎