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又旅浪漫
「カラスとフクロウの抗争ですよ。
ここ数日の話しなんですが、
麓の廃村にいる野良カラス達と
この森林にいるフクロウ集団が
昼はカラスが、夜はフクロウが、
交互に攻撃をしかけ戦場と化します。」
リッサンは振動している。
そわそわと樹冠を見渡し落ち着きがなく、
客である俺を早く帰らせたいようだ。
「それは恐ろしいな。全然知らんかった。
それより笹袋あるかな。
小ニボシで100回分くらいあればいい。」
早く済ませたそうなのでふっかけてみた。
「ひゃくですか...
そこにある束持って行ってくださいな
もう閉めていいですか。」
リスが振動しながら杉の枝を握る光景が
まだ面白いので更に要求してみる。
「配達まで込みで頼むよ。
獣道のスミレ通りにある岩の...」
「いつもの場所ですね分かりました」
言い切る前に閉められてしまった。
振動しすぎた道具屋は来た時より少しだけ
枝の残骸が増えたように見える。
「小ニボシ一匹で済んで助かるよ。」
面白かったので店の外から礼を言った。
そのうち一枚の笹袋にマタタビを入れ
足早に出口へ向かう事にした。
ここから水源までは近い。