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3.
〜前回までのあらすじ〜
なんやかんやで美音と出会った美咲とシャルム。
実力を示すために戦闘開始。そこで出てきた人物、美和さんとは?
[美咲?視点]
我が外に出るのは、ずいぶん久しいことだな。
シャルム殿は支援をしてくれるそうだから、気兼ねなくやるか。
怪しげな妖刀が我の手の中で鈍く光る。
美音殿、|挑戦者《チャレンジャー》は君だ。我ではない。
「楽しませてくれよ、|挑戦者《チャレンジャー》。」
その言葉に、彼は余裕そうな笑みを浮かべる。
「いつまで、その余裕が続くんでしょうね。」
いつまで続くか? ずっとに決まっているだろう?
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[美音視点]
このままじゃ、先に僕の余裕が無くなりそうだ。
結界を張っているのに、この圧。さっきの彼女とはぜんぜん違う。
一体どういうことだ・・・・? 何者なんだ、君は。
キンッ カチッ
攻撃を受け流すので、精一杯。
――――しょうがない。出し惜しみはやめるか。
そう思い、僕は使っていた ただの剣を捨てる。
「『能力発動 光を操る程度の能力』」
そう唱えて、僕は愛用している|光の剣《ライトセーバー》を生み出す。
「・・・光か。」
彼女は、まだ能力を使っていない。警戒しないと。
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それから時間が経ったが、お互い一歩も譲らない勝負になっている。
両者とも、まだまだ余裕がありそうだ。
美しい晴天に、両者の汗がキラリと光る。
「そろそろ頃合いか。」
そのつぶやきを聞いた美音は危険を察知し、後ろへ下がる。
「『上級雷魔法 風神雷神への雨乞い』」
途端に、空に雲がかかる。 まるで、その声に誘われるかのように。
ポツン ポツン ザーー
黒く深い雲から、雨が降ってくる。そして――― 。
ゴロゴロゴロ ピカッ
大量の雷が落ちてくる。その|標的《ターゲット》は――――。
「・・・マジか。」
美音だ。彼にすべての雨風、雷が四方八方から襲いかかる。
そのはずだった。
**「『|標的変更《ターゲットチェンジ》』」**
その言葉の意味を理解するのに、時間はかからなかった。
―――理解せざるを得なかったのだから。
「さて、美咲。この能力で、君の技は全部君に返ってくることがわかった。」
(そうか、美音殿は我を美咲だと思っているのか。)
「ここから、どうやって勝つつもりです?」
「・・・・そろそろ、我も本気を出そうか。仕方がない。」
「『アイテムBOX 創造と破滅』」
彼女の手には、青い宝石が埋まった紅色の杖があった。
(我は、これ以上の技を知らない。)
**「『究極零魔法 |宇宙の始まり《ビッグバン》』」**
『|宇宙の始まり《ビッグバン》』とは、美咲の専用武器である『創造と破滅』のみで
発動できる超広範囲爆発魔法。回避、防御はできない最強な技だ。
この技は、多くのミサイルが打ち込まれたとしても粉々にするだろう。
この技を食らったものは、もれなく戦闘不能になる。
(我が出るまでもなかったな。美咲に所有権を戻すか・・・・。)
**「『変化術 |幻影《ファントム》』」**
白いコウモリのような空を飛ぶものが、美咲(?)に襲いかかる。
「美音殿・・・・、なぜ意識があるんだ・・・・・・・。」
これを食らって立っていたものはいない。そう思ったばかりだったのに。
結界さえも割れないなんて。
「僕を舐めてもらっちゃ困りますよ。あなたが誰かわからないけど・・・・。」
**「絶対に負けませんから。」**
「シャルム殿。」
ずっと息を潜めていたシャルムが、美音を襲う。
「『魔剣、結界を割って。』」
シャルムは***魔剣使い***。
自身が従える4本の魔剣を巧みに操り、戦闘に参加する。斬れ味は一級品だ。
護身用に手元に残した1本を残し、魔剣は美音のもとに飛んでいく。
シュンッ カキンッ
「・・・やばいな。」
間一髪、剣で弾き返したようだ。まだ、結界は割れていない。
「我を忘れたのか?」
「『変化術 |幻影《ファントム》 改』」
先程の比にならないくらいの量のコウモリが飛び出す。
「美音殿、魔力量が凄まじいな。戦っていて楽しいのは久しぶりだ。」
(これまでは、瞬殺して終わってしまったからな。)
「『中級雷魔法 斬断の雷雨』」
雨が止み、雷がより一層激しくなる。その雷は刃となり、美音を苦しめる。
__「さっきまでは、こんなに魔力がなかったはずなのに・・・!__
__まさか別人なのか? いや、でも・・・・。」__
(我が、美咲ではないことに気づいたか?)
「隙あり、ですよ。美音さん。『魔剣、爆ぜろ』」
ドカァァァァァァァァン
シャルムが、持っている魔剣が思いっきり爆発した。
パリンッ
「・・・・割れた。」
**「僕の結界が、割れた・・・・・・・?」**