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足りないきみは風を喰む3
|「__ 暗い、怖い __」《一花》
新しい職場の仲間を紹介したい、と嘘が混ざった話をして連れてきてしまった。
|「…あの、連れてきました、妹です」《五喜》
|「新人さァん?お名前どうぞぉ。あと名前と?名前とー、名前…あ、年齢もか!てことで、とりあえずゆーの自分のことぜぇんぶ話してみんしゃぁ。」《サヴェル》
引きつった笑顔を貼り付け、ただ固まったままそびえ立つ水色の髪をした男に怯え、耳元で囁いてくる。
|「十七歳、一花です__ …って、ねえ?本当に大丈夫なの? __」《一花》
ちょうどいいところに、目当ての彼女がナースステーションから手を振りながら走り出してきた。
|「…あ!居た、居た!ナースステーション集合って言ったのにー!」《命子》
|「五喜さん、良かった!連れてきてくれたんですね」《命子》
|「軽い説明をしますのでナースステーションへ来ましょうか!」《命子》
|「名前…えっと、貴方、誰ですか?」《一花》
|「産一命子!…産に一で命と子!」《命子》
|「あ、私も同じ漢字が入ってる」《一花》
それから数分後、ナースステーションと食堂を越えた遠い向こうにある自室を眺めながら歩いている。
|「…え」《五喜》
少しだけ開かれた扉の奥で、嫌な音を立てて何かを楽しそうに食べる命子のその周りで確かに一花の生首が転がっていた。
|「あれ、いつから居たんですか?」《命子》
|「…命子さん、なんで、一花の」《五喜》
|「ちょっと考えれば分かるでしょう?」《命子》
--- そんなことより、ねえ、五喜さん? ---
--- 次はナースの誰かを連れてきてくださいよ ---